東京消防庁管内※1で平成22年から平成26年※2までの5年間で、歩きながら、自転車に乗りながら等の携帯電話、スマートフォン等に係る事故により152人が救急搬送されました。救急搬送された人の年別救急搬送人員では、平成26年は前年と比べて6人減少しました(図1)。
図1 年別の救急搬送人員
年齢区分別の救急搬送人員では、40歳代が36人と最も多く、20歳代から40歳代の搬送が多くなっています(図2)。
図2 年齢区分別の救急搬送人員(平成22年〜26年)
事故種別ごとの救急搬送人員では、「ぶつかる」が65人と最も多く、全体の約43%を占めており、次いで「ころぶ」が43人、「落ちる」が38人となっており、この3つの種別で約96%を占めています(図3)。
図3 事故種別ごとの救急搬送人員(平成22年〜26年)
救急搬送直後の初診時程度は、全体の8割以上が軽症でしたが、入院の必要があるとされる中等症以上も30人発生しています(図4・表1)。
図4 救急搬送時の初診時程度(平成22年〜26年)
単位:人
表1 年代別救急搬送時の初診時程度(平成22年〜26年)
初診時程度 | 9歳以下 | 10歳代 | 20歳代 | 30歳代 | 40歳代 | 50歳代 | 60歳代 | 70歳代 | 80歳代 | 総計 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
軽症 | 16 | 25 | 25 | 29 | 13 | 10 | 3 | 1 | 122 | |
中等症 | 1 | 3 | 6 | 3 | 6 | 4 | 2 | 25 | ||
重症 | 1 | 2 | 1 | 4 | ||||||
重篤 | 1 | 1 | ||||||||
総計 | 1 | 20 | 31 | 28 | 36 | 19 | 13 | 3 | 1 | 152 |
備考)軽症:入院を要しないもの
中等症:生命に危機はないが入院を要するもの
重症:生命の危機が強いと認められたもの
重篤:生命の危機が切迫しているもの
場所別の救急搬送人員では、「道路・交通施設」が122人と最も多く全体の8割以上を占めており(図5)、その中でも「駅」での発生が38人となっていました。
また、一歩間違えば重大事故につながるおそれのある駅ホームから線路上に転落する事故により、平成23年に3人、平成24年に1人、平成25年に4人が救急搬送されています。
図5 場所別の救急搬送人員(平成22年〜26年)
発生時の動作別の救急搬送人員では、「操作しながら」が55人と最も多く全体の約36%を占めており、次いで「画面を見ながら」が38人、「通話しながら」が26人となっています(図6)。
また、その内訳をみると、歩行中に「操作しながら」、「画面を見ながら」の受傷が多くなっていましたが、自転車で走行中の受傷も35人と全体の約23.0%を占めていました(表2)。
※1 「使用しながら」は、使用していたが、詳細不明なもの。
※2 相手がスマホ等を利用しながらの事故を含む。
図6 発症時の動作別の救急搬送人員(平成22年〜26年)
単位:人
表2 発症時の動作別の救急搬送人員の内訳(平成22年〜26年)
操作 しながら |
画面を 見ながら |
通話 しながら |
電話を取ろうとして 電話を見ようとして |
使用 しながら |
その他 | 総計 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
歩きながら | 36 | 32 | 17 | 3 | 10 | 5 | 103 |
自転車で 走りながら |
15 | 6 | 2 | 8 | 1 | 3 | 35 |
走りながら | 0 | 0 | 1 | 1 | 0 | 0 | 2 |
その他 | 4 | 0 | 6 | 2 | 0 | 0 | 12 |
総計 | 55 | 38 | 26 | 14 | 11 | 8 | 152 |
駅構内をスマートフォンを操作しながら歩行中、正面から歩いて来た歩行者とぶつかり、後ろ向きに転倒し頭と腰を受傷したもの。
【平成26年8月 43歳 女性 軽症】
携帯電話を操作しながら歩行中に、電柱と接触し顔面を受傷したもの。
【平成26年8月 63歳 男性 軽症】
携帯電話を扱いながら歩行中、ポールに躓き転倒し、ブロック角で顔面を受傷したもの。
【平成26年4月 44歳 男性 中等症】
左手に鞄を持って、右手で持った携帯電話で通話しながら歩行中、地下鉄駅出口の約10センチメートルの段差部分で躓いて転倒し受傷したもの。
【平成26年11月 59歳 女性 軽症】
携帯電話を操作しながら校舎内の階段を降りていたところ、足を踏み外し5〜6段程度転落、受傷したもの。
【平成26年2月 16歳 女性 軽症】
携帯電話を使用しながら駅を歩行中に、誤って階段約20段を転落し、全身を受傷したもの。
【平成26年4月 59歳 女性 重症】
駅のホームで携帯電話を操作しながら歩行中、線路上へ誤って転落し受傷したもの。なお、接触はしなかったが、直後に電車の進入があった。
【平成25年5月 10歳 男児 重症】
駅のホームで携帯電話を見ながら歩行中に誤って線路に転落し受傷したもの。
【平成25年12月 40歳 男性 中等症】
自転車で走行中、スマートフォンを操作しながら運転していたため、高さ1メートルの道路脇の用水路に転落したもの。
【平成26年4月 16歳 男性 軽症】
携帯電話を操作しながら下り坂を自転車で走行中、ガードレールに気付かず衝突し受傷したもの。
【平成26年11月 19歳 男性 中等症】
歩行中に携帯電話を見ていた女性に衝突され、転倒し受傷したもの。
【平成25年5月 82歳 女性 軽症】
路上を歩行中、正面から携帯電話を見ながら自転車を引いて歩いている男性と接触し受傷したもの。
【平成26年3月 41歳 男性 軽症】
平成26年4月28日から5月7日に当庁のインターネットモニターとして登録された当庁管内に居住する満18歳以上の男女400名に対し歩きスマホ等に関するアンケート調査を実施しました。
その結果、395人の回答があり、アンケート結果(1)では、「あなたは、歩きながらや自転車に乗りながらスマートフォンや携帯電話(PHSを含む。)等を使用したことがありますか。」との問いに約半数の49.1%が「使用したことがある」と回答しました(図7)。
図7 アンケート結果(1)
次に、アンケート結果(2)では、「使用している人によりケガをさせられた。またはケガをさせられそうになったことがありますか。」との問いに対し、「ある」と回答した人は、図7で「使用したことがある」と回答した人の中では31.4%でしたが、「使用したことがない」と回答した人の中では「使用したことがある」と回答した人の2倍以上となる71.6%となりました(図8)。
図8 アンケート結果(2)
また、アンケート結果(3)では、「歩きながらや自転車に乗りながらスマートフォンや携帯電話(PHSを含む。)等を使用することは、危険だと思いますか。」の問いに対しては、ほとんどの人が、危険だと思うとの回答でした(図9)。
図9 アンケート結果(3)
また自転車を運転中の携帯電話の使用は禁止されています。
「自転車を運転するときは、携帯電話用装置を手で保持して通話し、又は画像表示用装置に表示された画像を注視しないこと。」
【罰則】5万円以下の罰金