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東京消防庁安全・安心情報トピックス>殺虫剤等による事故を防ごう

殺虫剤等による事故を防ごう

平成17年4月から平成21年12月までに、東京消防庁管内(東京都のうち東久留米市※、稲城市、島しょ地区を除く地域)において、煙霧式殺虫剤などの煙等を吸った、ゴキブリ駆除用のホウ酸団子などの殺虫剤(防虫剤も含む)を食べた、スプレー式の殺虫剤などが目に入った、スプレー式殺虫剤に火が引火した等の要因により受傷し、救急搬送された272人について分析した結果は次のとおりです。
※ 東久留米市については、平成22年4月1日から東京消防庁管内となった。

1 年別の発生状況等(平成17年4月から平成21年12月まで)

年別の発生状況を見ると、例年50人台で推移しています。
また、住宅用火災警報器の普及とともに、煙霧式殺虫剤を使用した際に、住宅用火災警報器が鳴動し、それを止めようと部屋に入り煙を吸ってしまったため受傷したという事例が増加傾向にあります。


年別の事故件数

2 月別の発生状況(平成17年4月から平成21年12月まで)

月別の発生状況を見ると、7月から8月にかけて負傷者が多く発生しています。


月別の事故件数

3 事故発生要因(平成17年4月から平成21年12月まで)

救急事故に至った要因を分析すると、「煙等を吸った」が175人(64%)と最も多くを占めています。


事故発生要因

4 年齢区分別の事故発生要因(平成17年4月から平成21年12月まで)

5歳以下の発生要因を見ると、「殺虫剤を食べた」が22件(58%)と大部分を占め、6歳以上の割合と比べると5倍以上となっています。


年齢区分別の事故発生要因(5歳以下)  年齢区分別の事故発生要因(6歳以上)

5 事故発生要因別の負傷程度(平成17年4月から平成21年12月まで)

事故発生要因別に負傷程度を見ると、「殺虫剤を食べた」が中等症以上(下図の赤枠部分)となる可能性が最も高いことがわかります。5歳以下の年齢では、「殺虫剤を食べた」が最も多いことから特に注意が必要です。


事故発生要因別の負傷程度(煙等を吸った)   事故発生要因別の負傷程度(殺虫剤を食べた)
     
事故発生要因別の負傷程度(目などに入った)   事故発生要因別の負傷程度(殺虫剤に引火)

(凡例) 重篤 :生命の危険が切迫しているもの。
  重症 :生命の危険があるもの。
  中等症 :生命の危険はないが、入院の必要があるもの。
  軽症 :入院の必要がないもの。

6 年齢区分別事故発生要因別の負傷程度
(平成17年4月から平成21年12月まで)


年齢
区分
事故発生要因
煙等を吸った 殺虫剤を食べた 目などに
入った
殺虫剤
に引火


不明
































5歳以下 9 1 21 1 5 1 38
6〜9歳 2 1 1 4
10歳代 3 2 1 6
20歳代 21 2 2 2 2 1 1 2 33
30歳代 19 2 1 2 1 2 1 2 30
40歳代 22 4 2 1 2 1 32
50歳代 19 1 1 1 1 23
60歳代 18 7 1 1 1 3 3 1 35
70歳代 25 5 1 1 1 1 1 5 3 43
80歳代 8 2 1 6 1 3 1 22
90歳代 2 1 1 1 1 6
146 25 4 32 9 2 2 20 1 13 2 1 9 2 2 2 272

7 事故発生要因別の主な事故事例


事故発生要因 事例概要
煙等を吸った 70歳女性は、朝8時頃、害虫を駆除するため煙霧式殺虫剤を使用したところ、少し煙を吸ってしまい、軽い喉の痛みがあったが、そのまま外出した。昼12時頃帰宅し、部屋に入ったところ、部屋に残っていた煙を吸ってしまい咳き込み、息苦しくなったもの(中等症)。
殺虫剤を食べた 1歳の男児が、害虫駆除用のホウ酸団子を誤って食べてしまったもの(軽症)。
目などに入った 83歳女性が、殺虫剤の噴射口にノズルを取り付けようとした際に、誤って自分の目に噴射したもの(軽症)。
殺虫剤に引火 46歳男性が、スプレー式の殺虫剤を使った後、たばこに火をつけようとしたところ、殺虫剤の付いた手にライターの火が引火し、左手指を受傷したもの(軽症)。
50歳男性が、自宅台所において、ゴキブリを駆除するため、スプレー式の殺虫剤を2本噴射した。その直後、ガスこんろを使用するため点火棒で点火した際、殺虫剤の残留していたガスに引火し受傷したもの(中等症)。

8 事故防止のポイント

  • (1) 煙霧式殺虫剤などを使用する際には、取扱説明書をよく読んでから使用しましょう。また、使用後は十分に換気を行いましょう。
  • (2) 特に5歳以下の子供では、殺虫剤などを舐めたり、食べたりしてしまうことが多いことから、子供の手の届かないところへ置くよう心がけましょう。
  • (3) 害虫に直接吹きかけるタイプの殺虫剤(スプレー式)は、害虫が発生した際に慌てて使用することが多いため、誤って目などに噴射してしまうこともありますので、慌てずに使用するよう心がけましょう。
      また、スプレー式のタイプの殺虫剤は、噴射するために可燃性ガスを使用しているものがほとんどですので、火気の近くでは使用しないようにしましょう。
  • (4) 住宅用火災警報器の普及に伴い、煙霧式殺虫剤などを使用した際に、住宅用火災警報器が鳴動し、それを止めようと煙が充満している室内に入り受傷した事例が多くなっていますので、煙霧式殺虫剤などを使用する際には、一時的に外す、ビニール袋等で覆うなどの対策を講じておきましょう。



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