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東京消防庁ライブラリー消防雑学辞典
消防雑学事典
?火災の調査

mark  昭和21(1946)年、GHQ(連合軍総司令部)の覚書に基づき、警視庁消防部(現在の東京消防庁の前身)に予防課指導係が、各消防署には予防係が設置され、それぞれ火災調査業務を行うことになりました。これが、いわゆる消防における火災調査業務のはじまりです。
 その後、自治体消防の発足に伴い、昭和23(1948)年8月1日、消防法が施行されました。同日、予防部に調査課を新設して、法的にも明確な根拠を得て、消防独自の立場から本格的な火災調査が行われるようになりました。
 火災は、国民の生命、身体、財産に多大な損害を与えるものであり、それらは当事者のみならず、延焼拡大することによって社会にも影響を及ぼし、混乱を与えます。
 このような火災をなくし、発生した火災による被害を最小限にとどめるためには、現に発生した火災を調査することによって得た資料を活用するのが、最善の策といえるでしょう。
 つまり、火災調査とは、火災がどのようなものであったか、いかにして発生して拡大し、どの程度の損害を発生させたかを、明らかにするものなのです。すなわち、発火源、経過、着火物、出火箇所によって表される火災の原因、火災による損害を増大させた要因、死傷者の発生原因など、幅広い調査が必要となります。
 そして、これらの調査結果が広く国民に火災の実態として知らされ、類似した火災の防止や損害の防止に役立てられます。また、調査結果をふまえ、検討や分析が重ねられて、消防行政推進のための資料や安全基準作成の資料としても活用されることになります。
 このように、「火災調査」は、消防行政の基軸づくりのための重要な任務なのです。
 消防機関の行う火災の調査は、警察機関の行う捜査とは異なり、火災予防を中心とする消防行政を効率的に推進するための資料収集をその目的としています。しかし、火災の原因調査は、その対象物が原形をととめず、復元が不可能な現場で展開されることが多いのが現状です。
 火災現場に残された、わずかな痕跡から原因究明を行うには、長年の経験から得た膨大な知識や情報と、最新の分析機器に関する知識、そこから得られる情報の高度な分析処理能力が求められます。
 そして、消防の縁の下の力持ちとして、この火災原因調査を担当するのが、「火災原因調査員」です。
火災原因調査
火災原因調査
 火災現場では、長靴をはきカメラ等を片手に、地道に火災の原因を究明していきます。最近では、漏電した箇所を測定する漏洩電流計や、超小型カメラ等のハイテク機器も使用されており、広い領域にわたる科学的かつ専門的な知識も求められています。
 また、国際化に伴い、外国人が関係する火災が増加しており、火災調査を行う上で、言葉が通じないために、現場の状況を把握することや、り災証明書の発行などが難しい状況になっています。
 このため、日本語の不自由な外国人に対しては、通訳を火災調査現場などに派遣して、外国人の権利や利益を保護できる火災調査に努めています。
 さらに、製造物責任法(PL法)が平成7年7月から施行され、テレビ、エアコン、洗濯機、自動車などの製造物の欠陥による火災によって、消費者が被害を受けた場合は、その原因を科学的に明らかにしていくこと、そして被害を受けた人を救済していくことが、今後ますます必要になってきています。



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