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東京消防庁ライブラリー消防雑学辞典
消防雑学事典
?雷の観測機器を焼いた落雷

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  雷さんは ヤボな奴だよ
  ヘソばっかり狙って
  私なら −−−−− 狙うよ
  ソーダ ソーダ まったくだョ


 雷が鳴るとへそを取られるからと、早々に裸の腹に金太郎を巻きつけた記憶は、だれにでもあることと思います。昨今の子供たちにそんなことを言ったら、一笑に付されてしまうでしょうが、それはそれなりに生活の知恵が生かされた言葉なのです。雷雨は上空の冷たい空気を降ろしてきますから、暑いからといって裸のままでいると体が冷えてしまうのです。大人ははいちいち言われなくても着物を着るのですが、子供はそうはいかないので「雷さんにへそを取られるぞ! 早く腹がけをしてへそをかくせ!!」ということになったのです。
 へそを好む不逞な輩の正体を見きわめてやろうというつもりでもなかったのでしょうが、アメリカのフランクリンは1752年7月に、凧をあげて雷の本性をさぐっています。フランクリンは1743年に電気を発見しておりますので、雷も電気の作用で起こるのであろうと考えたからです。もっとも、その考えを友人に知らせたりしていますので、それを聞いたフランスのダリバールが、フランクリンと同じ年の5月にパリ郊外で実験を試みています。先陣争いで2か月の差をつけられたフランクリンですが、実績がものをいって雷といえばフランクリンといわれています。
 日本で雷の多い地方は群馬県から栃木県へかけての北関東、滋賀、三重県境の鈴鹿山脈を中心とする地方と、それに日田盆地を中心とする北九州地方ですが、雷による被害は、落雷によって起きています。飛行機は雷雲を避けて飛行していますが、昭和46(1971)年7月19日の雷は、茨城県上空でジャンボ機の機首を破壊しています。
 昭和19(1944)年には法輪寺(奈良)の国宝三重塔が焼失しましたが、これも落雷によるものでした。このときは塔に避雷針を付けるための申請をしている最中のできごとでした。

落雷火災を報じた東京朝日新聞
落雷火災を報じた東京朝日新聞  昭和15(1940)年6月20日には東京都千代田区大手町の中央気象台(現在の気象庁)が焼けていますが、これは隣にあった逓信省航空局の建物に落雷があって火災となり、類焼したものでした。本火災で中央気象台が、雷の本場である前橋付近での雷雨を観測するために準備していた観測機器を、すべて消失してしまったことは、何とも皮肉なことでした。
 このときの落雷火災で焼失した主な建物は、前記の中央気象台、逓信省航空局のほかに、大蔵省、企画院、厚生省、東京営林局、神田橋税務署で、被害は、全焼21棟、半焼4棟、焼失面積67,558平方メートル、殉職警防団員2人、重軽傷者107人に及びました。
 落雷の被害を防ぐためには、昔からいろいろな方法や言い伝えがあります。「くわばら、くわばら」と唱えるとか、かやの中に入っているとか、光り物を身に付けないとかなどがその代表でしょう。これらの中にも単なる俗諺としかいえないものと、根拠の考えられるものとがあります。
 まず「くわばら、くわばら」ですが、しばしば京都に落雷があっても、不思議なことに、今日でも文道の神といわれている菅原道真が住んでいた桑原には、一度も雷が落ちなかったことから、雷のときには「くわばら、くわばら」と唱えるようになったといわれています。
 かやについては定かではありませんが、麻は電気伝導度が大きいことから、雷の電流を全部引き受け、中の人は安全だとの説もあるようですが、実際にはかやの中で雷にうたれ感電死した例もありますから、あまりあてにはなりません。ただ、かやの中に入ることによって、部屋の中央に位置することになるので、電灯線などからも離れることになり、安全度が高まるようです。
 光り物については、今更言うまでもありません。雷の正体が電気なのですから、導体を身から離すことは、それだけ危険が少なくなることになります。ただ、雷は導体以外には落ちないという考えは間違いで、山火事などの原因となる落雷は、大木にも落ちるのです。
 雷は高いものにも落ちやすいので、高い建物には避雷針が付いています。建築基準法では第33条に「高さ20メートルをこえる建築物には、有効に避雷設備を設けなければならない」としていますし、そのほかにも一定数量以上の危険物を取り扱う危険物製造所等にも、避雷針の設置が義務づけられています。避雷針によってすべての落雷が避けられるかというと、そうはいきません。避雷針には保護範囲というものがあり、その範囲を超えたものを保護することはできないのです。一般的な目安として、避雷針の先端を45度の角度で仰げる範囲に入れば安全だといえます。
 雷をもたらす雲を普通は雷雲といっていますが、それは地上10〜15キロメートルのところに発生する積乱雲のことです。積乱雲は気層の重なり方が不安定なときにできる雲で、はじめにできる積雲は、入道雲と呼ばれる雄大なものです。このときはまだ雷を起こすような電気的な働きは始まっていませんが、積雲の中に氷の結晶(雪)ができはじめると雲の形が変わり、かなとこ雲(朝顔雲ともいう)となって、雷光が飛び雷鳴も発する雷雲となるのです。
 雷雲は気象と関連してできますが、他にも火山の爆発や大火などのときにできて、雷を発することがあります。



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