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東京消防庁ライブラリー消防雑学辞典

このページは、新 消防雑学事典 二訂版(平成13年2月28日(財)東京連合防火協会発行)を引用しています。
最新の情報ではありませんので、あらかじめご了承ください。


消防雑学事典
?消防のふれあいネットワーク

mark  私たち日本人が誇りに思うことは、たくさんあります。治安がいいこと、人々が勤勉であること、四季があることなどが挙げられますが、中でも長寿であることは、世界に誇れることです。厚生省が調査した平成10年の平均寿命は、男性77.16歳、女性84.01歳で、世界一の長寿国となっています。
 しかしながら、国民の平均寿命が延びたということは、いわゆるシルバー世代の人口比が増したことになり、とりもなおさず、社会の高齢化を示しています。
 また、これに加え、生活環境も変化しました。例えば、家族構成の核家族化、人口過密による住居形態の変化、そしてプライバシーの尊重により、近所付き合いが薄れていく傾向があります。

高齢者への防災指導
高齢者への防災指導  そこで、東京消防庁では、このような社会情勢の変化に対応するため、昭和48(1973)年から、女性消防吏員が中心となり、高齢者の家庭に対する防火診断を開始し、高齢者の家庭を個別訪問して、火の元のチェックや防火・防災指導をソフトに、きめ細かく行うようになりました。そして、その際、高齢者だけでなく隣近所の人たちにも、何かあった際の手助けをお願いしています。
 さらに、高齢者や身体の不自由な人など、災害に弱い立場の人々(災害弱者)に対する安全対策をすすめることを検討し、平成2年から消防のふれあいネットワークづくりをスローガンとして、町会や自治会などの自主防災組織による「地域協力体制づくり」を行っています。
 この制度は、災害に弱い立場の人々の存在を地域の住民が知り、災害時に限らず日常生活の中で自然な付き合いを保ち、地域住民の手によってこれらの人々が安心して暮らせる環境をつくるためのものです。
緊急通報システムのしくみ  具体的には、(1)町会・自治会、防災市民組織などの防災組織、(2)ボランティア活動を行う人たち、(3)趣味や文化活動などで自主的に集まる組織、(4)健康な高齢者、(5)高校生や大学生などの若い世代、などを通じて協力を呼びかけています。
 この他、通信機器の開発も進められ、緊急通報システム、火災安全システムやファクシミリによる緊急時の通報体制が整えられています。
 しかし、いくら機械化が進んでも、火災や地震などの災害が発生した際は、周囲の人たちの温かい救いの手が最も必要とされるのは言うまでもありません。
 まもなく、国民4人に1人がシルバー世代になる時代がやってきます。その時になっても人々が安心して暮らせるようにするためのしくみが「消防のふれあいネットワーク」づくりなのです。



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