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東京消防庁ライブラリー消防雑学辞典
消防雑学事典
?科学の粋を集めた消防隊

mark 近年の高度な化学工業、先端技術産業などの発展により、東京都内では、化学工場、研究施設など多くの事業所で、毒物、劇物、危険物などが大量に製造され、取り扱われています。
 また、病院や研究施設などでは、検査や実験のために放射性同位元素(RI)などが貯蔵され、取り扱われています。
 さらに、これらの物質は、毎日車両などにより輸送されています。
 このような施設や車両などで、火災によって有毒ガスが発生したり、ガソリンや液化石油ガス(LPG)、放射性同位元素(RI)などの漏洩事故が発生したりした場合には、被害が大きく、また、広範囲に及ぶおそれがあります。
 過去の災害をみても、昭和59(1984)年にインドのポパール市の殺虫剤製造工場での、有毒ガス漏洩事故(死者2,600人以上)があり、我が国でも昭和62(1987)年の中国自動車道でのフッ化水素流出事故、平成2年の板橋区の第一化成工業での過酸化ベンゾイルによる爆発事故など災害が発生しており、さらに、平成7年3月には東京の地下鉄等でのサリン事件が発生するなど、化学災害の発生が憂慮されています。
 こうした災害に対応するため、東京消防庁では、昭和62(1987)年に「化学災害対応の消防活動に係る検討委員会」を設置し、これらの検討結果などに基づき、危険物、毒・劇物、高圧ガス、放射性物質、火薬類、病原体関係の施設や輸送車両の火災・漏洩による災害等の化学災害に対応するために、平成2年4月1日、特殊化学車とポンプ車で編成する専門部隊として化学機動中隊を配置しています。
 この化学機動中隊には、特別な研修を受けた隊長と隊員が乗っており、140種類のガスが分析できるガス分析装置、携帯式のガスクロマトグラフ、酸欠空気・危険性ガス測定器、放射温度計、RI測定器などの測定用機器、宇宙服のような内部を陽圧にした防護服、漏洩防止マットなどの応急器具等を積載して、化学物質の種類・性質に応じた科学的な消防活動を行っています。
 また、これらの活動を支援するために、施設や物質の重要情報を即時に災害現場に活用できる災害情報支援システムや、化学物質に関するデータの検索システムなどにより、情報提供できる体制になっています。  平成7年3月20日に発生した地下鉄サリン事件には、化学機動中隊の7隊が11か所の現場に出動し、ガス分析、逃げ遅れた人の検索・救助、有毒物質の除去・洗浄等に活躍しました。

地下鉄サリン事件における化学機動中隊の活動
地下鉄サリン事件における化学機動中隊の活動



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