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東京消防庁ライブラリー消防雑学辞典

このページは、新 消防雑学事典 二訂版(平成13年2月28日(財)東京連合防火協会発行)を引用しています。
最新の情報ではありませんので、あらかじめご了承ください。


消防雑学事典
?広がる災害救助の輪 −緊急消防援助隊の創設−

mark 平成7年1月17日5時46分ころ、突如、神戸市を中心とした近畿地方を襲った大地震。
この阪神・淡路大震災 (平成7年兵庫県南部地震)の被害は、死者6,432名、負傷者43,792名、住家被害512,880棟(平成12年1月11日現在)にもおよび、昭和23年(1948)年に発生した福井地震(死者約3,900名)の規模を上回り、戦後最大級の震災となりました。

この地震で発生した火災の消火や建物の下敷きになった多くの人の救助のために、地元の消防本部や消防団はもとより、全国41都道府県の451消防本部から、延べ約32,000名の消防職員による広域的な応援活動が行われました。

しかし、あまりにも多くの死傷者が出るなど規模の大きな災害であったため、災害時の消防活動についても多くの教訓を残すこととなったほか、

1)消防や警察は数や活動範囲に限界がある、
2)自衛隊は戦闘が主目的であり、救助活動のために組織されているわけではない、
3)国際緊急援助隊は存在したが国内のものはない、

など議論が百出することとなりました。

こうした背景の中で、国内で発生した地震等の大規模な災害の時における人命救助などを効果的に行うため、全国の消防機関相互による迅速な救助が行えるよう、平成7年6月30日に緊急消防援助隊を発足させ、我が国における災害救助の輪を広げることになりました。

それとともに、従来までは被災地の都道府県知事の応援要請に基づいて部隊の派遣が行われていましたが、消防組織法が改正され、被災地からの応援要請を待ついとまがない場合や人命の救助のために特に緊急を要する場合は、消防庁長官の判断で部隊を即座に派遣できるよう早期出動できる体制が整備されました。

新発足した緊急消防援助隊は、大災害が発生した際に、消防庁長官から各都道府県知事への要請により出動するもので、被災地の消防の応援のため速やかに赴き、人命救助活動などを行うことを任務としています。

平成7年11月29日には、天皇陛下をお迎えし、緊急消防援助隊の初の合同訓練が、江東区の東京ガス豊洲工場跡地で行われました。
この日の訓練には、東京消防庁をはじめとして全国の98消防本部から約1,500名の消防隊員と消防車、ヘリコプター、消防艇など135台が参加しました。

天皇陛下は、「この合同訓練が実りあるものとなり、国民生活の安寧に資することを切に希望します。」とお言葉を述べられた後、訓練を視察されました。


天皇陛下の合同訓練ご視察
天皇陛下の合同訓練ご視察



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