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熱中症に注意!

1 平成26年から平成30年の熱中症による救急搬送状況

1 年別の救急搬送人員

東京消防庁管内※では過去5年間(各年6月から9月)に、22,015人が熱中症(熱中症疑いを含む)により救急搬送されました。平成30年の熱中症による救急搬送人員は過去5年間で最高の7,960人で 平成29年と比較すると4,793人(前年比251%と大幅に増加しました(図1)。
※ 東京都のうち稲城市と島しょ地区を除きます。

画像:熱中症グラフ
図1 過去5年間の熱中症による救急搬送人員(各年6月~9月)


2 月別の救急搬送人員

過去5年の月別を比較すると、救急搬送された人員が多いのは、7月と8月に集中しています(図2)。

画像:熱中症グラフ
図2 月別の熱中症による救急搬送人員


2 平成30年熱中症による救急搬送人員と気温の状況

平成30年6月から9月までの熱中症による救急搬送人員と気温の関係をみると、熱中症による救急搬送は、梅雨明け後の7月の気温が高くなった日に増加しました(図1)。平成30年は関東甲信地方では6月6日ごろに梅雨入りし、6月29日ごろに梅雨明けとなりました。(気象庁発表)
関東甲信地方が6月に梅雨明けするのは初めてのことです。これまで関東甲信地方で最も早く梅雨が明けたのは2001年7月1日でした。
赤字の数値は、1日に100人以上が熱中症(熱中症疑い含む)で救急搬送された日を示しております。

画像:熱中症グラフ 画像:熱中症グラフ
画像:熱中症グラフ 画像:熱中症グラフ
図1 熱中症による救急搬送人員と気温(平成30年6月〜9月)


3 平成30年熱中症による救急搬送状況の詳細

1 気温別の熱中症による救急搬送人員の状況

救急要請時の気温と救急搬送人員では、31℃台から33℃台は、1,000人以上の人が救急搬送され、34℃以上になると搬送人員の減少傾向がみられます(図1)。

画像:熱中症グラフ
図1 気温別の熱中症による救急搬送人員(平成30年6月~9月)


2 救急要請時の気温と湿度の状況(平成30年6月〜9月)

下の図は、平成30年6月から9月末までに熱中症で救急搬送された7,960人の救急要請時の気温と湿度を表したもので、赤い色が濃いほど救急搬送が多くなっています。
 気温30℃で湿度60%から気温26℃で湿度90%の範囲で、救急搬送人員が多く分布していることが分かります。
 また、気温が高くなくても湿度が高いと熱中症で救急搬送されていることが分かります(図2)。

画像:熱中症グラフ
備考)赤色が濃いほど救急搬送人員が多い
図2 救急要請時の気温と湿度(平成30年6月〜9月)


3 時間帯別の救急搬送状況

時間帯別の救急搬送状況をみると、13時台が792人と最も多く、次いで12時台が785人でした。特に11時台から16時台は600人以上と多くなっていました(図3)。

画像:熱中症グラフ
図3 時間帯別の救急搬送人員(平成30年6月〜9月)


4 年齢と救急搬送人員の状況

年代別の救急搬送状況をみると、80歳代が1,449人と最も多く、次いで70歳代が1,363人となっていました。人口10万人あたりの救急搬送人員で見ると、70歳代以上になると急激に多くなっており、60歳代以下では10歳代が最も多くなっていました(図4)。

画像:熱中症グラフ
図4 年代別の救急搬送人員(平成30年6月〜9月)


年齢区分別の救急搬送状況をみると、65歳以上の高齢者が3,711人で全体の約半数を占め、そのうち約7割にあたる2,625人が75歳以上の後期高齢者でした(図5)。

画像:熱中症グラフ
図5 年齢区分別の救急搬送人員(平成30年6月〜9月)


5 救急搬送時の初診時程度

救急搬送時の初診時程度をみると、救急搬送された7,960人のうち約4割にあたる3,049人が入院の必要があるとされる中等症以上と診断されています。重症以上は271人で、そのうち70 人は生命の危険が切迫しているとされる重篤と診断されています(図6−1、表1)。
 また、高齢者(65歳以上)は、半数以上の52.5%が中等症以上と診断され、後期高齢者(75歳以上)に限ると、56.2%が中等症以上と診断されています(図6−2、図6−3、表2、表3)。

画像:熱中症グラフ
図6−1 救急搬送時の初診時程度別の救急搬送人員(平成30年6月〜9月)


画像:熱中症グラフ
図6−2 年代別の救急搬送時の初診時程度と中等症以上の割合(平成30年6月〜9月)


年 代軽 症中等症重 症重 篤合 計中等症以上
の割合
9歳以下 133人 19人 1人 0人 153人 13.1%
10歳代 669人 139人2人 0人 810人 17.4%
20歳代 653人 179人 5人 2人 839人 22.2%
30歳代 467人 148人 0人 0人 615人 24.1%
40歳代 526人 204人 13人 3人 746人 29.5%
50歳代 484人 202人 24人 13人 723人 33.1%
60歳代 511人 293人 28人 10人 842人 39.3%
70歳代 679人 604人 58人 22人 1,363人 50.2%
80歳代 644人 731人 60人 14人 1,449人 55.6%
90歳代 142人 254人 10人 6人 412人 65.5%
100歳以上 3人 5人 0人 0人 8人 62.5%
合 計 4,911人 2,778人 201人 70人 7,960人 38.3%

表1 年代別の救急搬送時の初診時程度と中等症以上の割合(平成30年6月〜9月)

画像:熱中症グラフ
図6−3 年齢区分別の救急搬送時の初診時程度と中等症以上の割合(平成30年6月〜9月)

年齢区分軽 症中等症重 症重 篤合 計中等症以上
の割合
5歳以下
乳幼児
45人 8人 0人 0人 53人 15.1%
6〜12歳
小学生の年代
243人 32人1人 0人 276人 12.0%
13〜15歳
中学生の年代
244人 43人 0人 0人 287人 15.0%
16〜18歳
高校生の年代
200人 51人1人 0人 252人 20.6%
19〜64歳 2,418人 884人 55人 24人 3,381人 28.5%
65歳以上
高齢者
1,761人 1,760人 144人 46人 3,711人 52.5%
合 計 4,911人 2,778人 201人 70人 7,960人 38.3%

表2 年齢区分別の救急搬送時の初診時程度と中等症以上の割合(平成30年6月〜9月)

年 齢軽 症中等症重 症重 篤合 計中等症以上
の割合
65〜74歳 611人 414人 47人 14人 1,086人 43.7%
75歳以上 1,150人 1,346人 97人 32人 2,625人 56.2%
合 計 1,761人 1,760人 144人 46人 3,711人 52.5%

表3 高齢者の救急搬送時の初診時程度と中等症以上の割合(平成30年6月〜9月)


6 熱中症の発生場所

救急要請時の発生場所では、住宅等居住場所が3,232人で全体の40.6%を占め最も多く、次いで道路・交通施設が2,076人で26.0%を占めていました(図7−1)。
 また、年齢区分別に発生場所を見ると、乳幼児(0〜5歳)、高齢者(65歳以上)は「住宅等居住場所」が多くを占め、小学生となる6歳〜12歳、中学生となる13歳〜15歳、高校生となる16歳〜18歳は、いずれも「学校・児童施設等」、「公園・遊園地・運動場等」が多く、この2つで全体の半数以上を占めていました(図7−2〜7−7)。

画像:熱中症グラフ 画像:熱中症グラフ
図7−1 発生場所別の救急搬送人員(平成30年6月〜9月)


画像:熱中症グラフ 画像:熱中症グラフ
図7−3 発生場所別の熱中症による救急搬送人員
6歳〜12歳(平成30年6月〜9月)

画像:熱中症グラフ 画像:熱中症グラフ
図7−2 発生場所別の熱中症による救急搬送人員
0歳〜5歳(平成30年6月〜9月)


画像:熱中症グラフ 画像:熱中症グラフ
図7−5 発生場所別の熱中症による救急搬送人員
16歳〜18歳(平成30年6月〜9月)

画像:熱中症グラフ 画像:熱中症グラフ
図7−4 発生場所別の熱中症による救急搬送人員
13歳〜15歳(平成30年6月〜9月)


画像:熱中症グラフ 画像:熱中症グラフ
図7−7 発生場所別の熱中症による救急搬送人員
65歳以上(平成30年6月〜9月)

画像:熱中症グラフ 画像:熱中症グラフ
図7−6 発生場所別の熱中症による救急搬送人員
19歳〜64歳(平成30年6月〜9月)


7 過去5年間の年齢区分別発生状況

  過去5年間の年齢区分別の救急搬送人員では、平成30年は前年に比べ、すべての年齢区分で、いずれも増加していました(表4)。

年齢区分 平成26年 平成27年 平成28年 平成29年 平成30年前年比
5歳以下 16人 22人 29人 20人 53人 265%
6〜12歳 152人 170人 95人 103人 276人 268%
13〜15歳 162人 165人 127人127人 287人 226%
16〜18歳 136人 160人 93人 124人 252人 203%
19〜64歳 1,465人 1,855人 1,084人 1,259人 3,381人 269%
65歳以上 1,436人 2,330人 1,391人 1,534人 3,711人 242%
合計 3,367人 4,702人 2,819人 3,167人 7,960人 251%

表4 過去5年間の年代別救急搬送人員(各年6月〜9月)


4 平成30年熱中症による救急搬送事例

熱中症での救急搬送事例と予防のポイント

室内で熱中症になった事例

○ エアコンが壊れており、居室内の高温環境の中で過ごしている際に息苦しくなった。
【7月 80代 熱中症(中等症) 気温28.0℃ 湿度79%】

画像:熱中症
○ 自宅居室内で意識朦朧となっているところをアパートの大家が発見した。
【7月 70代 熱中症(重症) 気温29.8℃ 湿度72%】
<予防のポイント>
気温が高くなくても湿度が高いと、熱中症になることがあります。

◇ 水分補給を計画的、かつ、こまめにしましょう。

◇ 窓を開け風通しを良く、エアコンや扇風機等を活用し、室内温度を調整するなど、熱気を溜めないようにしましょう。


乳幼児が、車の中で熱中症になった事例

○ 保育園に子どもを迎えに来た母親は、車両後部座席のチャイルドシートに子どもを乗車させ、車両の鍵を車内に置いた状態でドアを閉鎖したところ車両ドアが施錠されてしまい、子どもが閉じ込められた。
【8月 1歳 熱中症(軽症)気温31.1℃ 湿度72%】

画像:熱中症
○ 駐車中の乗用車内で、子どもが内鍵を掛けてしまい取り残された。
【8月 1歳 熱中症(軽症)気温36.2℃ 湿度44%】
<予防のポイント>
夏場の車内の温度は、短時間で高温になります。

◇ 少しの間でも子供を車内に残さないようにしましょう。

◇ 子供が、自分で内鍵をかけたり、車の鍵で遊んでいて誤って、ロックボタンを押してしまい閉じ込められる事故が発生しています。車を降りる際は、鍵を持って降りましょう。


屋外で作業中に熱中症になった事例

○ 洗車の作業をしていたところ、嘔気と頭痛が出現し始め、作業を終えた後に店舗内で崩れるように倒れた。
【6月 40代 熱中症(軽症) 気温29.7℃ 湿度69%】

○ 工事現場で解体作業中の方は頭痛および脱力感があったため、日陰で休養したが症状の改善がなかった。
【7月 20代 熱中症疑い(中等症) 気温32.4℃ 湿度68%】


屋外で並んでいて熱中症になった事例

○ イベントの列に並んでいる際、急に具合が悪くなり、その場に座ったがしばらく様子を見ても容態が改善しなかった。
【8月 10代 熱中症(中等症) 気温33.3℃ 湿度66%】


運動中に熱中症になった事例

○ サイクリング中に頭痛と手指のしびれを感じ、水分補給をしたが路上で動けなくなった。
【7月 30代 熱中症疑い(中等症) 気温27.7℃ 湿度68%】

○ 体育館でバレーボールの試合をしていた際に頭痛・嘔気があり、涼しい部屋に移動して休んでいたが症状が改善せず、嘔吐した。
【8月 10代 熱中症(中等症) 気温29.9℃ 湿度65%】


複数の熱中症患者が発生した事例

画像:熱中症
○ 野球の練習中に中学生6 名が熱中症の症状を訴えた。
【6月 10代6名 熱中症(中等症) 気温29.1℃ 湿度54%】
<予防のポイント>
クラブ活動等では、複数の生徒が熱中症で救急搬送されています。指導者等は、無理のない活動に配意しましょう。

◇ 水分補給を計画的、かつ、こまめにしましょう。

◇ 屋外では帽子を使用しましょう。

◇ 襟元を緩めたり、ゆったりした服を着るなど服装を工夫しましょう。

◇ 指導者等が積極的、計画的に休憩をさせたり、体調の変化を見逃さないようにしましょう。

◇ 実施者は自分自身で体調管理を行い、体調不良の時は無理をせず休憩しましょう。

参考文献:熱中症 環境保健マニュアル2018(環境省)より


5 熱中症の予防と対策

1 熱中症の予防

(1) 暑さに身体を慣らしていく。

暑い日が続くと、体がしだいに暑さに慣れて(暑熱順化)、暑さに強くなります。
 暑熱順化は、「やや暑い環境」で「ややきつい」と感じる強度で毎日30分程度の運動(ウォーキングなど)を継続することで獲得できます。暑熱順化は運動開始数日後から起こり、2週間程度で完成するといわれています。そのため、日頃からウォーキングなどで汗をかく習慣を身につけて暑熱順化していれば、夏の暑さにも対抗しやすくなり、熱中症にもかかりにくくなります。汗をかかないような季節の段階から、少し早足でウォーキングし、汗をかく機会を増やしていれば、夏の暑さに負けない体をより早く準備できることになります。

<対策>

○ ウォーキングなど運動をすることで汗をかく習慣を身に付けるなど、暑さに強い体をつくる。

(2) 高温・多湿・直射日光を避ける。

熱中症の原因の一つが、高温と多湿です。屋外では、強い日差しを避け、屋内では風通しを良くするなど、高温環境に長時間さらされないようにしましょう。

<対策例>

○ 日陰を選んで歩く。

○ 涼しい場所に避難する。

○ 適宜休憩する、頑張らない、無理をしない。

○ 風通しを利用する…玄関に網戸、向き合う窓を開ける。

○ 窓から射し込む日光を遮る …ブラインドやすだれを垂らすなど。

○ 空調設備を利用する…我慢せずに冷房を入れる、扇風機も利用する。

○ ゆったりした衣服にする。襟元をゆるめて通気する。

○ 日傘や帽子を使う(帽子は時々はずして、汗の蒸発を促しましょう)。

(3) 水分補給は計画的、かつ、こまめにする。

特に高齢者はのどの渇きを感じにくくなるため、早めに水分補給をしましょう。普段の水分補給は、健康管理上からもお茶や水がよいでしょう。水分補給目的のアルコールは尿の量を増やし体内の水分を排出してしまうため逆効果です。

なお、持病がある方や水分摂取を制限されている方は、夏場の水分補給等について必ず医師に相談しましょう。

<対策>

○ こまめに水分補給・のどが渇く前に水分補給する。

○ 1日あたり1.2ℓの水分補給・起床時、入浴前後に水分を補給する。

(4) 運動時などは計画的な休憩をする。

学校での体育祭の練習、部活動や試合中などの集団スポーツ中に熱中症が発生していることから、実施する人はもちろんのこと、特に指導者等は熱中症について理解して、計画的な休憩や水分補給など、熱中症を予防するための配慮をしましょう。

汗などで失われた水分や塩分をできるだけ早く補給するためには、水だけでなく、スポーツドリンクなどを同時に摂取するのもよいでしょう。

また、試合の応援や観戦などでも熱中症が発生していることから、自分は体を動かしていないからと言って注意を怠らないでください。

<対策>

○ 環境条件を把握しておきましょう。

○ 状況に応じた水分補給を行いましょう。

○ 暑さに徐々に慣れる。

○ 個人の条件や体調を考慮する。

○ 服装に気をつける。

(5) 乗用車等で子供だけにしない。

車内の温度は短時間で高温になります。少しの間でも、子供を車内に残さないようにしましょう。

<対策>

○ 子供を車の中で決して、一人にしないでください。

(6) 子供は大人よりも高温環境にさらされています。

一般的に地面に近いほど、地面からの輻射熱は高くなります。子供は大人に比べて身長が低いため、大人よりも、地面から受ける輻射熱は高温となります。
東京都心の気温が32.3℃だったとき、幼児の身長である50cmの高さでは35℃を超えています。また、さらに地面に近い5cmは36℃以上でした。

画像:熱中症の応急処置

<対策>

○ 子供は大人の想像以上に輻射熱等を受けていると考えましょう。

○ 子供の体調の変化に注意しましょう。


2 熱中症を疑う症状と応急手当

熱中症を疑った時には、放置すれば死に直結する緊急事態であることをまず認識し、下図を参考に対応してください。

画像:熱中症の応急処置

※ 参考文献:熱中症環境保健マニュアル2018(環境省)