東京消防庁では毎年熱中症※1による救急搬送人員が増えはじめる6月に入る前から、熱中症に対する注意喚起を実施しています。
平成27年は、前年の熱中症の発生状況を分析し、都民に対する注意喚起を実施しました。
平成27年6月から9月までの東京消防庁管内※2での熱中症による救急搬送状況※3については次のとおりです。
平成27年(6月〜9月)の熱中症による救急搬送人員は、昨年と比較して約3割増加となる4,408人でした(図1)。
図1 過去5年間の熱中症による年別救急搬送人員(各年6月〜9月)
平成27年の熱中症による救急搬送人員は、7月、8月は、最高気温30度以上※4の日が連続するなど、過去5年間で7月は最も多く、8月は2番目に多くなっていました(図2)。
図2 過去5年間の熱中症による月別救急搬送人員(各年6月〜9月)
熱中症による救急搬送人員と気温の関係をみてみると、平成26年、平成27年ともに、7月、8月の連続して気温が高くなった日に、救急搬送人員が増加しており、特に梅雨明け後は大幅に増加しています。また平成26年は6月1日の早い時期にも50人以上の人が救急搬送されています(図3)。
年代別の救急搬送状況では、高齢者(65歳以上)が全体の50.1%と全体の半数を超えています。さらに、65歳以上のうち後期高齢者(75歳以上)の割合は70.6%と非常に高い割合となっています(図4)。
図4 熱中症による年代別救急搬送人員割合(平成27年6月〜9月)
前年からの救急搬送人員の増減率では、平成27年は前年と比較して30.9%の増加となっています。小学生の年代にあたる6歳から12歳と中学生の年代にあたる13歳から15歳は減少が見られましたが、その他の年代は全て増加となっています。
また、高齢者(65歳以上)は前年比53.7%の増加となり(表1)、後期高齢者(75歳以上)は前年比58.3%の増加となっています(表2)。
表1 熱中症による年代別救急搬送人員と増減率(各年6月〜9月)
年齢 | 平成26年 救急搬送人員 |
平成27年 救急搬送人員 |
前年増減率 |
---|---|---|---|
5歳以下 | 16人 | 21人 | 31.3% |
6〜12歳 | 152人 | 150人 | -1.3% |
13〜15歳 | 162人 | 152人 | -6.2% |
16〜18歳 | 136人 | 149人 | 9.6% |
19〜64歳 | 1,465人 | 1,729人 | 18.0% |
65歳以上 | 1,436人 | 2,207人 | 53.7% |
総 計 | 3,367人 | 4,408人 | 30.9% |
表2 熱中症による年代別救急搬送人員と増減率(各年6月〜9月)
年齢 | 平成26年 救急搬送人員 |
平成27年 救急搬送人員 |
前年増減率 |
---|---|---|---|
65〜74歳 | 451人 | 648人 | 43.7% |
75歳以上 | 985人 | 1,559人 | 58.3% |
年代別の熱中症による救急搬送人員の中等症以上の割合では、5割以上の高齢者(65歳以上)が、救急搬送時の初診時程度で入院が必要とされる中等症以上と診断されています(図5)。
図5 年代別の熱中症による救急搬送人員と中等症以上の割合(平成27年6月〜9月)
今年も早い時期から熱中症に対する注意喚起が各行政機関、学校、報道機関など様々な所で行われましたが、7月から8月にかけて猛暑日が8日間連続するなど、熱中症による救急搬送は、前年と比較すると大幅に増加しました。
特に高齢者(65歳以上)は、救急搬送全体の半数を超え、依然として入院が必要とされる中等症以上の割合も5割以上と非常に高くなっています。今後とも個人の熱中症予防対策とともに家族など周囲による熱中症予防対策が必要不可欠となります。