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専用容器以外の移し替えは危険(洗剤の事故)

事故防止のために
  •  1 洗剤を別の容器に移し替えない

    アルミ缶など金属製の容器は、洗剤と容器が化学反応を起こし容器が破裂することや溶けることがあります。

  •  2 種類の違う洗剤を一緒に使わない

    塩素系洗剤と酸性洗剤を一緒に使うと、有毒なガスが発生することがあります。

    また、違う洗剤が混ざらないよう、前に使用した洗剤をしっかりと水やお湯などで流してください。

  •  3 使う前に容器に書かれている注意事項を確認する

    洗剤の容器に書かれている注意事項などを必ず確認しましょう。

1 専用容器以外へ移し替えや詰め替えの危険

平成24年10月に東京消防庁管内で、アルミニウム製の飲料用容器に業務用洗剤を入れたことにより缶が破裂し、複数の受傷者がでる事故が発生しました。

この事故は、勤務先で使用していた業務用洗剤(アルカリ性)をコーヒー缶(アルミニウム製)に移し蓋をして持ち帰る途中で、洗剤の成分とアルミニウムが化学反応を起こし、発生した水素ガスが密封された缶の中に溜まり、缶の内圧が高まり破裂したものです。

(1) アルミニウム製飲料用容器に洗剤を入れたことによる事故事例

事例1
 買い物でレジに並んでいたところ、隣の女性客が持っていた紙袋の中の洗剤入りのアルミ缶が破裂し、飛び散った洗剤が目に入り受傷した。【58歳女性・眼球異物・軽症】
事例2
 飲食店で、飲み残しのジュースの缶(アルミニウム製)に清掃時に使用したアルカリ性洗剤が入り、気が付かずにそのまま蓋を閉め屋外に捨てた。その後、屋外に捨てた容器が破裂し、その場を通行中の家族に洗剤がかかり受傷したもの。【36歳女性、7歳男児・化学熱傷・軽症】

(2) 洗剤の移し替えの危険性

洗剤は性状等を考慮し、洗剤の変質や容器の腐食などがないように、様々な安全対策に基づき専用の容器に入れ販売されています。

このため、小分けや保管のために専用容器以外へ移し替えることは想定外の事故を引き起こすことがあります(表1)。

表1:専用容器以外への移し替え危険
専用容器以外への移し替え 危険性
容器の材質 洗剤
アルミニウム アルカリ性洗剤

洗剤の成分とアルミニウムやスチールとの化学反応により、水素が発生する。

  • 1 蓋などで密封された容器は、破裂する危険がある。
  • 2 密封されていない容器は、容器が溶解し洗剤が漏れ出ることがある。
  • 3 飛び散った、または、漏れ出た洗剤によるやけどの危険がある。
アルミニウム 酸性洗剤
スチール 酸性洗剤
塩素系洗剤は専用容器以外への移し替えや詰め替えは厳禁
(消防技術安全所検証実験等より) 

(3) アルミニウム缶にアルカリ性洗剤を移し替えた時の危険性

アルミニウムの缶にアルカリ性の洗剤を入れ放置し、容器の変化を検証
【実験内容】

アルミニウム製の飲料用容器にアルカリ性洗剤を100ml入れ自然放置し、容器の変化を東京消防庁消防技術安全所で検証しました。

【化学反応】

アルカリ性洗剤に含まれる水酸化ナトリウムは、アルミニウムを溶解し水素を発生させます。

【参考】

1円玉と同量の1gのアルミニウムを、アルカリ性洗剤で全て反応させた場合、1,336mlの水素が発生します。

【実験結果】

化学反応によりアルミニウムが溶解し容器側面にひび割れが現れ、時間経過とともにひび割れが広がり、約6時間後、容器に穴が開き洗剤が漏れ出しました(A、C)。 内部では、容器のアルミニウムと洗剤が化学反応を起こしていました(B)。

 
@アルカリ性洗剤入れたアルミニウム缶 A【約6時間後】アルミ缶に亀裂が生じ、洗剤が漏れ出してきた。
@アルカリ性洗剤入れたアルミニウム缶
A【約6時間後】アルミ缶に亀裂が生じ、洗剤が漏れ出してきた。
   
Bアルミ缶の内部の状況 C洗剤を排出し内部の溶解状況
Bアルミ缶の内部の状況
 
C洗剤を排出し内部の溶解状況
実験映像2分35秒
 

2 種類の違う洗剤を使用したことによる事故

(1) 事故事例

事例1
 自宅台所のシンクの清掃のため、酸性洗剤と塩素系洗剤をかけたところ、ガスが発生し気分が悪くなったもの。【31歳女性・急性薬物中毒・軽症】
事例2
 ハウスクリーニングの仕事中、誤って塩素系洗剤と酸性洗剤を混ぜてしまい、発生した刺激性ガスを吸い込んでしまったもの。【49歳男性・薬物吸入・中等症】

(2) 塩素系洗剤に酸性洗剤を混ぜた時の危険性

家庭用洗剤は家庭用品品質表示法により成分、液性、用途、使用量の目安、使用上の注意などが製品に表示されています。

洗剤は用途に応じて、成分や液性など様々であり、複数の洗剤を使用することは事故の危険があります。

特に、塩素系洗剤は次亜塩素酸ナトリウムを含んでいるため混ぜたものによっては有毒な塩素ガスが発生する恐れがあります。

(3) 塩素系洗剤と酸性洗剤を混ぜ密閉空間に放置し、塩素ガスの拡散状況を検証

【実験内容】

密封した容器の中に、塩素系洗剤と酸性洗剤を混ぜた容器を置き、塩素に反応する(紫色に変色)試験紙の色の変化により塩素ガスの拡散状況を東京消防庁消防技術安全所で検証しました。

【化学反応】

塩素系洗剤は酸性洗剤と混ざることにより、塩素系洗剤に含まれる次亜塩素酸ナトリウムがpHの低下により分解が進み、塩素ガスが発生します。

【参考】
  •  1 塩素ガス発生量

    5%の次亜塩素酸ナトリウム1mlに同量の酸性洗剤を混ぜたときに16.1mlの塩素ガスが発生します。

  •  2 塩素ガス濃度と人体への危険
塩素濃度(ppm) 吸入による急性中毒症状
0.35 刺激臭により存在を感じる
1.0 長時間に耐え得る限界
3.5 強い刺激臭を感じ、30分から1時間は耐えられるが、眼、鼻、のどに刺激
35〜50 30分から1時間で死亡
900以上 ただちに死亡
 (参考文献:「科学防災指針集成」社団法人日本化学会編 丸善株式会社)
 
【実験内容】

塩素系洗剤と酸性洗剤を混ぜたガラス容器を密閉した金属製容器の中に置いた。ガラス容器に近い位置からすぐに試験紙が紫色に変化し始め、約3分後には容器内の全ての試験紙が紫色に変化しました。

また、容器内の塩素ガス濃度を測定してみたところ300ppmと人体に危険な濃度でした。

 
@塩素系洗剤に酸性洗剤を混ぜ試験紙を敷きつめた容器を密封した。 A塩素ガスが拡散している状況(約3分間で全ての試験紙が変色)
@塩素系洗剤に酸性洗剤を混ぜ試験紙を敷きつめた容器を密封した。
A塩素ガスが拡散している状況(約3分間で全ての試験紙が変色)
B人体に危険な濃度であった(塩素ガス濃度300ppm)。
B人体に危険な濃度であった
(塩素ガス濃度300ppm)。
実験映像1分17秒
 

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