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平成23年の熱中症の発生状況について

今年、東京消防庁では毎年熱中症による救急搬送人員 1)が増え始める6月前から、熱中症に対する注意喚起をはじめました。特に、過去の熱中症の発生状況を分析した結果、気温が28度を超えると救急搬送人員が急増することがわかったこと、そして、電力不足に伴う節電により、暑いと感じても冷房の使用を控える人が増加することを予測し、「28度を超えたら熱中症に特に注意!」「高齢者のいる家庭では室温調整に特に注意!」として、ポスター作りや報道発表等の取組を進めてきました。

このたび、6月から9月までに熱中症により救急搬送された人のデータが暫定的にまとまったことから、取組の結果と合わせて今年の熱中症の状況を発表します。

1) 6月から9月までの間に、熱中症(疑い含む)により救急搬送された人(今年の数値は速報)、以下同じ

1 熱中症による救急搬送人員の比較

今年は昨年と比べると救急搬送人員は減少した
図1 熱中症による救急搬送人員
図1 熱中症による救急搬送人員

熱中症による救急搬送人員は、平成22年中(6月〜9月)の4,780人と比較し740人減少し、4,040人でした(図1)。

2 救急搬送人員減少の理由

昨年に比べ、最高気温が28度を超える日が少なかった

気温の変化と、救急搬送人員の変化をグラフに表すと、今年は昨年に比べ気温の差が激しかったものの、全体的に昨年より最高気温が28度を超える日が少なかったことがわかります。また、救急搬送人員も気温とともに変化しており、7月下旬、8月下旬の気温の低下の影響が大きいことがわかります(図2)。

図2 救急搬送人員と最高気温
図2 救急搬送人員と最高気温

3 分析結果

(1) 気温上昇時(28度以上)、熱中症による救急搬送人員は減少したか

救急要請があった時点での気温 2)を28度で区切って、昨年と今年で救急搬送人員を比較すると、28度を超えていた時間に救急搬送された人は、今年は3,517人で、昨年に比べ910人減少しています(図3)。また、28度未満の時間帯では、170人増加しました(図4)。

図3 28度以上の時間帯における救急搬送人員
図3 28度以上の時間帯における
救急搬送人員
図4 28度未満の時間帯における救急搬送人員
図4 28度未満の時間帯における
救急搬送人員

28度以上の時間帯における救急搬送人員は減少しましたが、28度以上を記録した時間自体が、昨年より265時間少なくなっています(表1)。そこで、28度以上を記録した時間における1時間あたりの救急搬送人員を昨年と比較したところ、実は大きな変化がないことがわかりました(図5)。

なお、28度未満の時間帯でも、昨年は0.20人、今年は0.26人で、こちらも大きな変化はありませんでした。

表1 昨年と今年の気温別の時間
28度以上の時間 28度未満の時間 合計
(24時間×122日)
平成22年 1,205 1,723 2,928
平成23年 940 1,988 2,928
図5 28度以上の時間帯における1時間あたりの救急搬送人員
図5 28度以上の時間帯における
1時間あたりの救急搬送人員
結果 28度以上では、昨年と同じくらいの人が熱中症により、救急搬送された
2) 熱中症による救急要請時点の、気象庁発表による大手町の気温(例:14時15分に要請があった場合は14時の気温)

(2) 高齢者の救急搬送人員は減少したか

下の表は、救急搬送人員を年別、年齢層別に分けたものです(表2・図6)。

前2でも述べましたが、熱中症による救急搬送人員は、今年は昨年よりも減少し、前年比率は、84.5%となっています(表2中丸1)。

次に、各年齢層において、前年比率が全体よりも高い年齢層は黄色、低い年齢層は青色で塗り分けると、高齢者に青色が多くなっていることがわかります(表2中丸2)。特に70歳以上の高齢者では、減少していることがわかります(表2中丸3)。

表2 年齢層別救急搬送人員の比較
表2 年齢層別救急搬送人員の比較
図6 年齢層別救急搬送人員
図6 年齢層別救急搬送人員

また、気温が28度以上となった場合の、後期高齢者(75歳以上)の熱中症の発生状況を見てみると、前年に比べ減少しています。時間あたりでみても1.17人が1.07人となっており8%減少しています(図7)。

なお、後期高齢者以外で特に特徴的だったのは、10代の若い世代で、救急搬送人員は7人減少していますが、時間あたりでみると、0.36人が0.46人と、こちらは28%増加しています(図8)。

図7 28度以上の時間帯における後期高齢者の熱中症の発生状況
図7 28度以上の時間帯における    
後期高齢者の熱中症の発生状況    
図8 28度以上の時間帯における10歳代の熱中症の発生状況
図8 28度以上の時間帯における    
10歳代の熱中症の発生状況    

後期高齢者の救急搬送人員が減少した理由として、節電に伴う熱中症への注意喚起により、高齢者自身の意識向上が図れたこと、また、熱中症予防対策事業等の社会的対策が進んだことなどが考えられます。

結果 後期高齢者の救急搬送人員は減少したが、それでも約1,000人もの救急搬送があった

4 今年の熱中症の特徴は

一度に多数の傷病者が発生する事故が急増した

今年は、団体スポーツ中やマラソン大会等、運動の最中に、多数の人が熱中症と思われる症状で救急搬送されることが多く見られました(表3)。また、高校生や中学生などの若い人に多くみられる傾向にあることから、指導者等周囲の大人も注意する必要があることがわかりました。

表3 多数傷病者(5人以上)発生事案の比較
事案数 救急搬送人員
平成22年 1件 11人
平成23年 11件 79人
事例1
6月29日(最高気温34.3度)、台東区内のスポーツ施設において、高校の体育祭が実施されていたところ、女子生徒15人が熱中症の症状を訴え救急搬送された。
事例2
7月15日(最高気温33.7度)、昭島市の野球場で、応援をしていた女子生徒9人が試合観戦後に体調の不良を訴え救急搬送された。
事例3
7月17日(最高気温32.9度)、小平市内でサッカーの試合が行われていたが、男子生徒7人が体調の不良を訴え救急搬送された。

5 まとめ

平成23年は電力不足の影響も危惧され、熱中症に対する注意喚起がマスコミでも大きく報道されました。熱中症により救急搬送された人の情報と、当時の気温とをあわせて分析した結果、気温が上昇したときの熱中症の発生率自体は、昨年と今年で大きな変化がなかったことがわかりました。

一方で、救急搬送された人が若い世代に多かったにもかかわらず、危惧をしていた高齢者の熱中症救急搬送人員が減少したことについては、高齢者や高齢者のいる家族等周囲の方々が、室内での熱中症の発生に注意をしていただいた結果だと思われます。

東京消防庁では、今回の取組の結果を踏まえ、今後も熱中症による救急要請が増加し始める6月を前に、熱中症による救急搬送人員の減少を目指し、以下に示すようなさらなる注意喚起を行っていく予定です。

【熱中症予防のポイント】
  1. 節電に配慮しながらも、特に高齢者は熱中症に注意し、室内にいるときでも28度をこえたら、風通しを良くしたり、工夫したエアコンの使用など、それぞれの家庭等で出来る対策で部屋の温度を下げる。
  2. 高温時に運動等を行う際は、水分補給等の熱中症対策を入念に行うとともに、学校の指導者など周囲の人も、熱中症予防、熱中症発生時の対応等、熱中症に備えるよう訴える。