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高齢者の事故を防ぐために 〜高齢者の事故について知ろう〜

東京消防庁の管轄する地域では、毎日いろいろな事故でけがをしたり、具合が悪くなったりしている人がいます。救急車で病院に搬送される人の中で、特にけがを中心とした不慮の事故のデータを収集し、詳しく調べると、毎年同じようなけがが同じような頻度で起こっていて、特に65歳以上の高齢者での発生率や発生数がとても多いことがわかっています。

超高齢社会の現在、高齢者のけがは、健康問題の一つとして考えなければいけません。

注:以下の統計数値は、2006年から2010年までの東京消防庁管内における、けがを中心とした都民生活において生ずる事故(以下、都民生活事故という。)での救急搬送データの一部、及び2011年3月11日に発生した東日本大震災に起因した東京消防庁管内での救急搬送データ(速報値)の一部を分析しています。

約5万人の高齢者がけがなどで救急搬送!
高齢になるほどけがで救急搬送される割合は高い!

過去5年間に、けがなどの不慮の事故で、年間約11万人が救急搬送されています。5年間の推移をみても、ほぼ横ばいの状態です。

65歳以上の高齢者では、年間約5万人が救急搬送人員されており、全体に占める割合も少しずつ増えています。

人口10万人あたりの発生率から、高齢になるほど、けがなどで救急搬送される割合が高くなっているのがわかります。

都民生活事故における救急搬送人員

高齢者は・・・

都民生活事故における高齢者の救急搬送人員
都民生活事故における高齢者の救急搬送人員

41%は入院を要するような中等症以上!高齢になるほど重症度は高くなる!

救急搬送直後の初診時程度をみると、約41%は入院を要するような程度である中等症以上となっています。

また、年齢層別に中等症以上の割合をみると、高齢になるほどその割合は高くなっています。

一般的に、高齢者がけがで入院すると、その後の生活の質は大きく制限されてきます。大きなけがには特に注意しないといけません。

41%は入院を要するような中等症以上!高齢になるほど重症度は高くなる!1
41%は入院を要するような中等症以上!高齢になるほど重症度は高くなる!2

<初診時程度>

救急隊が医療機関に搬送直後、初診の医師が以下の基準で示したものです。

  • 軽症:軽易で入院の必要がないもの
  • 中等症:入院の必要があるもの
  • 重症:生命に危険があるもの
  • 重篤:生命の危険が切迫しているもの
  • 死亡:初診時に死亡が確認されたもの

<豆知識1>  加齢とからだの機能について〜身体機能は変化していく〜

気道系:歯がない(入れ歯等の使用)、十分に噛めなくなる、飲み込む機能が低下するなど
→ ものがつまりやすい、むせやすい
呼吸器系:肺でのガス交換機能低下、呼吸筋の筋力低下、咳反射の感度低下など
→ 呼吸困難になりやすい、低酸素状態になりやすい
循環器系:心臓機能の低下、動脈硬化の進行、痛みや出血に対する代償機能低下など
→ 症状が出にくい(若年者と比べて、身体の危機がわかりにくい)
神経系:刺激に対する反応の低下、神経伝達の遅延、感覚器の機能低下など
→ 危険回避が困難になり、ささいなきかっけで受傷しやすい、痛みに鈍感となる
筋・骨格系:骨密度の低下、椎間板・脊柱管が狭くなる、皮膚の弾性が低下など
→ 骨折しやすい、頸髄損傷を起こしやすい、出血しやすい、きずが大きくなりやすい
その他:体温調節機能の低下、内臓機能低下、免疫機能低下、血液凝固機能低下など
→ 他の年齢と比較しても、同等の外力で重症度が高く、合併症の頻度も高くなりやすい
参考文献:救急救命士標準テキスト(上巻・下巻)改訂第7版(救急救命士標準テキスト編集委員会:へるす出版2007)

身近な住宅等で最も多い!
ころぶことによる受傷が最も多い!
特に冬場には、おぼれやちっそくで重大事故に!

けがが発生した場所をみると、実は一番身近な住宅等の居住施設が最多です。全体の6割は住宅等で発生していることがわかります。

受傷原因をみると、「ころぶ」ことによる受傷がほとんどです。加齢による身体的変化などが影響していそうですね。

季節性についてみると、冬場に特徴的なのが、「おぼれ」や「ものがつまる・ものが入る」です。あとに述べるように、浴室とご飯、餅には要注意です。

身近な住宅等で最も多い!ころぶことによる受傷が最も多い!特に冬場には、おぼれやちっそくで重大事故に!1
身近な住宅等で最も多い!ころぶことによる受傷が最も多い!特に冬場には、おぼれやちっそくで重大事故に!2
身近な住宅等で最も多い!ころぶことによる受傷が最も多い!特に冬場には、おぼれやちっそくで重大事故に!3

<豆知識2>  高齢者の健康状態の特徴

  • 加齢に伴い、生理的にも様々な変化が起こり、疾病を持ちやすくなります。
  • 持病や基礎疾患となるものが蓄積され、複数の疾病を持つことが多くなります。
  • 高血圧や動脈硬化などの循環器系の慢性疾患や腰痛や膝の痛みなど整形外科的な持病を持つ人が多くなり、治療に時間を要することが多くなります。
  • 日常的に服薬をする人が多くなり、その副作用等でころぶなどの事故が起きやすくなります。

<豆知識3>  ヒートショックとは〜寒い時期には特に注意!

寒い時期に、暖房のきいた部屋から、廊下やトイレ、浴室などにいくと、急な寒さで身体がゾクゾクすることがあります。急激な温度変化がもたらす身体への影響をヒートショックといいます。

室温など、私たちを取り巻く外気温が急激に変化することで、心血管系に大きな負担がかかってきます。急な寒さで血管が急激に収縮し、血圧が急上昇することで、脳卒中や心筋梗塞への危険が高まります。急激な温度変化は思った以上に身体に負担がかかっています。

居室・寝室での受傷が圧倒的に多い!
床・畳や家具等につまづいて、ころぶことによる受傷が最も多い!
注意すべきは、浴室・脱衣所、屋根・屋上!原因別では、おぼれが最も危険!

住宅等居住施設での事故が多いことは前述しましたが、その詳細をみると、一番身近な居室・寝室でのけがが最も多く発生してます。また、重症度が高くなる場については、浴室・脱衣所、屋根・屋上となります。

受傷原因をみると、「ころぶ」ことによる受傷がほとんどです。重症度との関連をみると、おぼれが最も高くなっています。

事故に関連する設備・製品ではタンスなどの家具や階段が多くなっています。

居室・寝室での受傷が圧倒的に多い!床・畳や家具等につまづいて、ころぶことによる受傷が最も多い!注意すべきは、浴室・脱衣所、屋根・屋上!原因別では、おぼれが最も危険!1
居室・寝室での受傷が圧倒的に多い!床・畳や家具等につまづいて、ころぶことによる受傷が最も多い!注意すべきは、浴室・脱衣所、屋根・屋上!原因別では、おぼれが最も危険!2
居室・寝室での受傷が圧倒的に多い!床・畳や家具等につまづいて、ころぶことによる受傷が最も多い!注意すべきは、浴室・脱衣所、屋根・屋上!原因別では、おぼれが最も危険!3

<事故防止のために1>入浴中のおぼれによる事故を防ぐために・・・

入浴中のおぼれの原因は諸説あり、様々な要因が複雑に絡んでいますが、以下の点に注意しましょう。
  • 入浴は思いのほか身体に負担をかけるということを知りましょう。

    体温が上がると、血管が拡がり、心拍数も増加し、心血管系に負荷をかけます。さらに、急激な温度差は身体に様々な影響をあたえてきます。特に持病等がある人は、医師等に相談をしておきましょう。

  • 入浴時には家族に声をかけ、家族は定期に声かけをしましょう。
  • 長湯・高温浴は避けましょう。(浴室時計の設置、温度計の設置)
  • 飲酒後の入浴はやめましょう。
    (アルコールの影響もあり、血圧が下がりやすくなっています。)
  • 浴室や脱衣所、他の部屋との温度差をできるだけ少なくする。(暖房器具の設置)

最も重症度が高いのはおぼれ!次いで、ものがつまる・ものが入る!

発症動作別に、入院を要するような中等症以上の割合をみると、「おぼれ」は件数は少ないものの、最も高い割合となっています。次いで、「ものがつまる・ものが入る」となっています。

高齢者の事故のうち、おぼれは季節性があり、特に冬場に多く発生しています。

ものがつまる・ものが入るのうち、事故に関連した製品等が明らかなもの上位20種をみると、ご飯、餅が上位にきています。餅が好きな方は多いと思いますが、餅でちっそくして、取り返しのつかない事態になる事例が毎年多発しています。食べるときは一人で食べないで、できるだけ小さく切りましょう。

最も重症度が高いのはおぼれ!次いで、ものがつまる・ものが入る!1
最も重症度が高いのはおぼれ!次いで、ものがつまる・ものが入る!2
最も重症度が高いのはおぼれ!次いで、ものがつまる・ものが入る!3

<事故防止のために2>食べ物によるちっそく事故を防ぐために・・・

食べ物によるちっそく事故に対して今すぐできる予防法は、

小さく切って、水分をとりながら、しっかりかむ
  • 食品は小さく切るなど、食べやすい大きさにして、ゆっくりかんで食べる。
  • お茶や水、汁物などをとりながら食べる。
  • 食事中に急に上を向いたり、食べ物を口に入れたまましゃべらない。

一般的に高齢者は、噛む力が弱かったり、だ液の分泌量が少なかったり、咳による反射が弱くなってきます。まわりの家族などもできるだけ高齢者と一緒に食事をしましょう。

<万が一の時、応急手当の方法を身につけるために、救命講習を受講しましょう。>

注:2011年3月11日に発生した東日本大震災に起因したけが人のデータの一部を分析しました。救急搬送人員は速報値です。

約48%は高齢者がけがをしている。
「落下・転倒物」、「転倒」に注意!

2011年3月11日に発生した東日本大震災では東京消防庁管内においても195名が救急搬送されています。これらを分析すると、高齢者の割合は約48%と半数近くを占めていました。

受傷原因をみると、地震による落下・転倒物による受傷が最も多く発生しています。次いで、転倒による受傷です。

約48%は高齢者がけがをしている。「落下・転倒物」、「転倒」に注意!1
約48%は高齢者がけがをしている。「落下・転倒物」、「転倒」に注意!2
約48%は高齢者がけがをしている。「落下・転倒物」、「転倒」に注意!3
約48%は高齢者がけがをしている。「落下・転倒物」、「転倒」に注意!4

高齢者や家族・地域の人へのお願い

これまでみてきたように、不慮の事故で救急搬送される高齢者は増加の一途をたどっています。また、不慮の事故全体に占める高齢者の割合も増加しています。さらに、高齢になるほど救急搬送される割合も高くなってきます。

そして、事故の発生場所は、一番身近で、安心と思われている住宅内での発生です。まず、各家庭で対策を立てるために、事故の実態を把握することに加え、以下のような視点が大切になってきます。

事故防止の視点1・・・事故の実態を知る・知らせる
家庭内での事故が多い!高齢者の発生率は高い!
事故防止の視点2・・・身体機能について自覚する

加齢とともに身体機能は変化していきます(前述<豆知識1>)。

生活環境(特に生活動線)を定期的に点検・見直しする。

事故防止の視点3・・・整理・整頓
少しずつ、計画的に実行していきましょう。家族も支援を。
事故防止の視点4・・・多い事故、大きな事故を防ぐ
「ころぶ」を防ぐために

段差の解消(スロープ、ミニスロープ)

十分な明るさ(足下灯、人感センサー、照明器具の設置)

滑り止め(階段、廊下、玄関先)

「おぼれ」を防ぐために

入浴は思いのほか身体に負担をかけるということを知りましょう。

入浴時には家族に声をかけ、家族は定期に声かけをしましょう。

長湯・高温浴は避けましょう。(浴室時計の設置、温度計の設置)

飲酒後の入浴はやめましょう。

浴室や脱衣所、他の部屋との温度差を少なくしましょう。(暖房器具の設置)

「ものがつまる・ものが入る」を防ぐために

小さく切って、よく噛む

お茶など水分をとりながら食事をする。

食事中に急に上を向いたり、食べ物を口に入れたまましゃべらない。

「緊急時」のための一例
緊急用ブザー・センサーの設置、非常時のための警笛を配置
事故防止の視点5・・・家族・隣近所での声かけ
高齢者は体調が毎日変わりやすくなってきます。家族や隣近所と高齢者とのおつきあいを密にし、万が一の時に早く対応できる態勢をとっていきましょう。

東京消防庁救急相談センター #7119 つながらない場合は… 23区 03(3212)2323 多摩地区 042(521)2323
問合せ先
防災部防災安全課防災安全係