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プール施設における塩素ガス中毒事故について

プール開きを目前に控え、各施設では清掃作業等に取りかかる時季となりましたが、開設期間中、消毒と清掃で使用する薬剤を誤って混合させ、発生した塩素ガスによる中毒事故が毎年数件発生しています。

1 塩素ガスの発生する理由及び症状

プールサイドのイラスト

プールの消毒に用いられる次亜塩素酸ナトリウムはアルカリ性であり、一方、水中のゴミなどの浮遊物を凝集し、濾過を助けるための凝集剤に用いられるポリ塩化アルミニウムは酸性のため、混合すると黄緑色の有毒な塩素ガスが発生します。塩素ガスは、目、皮膚、気道を強く刺激し、低濃度でも鼻やのど、目に刺激を感じ、吸った場合は、肺水腫を起こすこともあります。特に低濃度の場合、上気道への刺激が弱いため、ガスが肺の奥まで侵入し、遅れて肺水腫を起こしてきます。このように遅れて中毒症状が出現することがあります。また、高濃度の場合は、窒息感などの呼吸器症状や中枢神経症状などを起こし、死に至る場合もあります。

<アルカリ性薬品>と<酸性薬品>の混合危険がある。
発生する塩素ガスの吸引は重症化することも。
<混ぜるな危険!>

2 主な事故事例

(1)

ビルメンテナンス作業員が、プール施設の機械室内において、次亜塩素酸ナトリウム用の100リットルタンク(約70リットル残留)に、誤ってポリ塩化アルミニウム約20リットルを混入させ、塩素ガスが発生したもの。

(負傷者なし、平成22年6月)
(2)

20歳男性(アルバイト社員)と22歳女性(アルバイト社員)が、学校のプール施設の機械室で清掃作業を行っていた際に、タンクに入っていた次亜塩素酸ナトリウムが減っていたため補充しようとしたところ、誤ってポリ塩化アルミニウムを投入したために発生した塩素ガスを吸い込み受傷したもの。

(軽症2名 平成22年6月)
(3)

28歳男性教諭がプール施設の機械室で清掃作業を行っていた際に、誤って次亜塩素酸ナトリウムのタンクにプール用の凝集剤のポリ塩化アルミニウムを入れたため、塩素ガスが発生したもの。作業を行っていた教諭から、異臭が発生している旨の報告を受けた教諭4名が現場を確認するために機械室に入ったところ、塩素ガスを吸い込み受傷したもの。

(軽症5名 平成22年7月)
(4)

24歳男性(アルバイト社員)が、プール施設の機械室内での清掃作業中、次亜塩素酸ナトリウム約10リットルを誤って隣接されているポリ塩化アルミニウムのタンク内に補充してしまったため、塩素ガスが発生し、そのガスを吸い込み受傷したもの。

(軽症1名 平成22年12月)
「誤って」、「まちがえて」投入してしまう。
事故発生時の避難行動が遅れている事例も。

3 事故防止のために

(1)

注入口付近や保管容器等に目立つよう大きな文字で薬剤の名称等を表示する。

特に注意を要する事例として下図のようなものがあります。

薬品自体の容器の色・形が類似
投入容器の色が類似
<どちらに入れるのか不明確!>
次亜塩素酸ナトリウムの容器ポリ塩化アルミニウムの容器
次亜塩素酸ナトリウムを投入する容器ポリ塩化アルミニウムを投入する容器
しっかりと区別すべきものが混同しやすい色である。
灰色を白へ?白を灰色へ?灰色を灰色?
<誤投入の原因となる!>
次亜塩素酸ナトリウムの容器危険!ポリ塩化アルミニウムの容器
次亜塩素酸ナトリウムを投入する容器ポリ塩化アルミニウムを投入する容器
<対策案>

明確に識別できる色(テープなど)で区別する。

容器にテープを貼り区別
容器にテープを貼り区別

保管場所、注入場所に色を合わせて表示する。

保管場所、注入場所に色を合わせて表示
(2)

薬剤等の取扱いは十分な知識がある者、又は、取扱いについて十分に説明を受けた者が行う。また、努めて複数人で作業を行う。

(3)

薬剤等は種類ごとに専用の保管場所で保管する。

(4)

万が一の事故発生時の対応について周知しておく。

事故発生時には、他の部屋への避難、消防機関への通報、空調設備の停止など、各施設の対応マニュアルがあればそれに従う。判断に迷うときは、避難行動を遅らせないように、まず避難等して、速やかに消防機関に通報する。

4 その他

(1) 事故防止対策

「東京都プール等取締条例施行規則別表第二」

同条例等は東京都内のうち、特別区、八王子市及び町田市を除いた地域に適用されます。特別区、八王子市及び町田市はそれぞれの区市の条例に基づきます。

異種の薬剤の混合による事故を防止するため、保管容器に薬剤の名称を示す等の方法により薬剤の種類を明確にすること。

薬剤の補充等を実施する係員には、十分な知識を持った者を充てること。

(2) 事故発生時の対応

「次亜塩素酸塩溶液と酸性溶液との混触による塩素中毒災害の防止について」

(平成16年11月2日付厚生労働省労働基準局安全衛生部長通知)

誤って接触させ、塩素ガスが発生した場合には、速やかに退避させること。

塩素ガスによる健康被害を受けるおそれのないことを確認するまでの間、関係者以外の者が立ち入ることを禁止し、かつ、その旨を見やすい箇所に表示する必要があること。


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