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東京消防庁

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飲食店のぼや火災において、
消火器と消火用散水栓により初期消火活動を行い
延焼拡大を防いだ事例

用途等 複合用途(16項イ) 地上14階地下1階 出火場所 3階 厨房
焼損程度 建物ぼや 出火時間帯 夕方
けが人等 なし
出火原因 ガスこんろの五徳を外して、ガスこんろ上部で炎にかざして加熱していたところ、火のついた油がガスこんろ下部の油受けに落下し、油受けに溜まっていた油かすに着火して出火したもの
自衛消防活動の状況※
発見
現場駆付け 
従業員Aは、大型レンジのガスこんろにこびり付いた油を焼き切るため、五徳を取り外して、点火したガスこんろ上部で炎にかざして加熱していたところ、ガスこんろ部の隙間から火が噴き出した。慌ててつまみを捻りガス栓を閉めたが、噴出した火は収まらなかった。
 その様子を見た従業員Bは、従業員Aからの指示を受けて火災発生を連絡するため、1階の防災センターへ駆け付けた。なお、出火した厨房内の自動火災報知設備の熱感知器は発報に至らなかった。
 従業員Bから連絡を受けた防災センター要員Cは、館内巡回中で9階にいた防災センター要員Dに、3階の現場確認に向かうよう無線により指示した。
通報 防災センター要員Cは、従業員Bの駆け付けを受けて防災センターから119番通報を行うとともに、統括管理者(自衛消防隊長)に火災の発生を連絡した。
初期消火 従業員Aは、火災発見後すぐ、厨房内にあった粉末消火器1本を使って初期消火を行ったが、火は収まらなかった。
 9階から駆け付けた防災センター要員Dは、店舗裏口及び3階エレベーターホールに設置された粉末消火器2本により初期消火を行ったが、レンジフード近くまで上がった火を完全に消火できなかったため、廊下に設置された消火用散水栓を使用して初期消火を行ったところ、火は完全に収まった。
避難誘導 火元飲食店では、従業員(7名)と防災センター要員Dが、約100名の利用客を地上へと避難誘導した。
 防災センターでは、防災センター要員Cが放送設備を活用し、3階と4階に火災発生の放送を行った。
防火管理上の問題点
  • 1 火気使用設備の取扱いについて従業員に対する適切な教育がなされていなかったため、大型レンジのガスこんろの適切な清掃が実施されず、火災を発生させました。
  • 2 火災の発見から通報まで時間を要しました。
防火管理上の推奨点
  • 1 防災センター要員(本部隊)と飲食店従業員(地区隊)とが連携して一体的な自衛消防活動を迅速に行いました。
  • 2 日頃から自衛消防訓練を重ね、防災センター要員は建物に設置された消防用設備等の位置や性能、取扱い方法を熟知していたため、消火器と消火用散水栓を適切に活用した初期消火活動を行い、被害を最小限にとどめることができました。
防火管理上のポイント
  • 1 防火管理者の皆さんは、厨房設備機器に油脂等が付着・堆積した場合にこれらが延焼媒体となり火災が拡大してしまうことを十分に認識し、常に良好な状態を維持するため、日常点検や清掃を徹底することを従業員に教育してください。
  • 2 防火管理者の皆さんは、通報の重要性を十分に認識し、火災を発見した者は遅滞なく消防機関に通報しなければならないことを従業員に教育してください。
  • 3 防災センターが設置された建物においては、災害発生時に、防災センター要員(本部隊)と事業所従業員(地区隊)とが連携して一体となった組織的かつ効率的な自衛消防活動を行うことが大切です。
    防火管理者の皆さんは、いつどのようなかたちで発生するかわからない災害に臨機応変な対応を図ることができるよう、日頃から防災センター要員や従業員を十分に教育し、実戦的な自衛消防訓練を定期的に行いましょう。
  • 4 消防用設備等は火災から生命、身体、財産を守る重要な設備です。
    火災発生時において安全かつ確実に機能するよう適正に維持管理するとともに、建物に設置されている消防用設備等の性能や機能を把握しておくことはもちろん、自衛消防訓練を通じて実際にこれらの消防用設備等を操作し、取扱い要領を体得してください。

※自衛消防活動の状況は、関係者からの聞き取りによるものです。




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