近年、全国的に火災件数は減少傾向にあります。東京消防庁が管轄する東京都内(稲城市及び島しょ地域を除く。)の火災件数も減少し、平成19年の5,800件から平成28年には3,982件となりました。これは出火原因として多い放火や火遊びが、防犯カメラやガスライターのチャイルドレジスタンスの普及などにより大幅に減少しているためと考えられます。このような中、異なる傾向を示しているのが、意外にも、電気製品やコードなどから出火する電気火災であり、毎年1,000件前後発生しています。全火災に対して、電気火災の占める割合は、平成19年の17%から平成28年の26%にまで増加し、この火災予防が早急に求められるところです。
この電気火災の中で、火災件数、死者数共に最も多く発生しているのは電気ストーブ(カーボンヒータ、ハロゲンヒータ、温風機を含む。)で、ここ10年の平均では毎年約105件発生し約7人の方がお亡くなりになっています。
ストーブのうち、最も火災の危険が高いと思うものについて質問したアンケート調査の結果、8割以上の人が石油ストーブと回答しました。しかし、実際には電気ストーブの火災が最も多く発生しています。
電気ストーブは、「火を使わない」ことで、火災になりにくいと思われがちですが、ストーブ火災の実態と大きく異なっています。
「火を使わない」ことで、火災になりにくいと思われるようですが、実態は大きく異なっています。
また、ストーブを使用する際に燃えやすい物と、どの程度離しているかの問いでは、1m未満で使用している方は、石油ストーブで約30%なのに対して、電気ストーブでは60%を超えていました。東京消防庁が行った実験では、電気ストーブの前面10cm以内では、ストーブに接していなくても燃えやすい物から発火する可能性が確認されています。
【事例1】 (平成29年2月 0時頃 一人暮らし 建物全焼 死者男性1人(焼死)86歳)住宅1階居室内で、電気ストーブをつけたまま就寝してしまい、掛け布団が接触し出火、全身が焼かれ死亡しました。
【事例2】 (平成29年2月 9時頃 出火時一人 建物半焼 死者女性1人(焼死)82歳)住宅2階脱衣所内の突っ張り棒にかけていた繊維製品が使用中の電気ストーブ上に落下し出火、全身が焼かれ死亡しました。
電気ストーブ火災の経過から、これを防ぐために、必ず守って欲しい対策を安全チェックとしてまとめました。電気ストーブを安全に使用するための参考としてください。
(防炎製品貼付のラベル)
電気ストーブ火災の約80%は11月から3月までに発生します。東京消防庁では、この期間を「電気ストーブ火災注意報発令中」と題し、様々な広報を実施しています。寒い冬に電気ストーブを安全に使用し、安心してお過ごしいただくため、取扱いに十分注意してください。
電気ストーブ火災の実態や実証実験の映像をご覧になりたい方、電気火災の抑制リーフレットをご覧になりたい方は、各々をクリックしてください。
電気ストーブ火災の詳細は「電気火災の抑制方策に関する検討部会の検討結果」をご覧ください。
また、電気ストーブの安全な使用に関する情報は以下でもご覧になれます。
電気ストーブ火災のお知らせ映像(50秒)
平成17年から平成26年の10年間で、電気ストーブの火災により、79人の方が死亡しています。これは、手軽で使いやすい電気ストーブの火災の死者は、石油ストーブ火災やガスストーブ火災の死者と比べ3倍も多いことを表しています。
また、亡くなっている方の特徴は、高齢者で一人暮らしの就寝中の方の死者が多くなっています。電気ストーブ火災を防ぐため安全チェックの中でも、特に死者の発生した火災に共通する原因の中から必ず実行してほしいことは「寝る前に必ず消す」、「燃えやすい物は置かない」です。
なお、この映像は、電気ストーブ機器自体危険なものであることを伝えるものではありません。
電気ストーブ火災の実験映像1(1分40秒)
平成17年から平成26年の10年間で、死者が発生した電気ストーブ火災の着火物で最も多い布団類を用いて実験を行いました。
実験では、羽毛布団を電気ストーブに覆い被さる状況を再現しました。電気ストーブの電源投入後、1分30秒で発煙し、4分30秒で発火しました。その後、6分30秒で布団カバー及び布団の大部分を焼失し、布団表面は最高温度615℃に達しました。
電気ストーブ火災では、就寝中に電気ストーブを使い続け布団に火がついてしまう火災で多くの方が亡くなっています。就寝時の使用は控えるようお願いします。
電気ストーブ火災の実験映像2
(カメラを引いて撮ったもの 4分13秒)
電気ストーブ火災の再現実験映像です。電気ストーブの上に落下した衣類から煙が出始め、しばらく経つと炎を上げて衣類が燃えだして、布団や干している洗濯物へと燃え広がっていく様子を撮影したものです。
電気ストーブ火災の実験映像3
(カメラを近づけて撮ったもの 3分35秒)
電気ストーブ火災の実験映像2と同じ実験をベッド上方向から別アングルで撮影したものです。
炎が大きくなっていく様子が、ベッドで寝ていた場合の視線に近いアングルで映されています。
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予防部 予防課 火気電気係 電話:03-3212-2111(代) 内線4787 |