

昭和8年に建てられた二本榎出張所(旧高輪消防署)が、平成22年3月26日に「東京都選定歴史的建造物」に選定されました。
第一次世界大戦後に流行した「ドイツ表現派」の建築設計で、そのレトロな外観から、地域のシンボル的な存在となっており、年間約1,200人の方々が見学に訪れています。
二本榎出張所の沿革
・明治41年7月1日に二本榎二丁目15番地(現在地)に内務省警視局消防本署の第二消防署二本榎派出所として建築される。
・大正15年7月に高輪出張所に改称、御田消防署高輪派出所となる。
・昭和8年12月28日に現庁舎完成、高輪消防署に昇格した。
・戦後GHQの勧告により再び出張所、麻布消防署の所属となる。
・昭和26年3月1日再び消防署に昇格、同時に三光、志田町及び高浜出張所を所轄する。
・昭和59年10月22日に高輪消防署が白金二丁目4番に移転、ここに二本榎出張所が誕生した。
・平成22年3月26日「東京都選定歴史的建造物」に選定されました。
二本榎の由来
旧東海道を旅する人の一里塚として、上行寺(明治学院体育館)門前に「榎」が二本あり、文政年間(1818年〜)には、高さ10mあったと言われる。今その歴史を残す「二本榎の碑」が承教寺(高輪2−8−2)及び出張所前に建てられています。
建物の特徴
鉄筋コンクリート造、地上3階建て、延べ598uの建物です。1階の腰壁は花崗岩の切り出し積みで、ひさしや窓台は左官洗い出し仕上げで、玄関は、御影石に木の扉でできています。
■2階の階段ホール
ホールの円柱と壁体及び天井の間に三段の「コーニス」が施されています。
(ギリシャ・ローマ時代の円柱の装飾様式)
■2階事務室
2階事務室の天井と壁体の間には、モールディング(蛇腹の装飾)が見られます。

■曲線をモチーフとした階段
階段の床と腰壁は大理石とセメントを練って固めたものを研磨した、研ぎ出し仕上げで、曲線的な空間を持った階段となっています。
■3階の円形講堂
3階の円形講堂は、8本の梁が中心に集まり、10個の窓部アーチと一体となった独特の意匠です。
第一次世界大戦後の「ドイツ表現主義」というデザインで、曲線と曲面をモチーフとして力強く流れる躍動感のある設計が特徴です。

■非常用ガス燈
現在の庁舎が落成した時に停電用の照明として「アールヌーボー風のガス燈」が円形講堂に設置され、現在も当時のまま保存されています。

■建物表面
3階は円形講堂でその上に鉄筋コンクリート造りの望楼が構築され、望楼の表面はクリーム色の磁器タイルで覆われています。
■シンボルタワー
昭和59年、前野教授(東京芸術大学)の設計で望楼の塔頂部に東京都の「文化デザイン」事業を踏まえ、現代にマッチしたシンボルタワーを設けました。
■灯台・軍艦
出張所は海抜25メートルの位置にあり、新築当時は周囲に高い建物がなく、東京湾を眼下に眺望できたことから、「岸壁上の灯台」とか「海原を行く軍艦」と評されていました。

敷地面積 459.21u
建築面積 275.16u
延べ面積 598.35u
構造 鉄筋コンクリート造3階建て
設計者 警視庁総監会計営繕係
施工 間組