東京消防庁公表・報告火災予防関連情報お知らせ>危険物施設等に係る事故の発生件数と事例 

危険物施設等に係る事故の発生件数と事例


1 危険物施設等に係る事故の発生件数

 

 東京消防庁管内の危険物施設、運搬車両、少量危険物貯蔵取扱所、指定可燃物貯蔵取扱所及び高圧ガス関係施設等(以下「危険物施設等」という。)において発生した火災と漏えい事故の発生状況は図のとおりです。 平成13年から平成15年まで事故件数は減少していましたが、平成16年に再び増加しています。


図 危険物施設等における火災と漏えい事故の発生状況
(平成13年〜平成17年)

 平成17年中に発生した火災と漏えい事故について、施設別にまとめたのが下表です。給油取扱所と少量危険物貯蔵取扱所において各々15件の事故が発生しており、合計67件の事故の半分近くを占めています。

表 施設別にみた平成17年中の火災と漏えい事故
  火 災 漏えい
事 故
合 計
地下タンク貯蔵所 0 1 1
移動タンク貯蔵所 1 5 6
給油取扱所 9 6 15
一般取扱所 8 1 9
無許可施設 1 1 2
運搬車両 0 8 8
少量危険物貯蔵取扱所 10 5 15
指定可燃物貯蔵取扱所 9 0 9
高圧ガス関係施設等 2 0 2
合  計 40 27 67

2 事故事例

 
(1) 給油取扱所で荷卸し中に発生した火災
●  発生年月及び施設区分
  平成16年7月 給油取扱所

●  事故概要
   タンクローリーの運転手が給油取扱所の所長の立会いの下、ガソリンタンクと軽油タンクへの荷卸しを同時に行っていたところ、キャノピー上部に設置されていた通気管先端部から出火し、通気管金具が焼損したものです。
 
キャノピー、通気管等の設置状況 火災の要因となった
可燃性蒸気回収装置

●  原因等
   ガソリンの可燃性蒸気回収装置の弁軸が変形(曲がり)していたため、可燃性蒸気回収ホースを接続しても蒸気が回収されず、キャノピー上部の通気管から蒸気が多量に放出されていました。
 また、通気管から約4mの位置にあるネオン管灯設備の配線が老朽化によりスパークしていたため、キャノピー上に滞留した可燃性蒸気に引火したものです。

定期点検の他に、毎月点検・毎日点検等の自主的な点検を実施する。
危険場所の外に設置されている電気設備であっても、電気主任技術者等による点検を定期に実施し、設備の異常等の早期発見及び補修・交換等の措置を実施する。

 
(2) 給油取扱所におけるオイルチェンジャーの火災
●  発生年月及び施設区分
  平成17年1月 給油取扱所

●  事故概要
    給油取扱所において、従業員がオイルチェンジャー(非防爆型)内に溜まった廃油を廃油タンクに排出していたところ、操作開始から約10分後「ドン」という音とともにオイルチェンジャーから炎が立ち上がり、火災となったものです。
 
焼損したオイルチェンジャー

●  原因等
   火災発生後、オイルチェンジャー内の油分の鑑定を行ったところガソリンの成分が検出されたことから、事故発生前に何らかの理由でガソリンをオイルチェンジャーに吸引したため、オイルチェンジャー内のモーターの火花によりガソリンの蒸気に引火したものと推定されます。

取扱説明書をよく理解した上で機器を使用し、燃料タンクからのガソリンの抜き取り等、目的外の用途に使用しない。
ガソリンなど引火点の低い危険物を取り扱う機器は、必ず防爆型のものを使用する。また、静電気除去対策を実施する。

 
(3) 給油取扱所でガソリンを荷卸し中に発生した火災
●  発生年月及び施設区分
  平成14年10月 給油取扱所

●  事故概要
   給油取扱所において、タンクローリーからガソリンの荷卸しをしていたところ、「ドカン」という衝撃音とともに可燃性蒸気回収ホースの末端から炎が吹き出し、火災となったものです。
 
出火場所の状況

●  原因等
   ガソリンの荷卸しを行う際、可燃性蒸気回収ホースの末端をタンクローリーに接続しなかったためにガソリンの蒸気が下方に放出され、近くに置いてあった電気洗濯機のモーターの火花により引火したものと推定されます。

荷卸しをする際、可燃性蒸気回収装置が設置されている施設については必ず使用し、可燃性蒸気の拡散防止に努める。
可燃性蒸気が滞留するおそれのある危険場所では、電気洗濯機などの非防爆機器を使用しない。

 
(4) 少量危険物貯蔵取扱所の漏えい事故
●  発生年月及び施設区分
  平成16年4月 少量危険物貯蔵取扱所(地下タンク)

●  事故概要
   A重油1,000Lの注文を受けた燃料販売会社の担当者が、午前、午後の2回にわたって2人のタンクローリー運転手に同一の指示を出したため、地下タンクに過剰注入し、通気管及び配管接続部からA重油が漏えいしたものです。
 なお、バーナー室(規制外)に敷設された配管の接続部からもA重油が漏えいしたため、燃焼中のバーナー部分に接触し、火災に至っています。
 
注入口と満量警報装置 焼損したバーナー室内

●  原因等
   燃料販売会社の担当者が同一の指示を2回出したこと、タンクローリー運転手が地下タンクの残油量を確認せずに荷卸しを行ったこと、過剰注入を防止するための満量警報機が電気配線の接続不良のため作動しなかったことが原因です。
  また、地下タンクに接続されたバーナーを稼動させたまま危険物の荷卸しを行ったため、火災に至ってしまいました。  

危険物荷卸し時の立会い義務の有無にかかわらず、受入施設側及びタンクローリー側の双方で残油量及び荷卸し量を確認する。
保安設備の維持管理に配意する。
タンクに接続された設備等が稼動中には、危険物の荷卸しを行わない。

 
(5) 送油配管からのA重油漏えい事故
●  発生年月及び施設区分
  平成15年7月 少量危険物貯蔵取扱所(屋内タンク)

●  事故概要
   少量危険物貯蔵取扱所(屋内タンク)からボイラー消費施設へ至る送油配管(U字溝内の露出配管)からA重油約500Lが漏えいしたものです。
漏えいしたA重油はU字溝から土壌にしみ込み、近隣の河川に流出しました。
 
配管の腐食状況

河川への流出拡大防止措置

●  原因等
   送油配管に塗覆装がされていなかったことから、腐食により穴が開き、A重油が漏えいしたものです。なお、この配管は敷設から約19年が経過していました。

危険物の漏えい事故は、火災危険だけではなく環境へ与える影響も少なくないことから、日常の保守点検を励行し、危険物漏えい等の事故の未然防止に努める。


■ 危険物施設等に係る事故の発生件数と事例(H11〜H15) (PDFファイル 112KB)PDFファイル

 上記のファイルはPDFファイルで提供しています。「Adobe Acrobat Reader」(フリー)をインストールしていない方は、Adobe社のウェブサイトでファイルをダウンロードし、インストールをしてください。インストール方法はAdobe社のサイトで説明されています。


お知らせ目次に戻る