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消防科学セーフティレポート

■ 52号(平成27年)
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防火衣の受熱に関する検証(第2報) フラッシュオーバーが発生するような熱環境下(熱流束10kW/㎡以上)ではなく、通常の消火活動時の熱環境下(熱流束1kW/㎡以上10kW/㎡以下)における熱傷危険を把握することを目的とした。
その結果、通常の消火活動時の熱環境下であったとしても、放射熱を一定時間連続で受け続けた場合は、Ⅱ度以上の熱傷を生じる危険性があることを確認した。
0.5?型ガンタイプノズルによる泡放射の消火能力に関する検証 危険物火災等への泡消火薬剤を用いた初期対応を行うため、0.5GNから放射された泡消火薬剤の有効性を確認した。その結果、0.5GNから放射された泡消火薬剤は、ヘプタンの燃焼を抑制でき、また災害現場で泡放射薬剤を放射する場合、発泡器具を装着せず0.5GNのまま放水することが、全体的な消防活動の省力化に対し効果的であることがわかった。
定量的な再現性を有する火災シミュレーションの構築に関する検証
(その2 定量的な火災シミュレーション作成手法の検討)
本報では、定量的な火災シミュレーションの構築において、火源条件を合理的に決定する重要性や、火災室内の観測温度を用いた合理的かつ容易な火源発熱速度の推定手法の提案及び、定量的な火災シミュレーションの有用性を例示し、工学的に有用なツールであることを示した。
延焼する室内に対する効果的な放水方法の検証

-間接消火の放水方法

本検証は、開口部から直に放水できない位置に燃焼物を配置した火災室を設定し、霧状の水を放水した場合の火災室内の温度変化等について、放水条件を変えてそれぞれ測定した。
マグネシウム火災に対する乾燥砂等の消火効果に関する検証 本検証は、燃焼しているマグネシウムに対して、様々な種類の試料で覆った場合の消火効果について確認した。併せて、燃焼しているマグネシウムに対し、放水した場合の影響について確認した。
マグネシウム火災に対するABC火災用粉末消火薬剤及び金属火災用消火薬剤の消火効果に関する検証 本検証は、燃焼しているマグネシウム又は木材に対して、ABC火災用粉末消火薬剤又は金属火災用消火薬剤を放射した際の内部温度及び放射熱量等を測定し、その消火効果について確認した。

放水器具の違いによる放水時の身体的負荷の比較に関する検証

特別区消防団に配置されている放水器具と未配置であるガンタイプノズルを使用した際の、筒先保持者にかかる身体的負荷を測定し、比較検証を行った。
各種防護衣を着装した消防活動時の隊員の生理的負荷に関する検証 防護衣着装時の具体的な身体的負担の程度や気温等の環境要因により生ずる差異について調査し、熱中症予防の観点から防護衣着装時の生理的変化の特徴を把握するとともに、それを基に熱中症の予防方策について提言した。
山岳救助活動時における効果的な胸骨圧迫方策に関する検証 山岳救助活動現場における絶え間ない質の高い胸骨圧迫の実施及び活動隊員の負担軽減に資することを目的とし、3機種の人工蘇生器を比較検証した。
災害廃棄物の発熱及び出火危険性に関する検証 震災等により発生し、大量に堆積された災害廃棄物の火災予防対策に活用するため、モデル試料「木材及び畳等)を使用し、各種分析装置により熱特性及び出火危険性を検証した。
焼損した建築材料の識別に関する検証 擬似的に焼損及び水損させた各種不燃材料の解析手法等を確立し、火災現場で使用されていた不燃材料を特定することを目的として各種分析装置を用いて分析した。
長周期地震動等に伴う室内安全に関する検証
(その1)
長周期地震動における家具特有の転倒危険を確認した。また、家具転倒防止対策器具の効果は、1つの家具に対し二種類を取り付けると向上するが、反対に不完全な取り付けや経年劣化により著しく低下することがわかった。
がん具用煙火の燃焼及び消火に関する検証
(その1)
東京都火災予防条例第23条では、売場にがん具用煙火を商品として陳列、販売する行為は、「総薬量5キログラム未満(SFマーク付きに限る)」まで危険物品持込み行為に含まないものとして運用している。このような売場の陳列状態において、がん具用煙火の薬量を変化させたときの燃焼性状を把握するとともに、スプリンクラー設備作動時の燃焼抑制効果等を確認した。
がん具用煙火の燃焼及び消火に関する検証
(その2)
防火対象物等において、総火薬量5kg以上25kg以下のがん具用煙火を保管する場合は、東京消防庁火災予防条例第26条により、ふたのある不燃性の容器に入れ、又は防炎処理を施した覆いをしなければならない。本検証では、安全性の高い保管方法の提言を目的として外部からの火炎等によるがん具用煙火への着火危険性を把握した。
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■ 53号(平成28年)
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ボリュートポンプの性能及び耐久性等の検証(第1報) 当庁でボリュートポンプの導入を検討する際の判断材料とするため、タービンポンプとボリュートポンプの基本的な性能比較を実施した。その結果、ボリュートポンプはタービンポンプと同等の操作性、並びに同等以上の放水性能を有することがわかった。
延焼する室内に対する効果的な放水方法の検証(中性帯が発生している場合の放水方法) 中性帯発生時の屋内進入の安全性向上を目的とし、放水による火災室内の状況変化を確認するため、放水条件を変えて消火実験を行った。その結果、放水による空気の流入が多い霧状90°で連続放水した場合、一旦は発熱速度が上昇し、燃焼物付近の視認は困難となるが早く改善され、火災室内の冷却効果も大きいことが分かった。
活動環境危険警告に関する基礎検証 防火衣内の皮膚表面の温度変化に基づき警告を発する装置を用いて、熱傷防止の予測の可能性について検証を行った。その結果、防火衣の空気層による熱の伝わり方や発汗による湿度等、考慮すべき要素が多く存在したため、防火以内の皮膚表面温度と主観的な「熱さ」や外部温度との明確な関係性を見出すことはできなかった。
火災室内の温度と収容物の熱的変化の関係に関する検証 受傷事故発生時等における火災室の熱環境を再現する手段を確立するため、温度環境の変化に対する一般的な収容物の熱的変化を記録収集し、この情報を基に火災シミュレーションで再現された火災室内の熱環境の妥当性を検討した。その結果、対流熱による熱環境を再現する可能性を示すことができた。
無人航空機の導入に関する基礎的検証 災害現場における無人航空機の活用を検討するため、遠隔操縦性能、自動航行の航路追従性能、伝送映像の鮮明性等の基礎的な性能を確認した。その結果、遠隔操縦性能及び自動航行の航路追従性能は、概ね良好であり、消防活動での活用が見込める一方、要救助者の捜索等には、より鮮明な伝送映像が必要であることが分かった。
当務中における救急隊員の交替基準に関する検証 救急隊の疲労に関する客観的及び主観的な指標を1当務を通じて経済的に測定し、交替基準の目安を提言した。出場件数や走行距離よりも、活動時間が救急隊員の疲労を最も的確に示しており、交替基準の目安として適当であることが判明した。
外国人傷病者に対する各種コミュニケーションツールの有効性に関する検証 外国人傷病者に対するコミュニケーションサービスの充実向上を目的とし、新規ツール(翻訳アプリケーション搭載のタブレット端末)と、既存ツール(コミュニケーション支援ボード及びコミュニケーションマニュアル)を比較分析した結果、新規ツールは聴取内容の正確さ、既存ツールは聴取の速さが特徴的であった。
油脂含有物に対する酸化防止剤等の熱的影響に関する検証 平成27年度に「災害廃棄物の発熱及び出火危険性に関する検証」を行った。その結果をもとに平成28年度は、出火危険性が高かった木くず等や自然発火事例のある芝草等の油脂含有物に酸化防止剤等を添加し、各種分析装置を用いて酸化発熱の抑制効果について検証した。
各種可燃性ガスの着火性状に関する検証 エアゾール缶及び簡易型ガスこんろの燃料として用いられるボンベのような可燃性ガスに着火する際における着火源の判断要素を提示するため、着火源として、高温体である電熱線及び微小火源であるたばこの火を使用し、着火性状を確認した。
長周期地震動等に伴う室内安全に関する検証(その2)(地震時の環境と身体の安全確保対策に関する検証) 長周期地震動等に遭遇した際、どのような大勢が身体の安全確保に有効であるか検証した。長周期地震動の揺れでは、家具が滑動して確実な身体確保が困難となることや、所定の体位に適した咄嗟の身体の安全確保が存在すること等が分かった。
機器を用いた瞬間的な火炎に係る安全性の検証 劇場等の舞台等において瞬間的な火炎を使用する場合は、承認基準に基づき解除承認がされている。現行基準で想定する規模を超える瞬間的な火炎の危険性の把握を目的に火炎周辺の熱環境を測定した。その結果、本検証で使用した機器による火炎は、機器が適切かつ安定な運用がされていれば、危険性が低いことを確認した。


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■ 54号(平成29年)
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消火用ホースの摩耗損傷に関する検証 ホース漏水時の状況を調査し、ホース損傷の原因究明を試みた。加えて、ホースの摩耗試験を行い、摩耗のメカニズムの解明を行った。その結果、屈曲した状態でのホースの引き摺り等、漏水に至るまでの様々な経緯が判明するとともに、摩耗試験の実施により屈曲状態の危険性を明確化した。
延焼する室内に対する効果的な放水方法の検証(吹き返しを抑制する放水方法) 放水時の安全性向上を目的とし、高温に熱せられた火災室を用いて、放水と吹き返しの関係を確認するため、放水条件を変えて消火実験を行った。
実験と火災シミュレーションによる実火災体験型訓練施設の熱環境可視化に関する検証 実火災体験型訓練施設の燃焼実験を火災シミュレーションで詳細に再現し、実験の測定温度と火災シミュレーションの計算温度を用いて、統計的検定にて火災シミュレーションの火源条件を最適化し、施設の熱環境を可視化することにより、熱環境の特徴を把握した結果、施設内の熱環境の特徴の一つとして、高さ約1mを境にその上部で約150℃以上、下部で約40℃と大きく変化することがわかった。
無人航空機による資機材搬送等に関する検証 資機材搬送投下装置を取り付けた無人航空機を用いて、GPSマーカー(親機により子機の位置情報等を把握するための機器)子機及び救命浮環の搬送投下について、林野や河川における災害での活用を想定した実験を行い、資器材搬送投下装置の信頼性、安定性及び消防活動における有効性を確認した。
装着型パワーアシストロボット等の活用の有効性に関する検証 消防活動等に従事する活動隊員の身体的負荷軽減に資することを目的とし、消防活動や救急活動を想定した運動実験を通して、装着型パワーアシストロボット等着装時と未着装時における生理的及び主観的指標を比較検証した。
消防活動時における効果的な休息に関する検証 一定負荷の運動後の休息条件によってもたらされる生理的、主観的評価の変化から休息後の運動における身体的負担、休憩時の冷却材交換の効果について明らかにし、効果的な休息について提言をすることを目的とした検証を行った。
消防職員のモチベーションを高めるコミュニケーション方法に関する検証 今までの消防人生の中で、上司や先輩等から言われて励まされたり、勇気づけられたり、やる気になった言葉やエピソードについて、性格検査と共にアンケート調査を実施した。
得られたエピソードの内容を15項目に分類し回答者の性格等を比較分析した結果、エピソードごとに特徴がみられた。また、やる気を出させる声がけは相手の性格だけでなく、年齢の高低、勤務月数の長短、状況などが重要な要素であることがわかった。
濃度等の異なる危険物の性質に関する検証 今後、危険物であるかどうか等を推定する際の目安として活用するため、市場に流通する主要な危険物の一部を用いて、濃度等を変化させ、危険物確認試験を行い、その性質の評価を行った。その結果、各濃度における危険物第4類引火性液体の一部の性質が明らかになった。
長周期地震動等に伴う室内安全に関する検証(その3)(地震火災予防対策に関する検討) 過去の地震時の出火事例や被害想定に基づく火災事例を振動台で再現したほか、出火危険要素を検証し、家具類の転倒・落下・移動防止対策の実施や平常時の住宅防火対策が地震火災予防対策に有効であることが確認された。
実大規模によるふとん火災の燃焼性状に関する検証 実大規模のふとんにおいて無炎燃焼を発生・継続させ、各種発生ガスの濃度を測定し、人体への危険性について検証を行った。

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[お問合せ先] 安全推進部安全技術課 東京都渋谷区幡ヶ谷一丁目13番20号 <地図>
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