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消防科学セーフティレポート

■ 49号(平成24年)
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ガンタイプノズルによる泡放射の消火能力の検証 現在ポンプ隊への配置が進められているガンタイプノズルを用いた泡放射の油脂火災への対応能力を検証するため、面積4平方メートルの火皿に50リットルのヘプタンを燃焼させて泡放射を行い、燃焼挙動の観察や周囲熱環境の測定等を実施した。
排煙高発泡車及び大型ブロアー車の排煙効果に関する検証 本検証は、実験において、排煙高発泡車及び大型ブロアー車を単独若しくは同時に使用した場合の消火活動拠点の遮煙開口部における防煙効果について比較、検証した。また、排煙高発泡車の遮煙袋内が活動拠点として活動可能かについて、排煙高発泡車の送風管を屈曲させ、また延長距離を変化させながら実験、検証した。
消防隊員用個人防火装備の動作性比較検証 消防隊員用個人防火装備について、その性能を定める規格の差異が消防活動に与える影響を把握するため、当庁で使用している現行の装備品と、EN(ヨーロッパ標準化委員会)規格に適合した装備品及びNFPA(米国消防協会)規格に適合した装備品の動作性等を比較した。
中高層階の要救助者に対する援護放水の有効性に関する検証 建物の中高層階における要救助者に対する援護注水の有効性及び有効な放水要領について検証したもの。まず地上から中高層階のベランダに向けて放水し、散水分布を測定した。この結果から放水条件を決定し、火災初期を再現した実験室でベランダへの火炎噴出の抑制及び遮熱効果を確認した。
ドア開放がもたらす区画内火災性状の変化に関する検証) 本検証は、ある程度の高温を維持した酸欠燃焼時の火災室について、開口部解放後の燃焼性状の変化を調査した。実験の結果、消防隊は、開口部解放後の劇的な燃焼促進に注意することが必要であるとともに、火災対応が早いほど、また開口部を小さく開放するほど、より安全に活動できる可能性が推察された。
排水栓の給水能力に関する検証 配水小管の行き止まり部分に設置する管理上の水道施設(以下「排水栓」という)から消防ポンプにより給水する場合、消防水利の基準に示される水量(1,000リットル毎分)を給水できるかどうかについて、世田谷区内の排水栓1か所を選定し実地検証を行った。
狭隘道路に設置する公設消火栓の有効活用に関する検証 木造住宅密集地域内の狭隘道路下に埋設されている配水小管に消火栓を設置した際に、自主防災組織がスタンドパイプを活用して効果的な初期消火を実施することができる放水条件について検証した。
消防活動時等の効果的なエネルギー補給に関する検証 消防活動及び訓練において疲労を軽減し、また集中力を維持するための消防隊員のエネルギー補給に着目し、速効性及び簡便性の面から効果的な補給食の摂取方策について検証を実施した。
交通事故防止に活用するCRM行動指標の作成に関する検証 航空宇宙産業界で取り入れている安全管理の手法「CRM(Crew Resource Management)」を参考に、車両内でのコミュニケーションに関する行動指標を作成し、その有効性と訓練方法について検証を実施した。
消防学校入校前の体力トレーニング 採用予定者が消防学校に入校するまでの期間、入校後の消防活動訓練に必要な体力を効果的に養うことを目的に、自主的に体力トレーニングを行うための資料を作成した。
焼損残さ物中の合成樹脂及び助燃剤の識別手法の検証 本検証では、助燃剤と合成樹脂を迅速に識別する手法の確立を目的とし、市場に流通している合成樹脂と助燃剤を同時に燃焼・焼損させ、焼損残さ物中に含まれる成分について分析した。その結果、合成樹脂に由来する熱分解生成物の特性を把握し、助燃剤との識別手法を確立した。
危険物流出事故配管等の金属組織観察手法の検証 本検証では、事故等が発生した施設等で採取した金属配管等の腐食部分をエポキシ樹脂で固め、研磨による表面処理を施した上で、金属顕微鏡を用いて観察を行った。その結果、直接的な事故原因究明につながる良質な画像データの取得等ができ、本手法が金属組織の観察・評価に十分活用できることを確認した。
火災現場及び調査現場に浮遊する粉じん中のアスベスト検出手法の検証 本検証では、火災現場や調査現場に飛散する粉じん中のアスベストの有無を現場で迅速に判断する手法を確立する一環として、各種文献調査によりアスベストの分析手法を整理するとともに、新しい分析手法についても調査した。また、アスベストが使用されている都内の建築物についても文献調査し、使用実態を把握した。
各種ガス測定におけるガス測定機器の測定値への影響に関する検証  本検証では、HCHOで校正したセンサを使用し、同型のセンサで測定可能なガスについて測定を行い、HCHOの測定値への影響を検証した。その結果、HCHOの測定値は、同型式のセンサで測定可能なガスが存在するとHCHOが存在しない雰囲気下でも測定値を示すことがわかった。 
「たばこ」火災に関する基礎的検証 種々の銘柄のたばこの熱的性状や可燃物への着火性に関するデータは、従前から測定が行われ、火災調査教本に掲載される等活用されている。しかし、現在のたばこは品質改良が進み、検証当時のデータとは異なる性状を示す可能性のものが見受けられる。また、すでに販売終了の銘柄もあることから、現在販売されているたばこについて、データの更新を目的とし、各測定を行った。
一酸化炭素中毒事故に関する検証 近年、一般住宅の高気密化により、居室内で七輪などの燃焼機器等を使用した場合に、一酸化炭素中毒が発生する事案が散見されている。
 本検証は、実験居室内で七輪等を使用した際に発生する一酸化炭素の濃度変化や拡散状況を測定し、人体に対する危険性を調査した。
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消防科学セーフティレポート

■ 50号(平成25年)
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防火衣の受熱に関する検証 消火活動時における消防隊員の熱傷危険及び防火衣の受熱時の状況を把握することを目的として、防火衣等の着装状況を再現したモデル試料について、通常の消火活動時に受けるとされる放射熱にばく露させる実験を行い、受熱状況の分析を実施した。
住宅の外壁構造と小屋裏延焼の関係に関する検証(その1) 本検証は、これまで把握されていた類焼建物の延焼経路とは別に、最近の住宅の構造がもたらす新たな類焼要因を調査した。特に外見上確認が困難な外壁内の通気層と換気口が類焼要因となる可能性に注目し、実験を行った。(その1)では、検証目的と実験条件について述べ、実験結果を類焼要因の種別と類焼要因が発生した時間に注目してまとめた。
住宅の外壁構造と小屋裏延焼の関係に関する検証(その2) 本検証は、これまで把握されていた類焼建物の延焼経路とは別に、最近の住宅の構造がもたらす新たな類焼要因を調査した。特に外見上確認が困難な外壁内の通気層と換気口が類焼要因となる可能性に注目し、実験を行った。(その2)では、実験条件ごとの燃焼性状を分析し、各外壁構造に共通する消火活動上の留意事項について言及した。
太陽光発電システムの消防活動時の危険性に関する検証(その1) 太陽光発電システムは再生可能エネルギーのひとつとして近年急速に普及しており、一般住宅における導入も多く見受けられる。本検証は、今後も増加が見込まれる太陽光発電システムが設置された住宅における消防活動上の危険性について把握することを目的とした。本検証では、破壊、水濡れ、そして火炎ばく露された太陽光パネルの特性や危険性を把握することで、消防活動に伴う危険性を確認した。
太陽光発電システムの消防活動時の危険性に関する検証(その2) 太陽光発電システムの消防活動時の危険性に関する検証(その1)の結果を踏まえ、本検証では、消防隊が現有又は比較的容易に入手し得るシート等の資器材を用いて太陽光パネルを遮光し、感電危険を低減することの有効性について検証を行った。その結果、パネルを遮光することにより、電圧値の変化、電流値の変化の特性を把握し、感電による危険の低減に対する効果を確認した。
模型実験による熱環境の変化に関する検証 本検証は、小規模なビル火災を想定し延焼した屋内階段が消防隊の進入口となる場合の送風量及び噴霧放水を併用した消火方法を模型実験により検討した。模型実験は、相似則にフルード数を適用し、発熱量等の初期条件を設定し実施した。消火方法の検討は、過去に行われた実大火災実験と模型実験の温度変化が定性的に同じになることを確認した上で、実施した。
消防隊員が行う暑熱順化トレーニングの具体的方策に関する検証 消防隊員が実用的かつ効率的に暑熱順化を形成できるように、2パターンのトレーニングを実施し、その前後に夏場の環境を想定した運動負荷テストによりトレーニングの効果を確認した。その結果、両トレーニングは消防隊員が行う暑熱順化トレーニングとして有効であることが確認された。
大規模災害発生時の隊員の効果的な活動食の摂取方策に関する検証 首都直下型大震災に備えるため、中・長期の災害活動に従事する職員のコンディション維持を目的とし、理想的な非常用食糧モデルについて検証した。東日本大震災に派遣された緊急消防援助隊へのアンケート調査、陸上自衛隊等へのヒアリング調査等の結果を分析し、理想的な非常用食糧モデル(栄養素とその量、献立等)を作成した。
効果的な車両誘導に関する検証 職務内の交通事故防止を目的とし、誘導員と機関員の連携を重視した効果的な車両誘導について検証した。その結果、車両特性を把握するためにも普段から主体的な意識を持って誘導を実施することが有効であり、さらに、誘導員と機関員の円滑な意思疎通のためにはコミュニケーションの醸成が有効であることが確認された。
救急活動時におけるPHSハンズフリーマイクの有効性に関する検証 救急活動時にハンズフリーマイクを使用することで、注意力や作業効率の低下等が懸念されることから、その有効性について救急活動中の4つの想定で検証した。その結果、ハンズフリーマイクの使用により活動時間の短縮に繋がる場合がある一方で、様々な想定において救急活動内容または連絡内容の適正率が低下することが確認された。
危険物流出事故等における周辺土壌のイオン分析手法に関する検証 危険物流出事故等が発生した危険物施設のタンクや金属配管等の周辺土壌を採取し、前処理方法及び分析方法を検証することにより、土壌に含まれるイオンの分析の手法を確立した。
焼損した合成樹脂等の材質を特定する手法に関する検証 様々な合成樹脂を疑似的に焼損させた多数の試料を作成し、スペクトル解析を行うことにより、焼損した各種合成樹脂及び繊維等の解析手法を確立し、一定の材質についての特定が可能となった。
ストップ、ドロップアンドロールに関する検証 本検証は、着衣着火時の消火方法のひとつであるストップ、ドロップアンドロールの具体的かつ効果的な実施方法等の提言を目的として、当庁における近年の着衣着火の実態調査を行い、その分析結果を踏まえて、小児に対する指導を主眼とした消火実験等を実施した。
一酸化炭素中毒事故に関する検証(第2報) 本検証は、寝たばこ火災で発生する一酸化炭素の流動、拡散状況、及び人体に対する危険性を明確にすることを目的とした。その結果、一酸化炭素は居室内を対流拡散するとともに、煙感知式住宅用火災警報器等が火災を感知し作動するよりも早い段階で、人体に影響のある濃度に達する可能性があることがわかった。

消防科学セーフティレポート

■ 51号(平成26年)
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アルミ合金製動力消防ポンプの性能、耐久性等の検証 従来の砲金製からアルミ合金製に変更されたポンプ装置に対し、当庁ポンプ車の耐用年数における諸性能等の変化について検証した。
その結果当庁ポンプ車の耐用年数中において、アルミ合金製ポンプ装置は、A−2級のポンプ性能を維持し、放水性能の変化、主要部分の劣化及び消火剤等による腐食は確認できなかった。
51-1
圧縮酸素形循環式酸素呼吸器に関する検証 圧縮酸素形循環式酸素呼吸器を地下空間、トンネル等における災害で活用する場合の有効性について確認するため、当該呼吸器を装着した被験者に、使用時間として示されている240分間、消防活動に相当する強度の動作等を実施させることにより検証を行った。
定量的な再現性を有する火災シミュレーションの構築に関する検証

(その1 火災シミュレーションを利用した教養資料の試作)

火災性状を直観的なイメージで捉えられる教養資料として、火災シミュレーションソフトを活用し、火災統計に基づく典型的延焼シナリオについて、外観と内部の状況比較等を3次元で可視化できる火災アニメーションを試作した。
放水による消火活動が困難な閉鎖空間における効果的な消火方法の検証 本検証は、NBC関連施設等、開放し続けて消火することが困難な区画火災に対する効果的な消火方法を確認するため、カリ化合物の 消火薬剤等を使用し、木材及び油を火源とする火災に対する消火実験 を実施した。その結果、効果的な消火方法に関する基礎データを、得ることができた。
太陽光発電システムの消防活動時の危険性に関する検証(その3) 本検証は、津波等で変形、浸水した太陽光発電システムにおけるパネルからの出火危険等を検証した。その結果、破壊された太陽光パネルでも発電を継続し、出火危険があることがわかった。
当庁が備蓄している非常用食糧(職員用)に関する検証 当庁が備蓄している非常用食糧について、大規模災害時の災害現場で消防隊員が体調を維持するために摂取すべき活動食の要件に沿ったメニューを具体的に作成し、被験者に実際に摂取させ、その効果を生理的、心理的側面から確認した。検証の結果、エネルギーや栄養素を十分に含む食事は、隊員の良好な体調の維持に寄与する可能性が確認できた

暑熱条件下での主観的評価と客観的指標の関係性について

消防隊員の熱中症防止等の安全管理に資するため、暑熱条件下において、本人の主観的評価と測定器具を使用したバイタルサイン等の客観的指標の間にどのような関係があるのかについて検証した。その結果、主観的評価と客観的指標との間には相当のギャップがあり、自己の状態を実際の状態よりも楽に見積もる傾向が確認された。
救急活動における身体的負荷モデルに関する検証 救急活動に係わる検証に活用できるCPR実施事案の実動モデルを作成すると共に、実動モデルの身体的負荷を測定し、基準となる運動モデルを作成した。本検証の結果から、これら2つの身体的負荷モデルは、今後、さまざまな検証で活用していく上で、有効性のある標準的なモデルであることが確認された。
 劣化した油脂等の酸化発熱に関する検証 劣化した油脂の発熱の危険性が懸念されており、詳細な検証が望まれている。そこで、油脂を熱や紫外線で劣化させ、測定器による劣化の評価や熱分析装置による発熱開始温度等の測定を行い、劣化した油脂の火災危険性について検証した。
金属酸化物の識別に関する検証 電気火災の鑑定では、配線等に含まれる金属元素単体を識別することは可能だが、金属酸化物の識別は容易ではない。そこで、火災鑑定の精度をより向上させるため、保有する分析装置を用いた金属酸化物(亜酸化銅、酸化銅等)の最適な分析手法について検討を行った。
回転釜からの出火に対する危険性と消火限界に関する検証 学校給食室等の厨房で使用される回転釜から出火した火災は、一旦発生すると、多数の傷者と避難者が発生し、多大な損害を生じることが多い。このことから、当該火災の初期消火時の危険性等について知見を得ることを目的として、回転釜に調理油を入れ、加熱・発火させた時の燃焼性状、消火器による消火効果等について確認した。
 各種詰物素材別によるふとん火災の燃焼性状に関する検証 近年、詰物素材別にみたふとんの販売割合の構成比は大きく変化している。このことから、本検証ではボンブカロリーメータ及びコーンカロリーメータを活用して、詰物素材別に発熱速度等の基礎燃焼データを得た。また、ふとんを部分的に切り出した試験体による無炎燃焼実験により、発生ガスの測定等を行った。
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