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東京消防庁  広報テーマ (4月号) テーマ1 首都東京を守る消防団
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新年度・新生活スタート!調理器具の火災に注意しよう!

新年度・新生活スタート!調理器具の火災に注意しよう!

4月から進学や就職などで新生活をスタートさせ、マンションやアパートに備え付けてあるガステーブル、ガスこんろ、IHクッキングヒータなどを、初めて使用する方もいるのではないでしょうか?これらの使用方法を誤ると、思わぬ火災になることがあります。

1.IHクッキングヒータ

平成19年〜平成28年までにIHクッキングヒータに起因する火災が136件発生し、そのうち、20歳代の使用者による火災が45件と最も多くなっています。月別にみると136件のうち、4、5月で20件となっています。

これらの火災の主な原因は、使用者の取り扱い不注意によるものがあげられます。

?IHクッキングヒータとは?

IHクッキングヒータのプレートの下には、渦巻き状の磁力発生コイルがあり、これに電気を流すと、強力な磁力線(磁場)が発生し、この磁力線がプレートを通過して、その上に置かれた鍋底の金属が抵抗となり、鍋底の金属表面が発熱します。

トッププレート(結晶化ガラス) うず電流 加熱コイル 磁力線	鉄系鍋

図1 IHクッキングヒータ仕組み

IHクッキングヒータの写真

写真A IHクッキングヒータ

IHクッキングヒータその2の写真

写真B IHクッキングヒータ
(ガラストップを外したもの)

注)写真A及び写真Bは構造を示すためのもので、同一のものではなく、火災とは関係ありません。

(1)火災状況

表1 IHクッキングヒータ火災状況(平成19年〜平成28年)

年別 火災状況 損害状況
合計 建物 焼損床面積
(m2
焼損表面積
(m2
損害額
(千円)
死者 負傷者
小計 全焼 半焼 部分焼 ぼや
合計 136 136 - 1 5 130 33 25 11,468 - 35
19年 9 9 - - 1 8 - 1 1,215 - 3
20年 10 10 - - 1 9 - 2 335 - 1
21年 9 9 - - - 9 - - 11 - 3
22年 14 14 - - - 14 - - 300 - 6
23年 13 13 - - - 13 - - 24 - 1
24年 14 14 - - - 14 - - 31 - 2
25年 16 16 - 1 - 15 33 16 5,449 - 4
26年 10 10 - - 1 9 - 3 1,019 - 2
27年 20 20 - - 1 19 - 1 169 - 5
28年 21 21 - - 1 20 - 2 2,915 - 8

IHクッキングヒータの火災は、平成19年から平成28年の10年間をみると平成28年が21件で最も多くなっています。死傷者をみると、死者は発生していませんが負傷者が8人で最も多くなっています(表1参照)。

負傷者が発生した経緯は、初期消火中に炎に煽られて腕部を熱傷したもの、発火した油に水を入れたことで炎が拡大し顔面熱傷したもの、避難中に煙を吸って気道熱傷したものなどがありますが、いずれも受傷程度は軽症です。

使用者を年代別にみると、20歳代の45件が最も多く、次いで30歳代の23件、40歳代の18件などとなっています(図2参照)。

10歳代:6件 20歳代:45件 30歳代:23件 40歳代:18件 50歳代:13件 60歳代:9件 70歳代:3件 80歳代:2件

注)年齢不明17件を除く。

図2 年代別火災状況

表3 経過別火災状況

経過 合計 放置する・忘れる 過熱する 誤ってスイッチが入る(入れる) トラッキング 絶縁劣化により発熱する 金属の接触部が過熱する 可燃物が接触する 電線が短絡する その他・不明
合計 136 79 22 9 6 4 3 2 2 9

次に、経過別にみてみます。平成19年から平成28年までの136件のうち、「放置する・忘れる」、「過熱する」、「誤ってスイッチが入る(入れる)」が110件(81.0%)で、使用者の使用方法に起因するものが8割以上を占めています(表3参照)。

さらに、経過を「放置する・忘れる」、「過熱する」、「誤ってスイッチが入る(入れる)」の110件に、「可燃物が接触する」、「考え違いにより使用を誤る」、「本来の用途以外の用に用いる」、「引火する」の5件を加えた115件(使用者の使用方法に起因するもの)を月別にみたものが図3です。

1月:9件 2月:8件 3月:6件 4月:11件 5月:8件 6月:9件 7月:11件 8月:6件 9月:9件 10月:16件 11月:13件 12月:9件

図3 使用者起因による月別火災状況

近年、マンションやアパートには、ガスこんろやガステーブルに代わり、IHクッキングヒータが備え付けられていることが多く、進学、就職などで一人暮らしを始めた方のなかには、使用方法がわからないなどの戸惑いから、誤った使用方法をしたために火災になってしまったことが、火災要因の1つであると考えられます。

(2)火災事例

事例1 油量が少量であったため安全装置が作動せず出火した火災(4月・世田谷区)
構造・用途等 耐火造3/0 共同住宅 出火階・箇所 1階・台所
焼損程度 建物ぼや1棟 布巾、蛍光灯焼損

この火災は、共同住宅の1階台所から出火したものです。

出火原因は、火元者(30歳代女性)が唐揚げを調理するため、天ぷら鍋に天ぷら油を入れてIHクッキングヒータで加熱中、油量が少量であったため、IHクッキングヒータの安全装置が作動せず出火したものです。

火元者が天ぷら油を加熱中に他の料理をしていると、鍋から約5cm位の炎が上がっているのを発見しました。

発見後、天ぷら鍋をシンクに移して水道水を入れたところ、炎が拡大しましたが水道水を入れ続けて消火しました。

その際、自動火災報知設備が鳴動しましたが、なかなか止まらなかったので自分の携帯電話で119番通報しました。

事例2 電気ケトルを置いて加熱したため出火した火災(6月・渋谷区)
構造・用途等 耐火造6/0 複合用途
(事務所・共同住宅)
出火階・箇所 2階・給湯室
焼損程度 建物ぼや1棟 電気ケトル若干焼損

この火災は、複合用途建物の2階事務室から出火したものです。

出火原因は、勤務者(20歳代男性)がお湯を沸かすため、電気ケトルの本体容器に水を入れてIHヒータ上に置き、IHヒータの電源スイッチを入れたことにより、本体容器底面の金属を経由し本体容器外装下部が熱せらされ出火したものです。なお、勤務者はIHヒータに電気ケトルを置いて、お湯を沸かせると思い込んで使用していました。

IHヒーターの上においてある電気ケトルの写真

写真2-1

IHヒーターの上においてあった電気ケトルの裏側の写真

写真2-2

(3)IHクッキングヒータ火災を防ぐポイント

  • 使用する鍋は、取扱説明書で確認して専用鍋やIH対応のものを使用しましょう。
  • 変形した鍋は使わないようにしましょう。
  • IHクッキングヒータの周囲に可燃物を置かないようにしましょう。
  • 鉄板などの鉄製品(缶詰、アルミ製レトルトパック、カセットこんろなど)をIH上に置かないようにしましょう。
  • 揚げ物をする際は、揚げ物モードを使いましょう。
  • 揚げ物をする際は、取扱説明書に書かれた油量を使いましょう。
  • 他の器具で(ガスこんろ等)あらかじめ加熱した油を使用しないようにしましょう。

2.ガステーブル等

(※ここでいうガステーブル等とは、ガスこんろ、ガステーブル、ガスレンジ、簡易型ガスこんろをいいます。)

ガステーブル等の火災は、平成19年から平成28年までの10年間でガステーブル等に起因する火災が4,698件発生しています。平成28年は363件で、この10年間で最も少なくなっています。

ガステーブル等の火災のうち、18歳から23歳までの使用者に絞ってみると、この10年間で304件となっており、304件を月別にみると4月に最も多い40件発生しています。10年間で死者の発生はありませんが、負傷者が107人発生しています。平成28年は10人の負傷者が発生していますが、要因として初期消火中にフライパンを床に落として上腕部を熱傷したものや、避難の際に煙を吸って気道熱傷したものなどがあります。(表4、図4参照)。

(1)火災状況

表4 ガステーブル等の火災状況

年別 火災件数 損害状況
ガステーブル等
火災件数
18歳から23歳までのガステーブル等火災件数 建物 その他 焼損床面積
(m2)
焼損表面積
(m2)
死者 負傷者
小計 全焼 半焼 部分焼 ぼや
合計 4,698 304 300 1 2 23 274 4 327 258 - 107
19年 605 29 29 1 - 3 25 - 105 9 - 11
20年 581 31 30 - - 6 24 1 43 78 - 10
21年 543 32 31 - - 3 28 1 8 28 - 11
22年 450 25 25 - - 1 24 - - 12 - 9
23年 425 35 35 - - 3 32 - 1 3 - 11
24年 441 32 30 - 1 2 27 2 117 57 - 10
25年 418 32 32 - - 2 30 - 2 2 - 12
26年 415 25 25 - - 2 23 - 21 22 - 10
27年 457 35 35 - - - 35 - - - - 13
28年 363 28 28 - 1 1 26 - 30 47 - 10
図4 ガステーブル等18歳から23歳行為者月別火災状況

図4 ガステーブル等18歳から23歳行為者月別火災状況

18歳から23歳までの使用者による火災304件について、火災に至った経過をみると、こんろの火をつけたまま別の部屋でテレビなどを観ていて点けていることを忘れてしまった「放置する・忘れる」が183件発生し、6割以上を占めています。次いで、炎が風などで煽られて火が伸び、周囲の可燃物に着火した「接炎する」が28件、調理をしていてその場にいたが、食材等が焼損した「過熱する」が24件、ガステーブル等を使用中にシンクなどでスプレー缶の穴開けをして、噴出した残存ガスに引火した「引火する」が21件などとなっています。進学や就職などで新生活を始めたことにより、初めて調理器具を使用したことによることが要因の1つと考えられます。

用途別にみると、平成19年から平成28年の10年間で住宅(共同住宅含む)が4,320件で最も多く、次いで飲食店が195件などとなっています。

(2)火災事例

事例3 ガスこんろの近くに電気ケトルを置いたことにより出火した火災(4月・大田区)
構造・用途等 耐火造3/0 共同住宅 出火階・箇所 3階・ダイニングキッチン
焼損程度 建物ぼや1棟 電気ケトル若干焼損

この火災は、共同住宅の3階ダイニングキッチンから出火したものです。

出火原因は、火元者(20歳代男性)が料理のため、鍋に水を入れてガスこんろで加熱を始めたところ、こんろの炎が接する位置に電気ケトルを置いていたため出火したものです。

火元者が鍋の水をガスこんろで加熱して、他の調理をしていると、こげ臭いにおいがしたので見ると、電気ケトルから炎が上がっているのを発見しました。

事例4 天ぷら油を加熱中に寝込んだことにより出火した火災(4月・台東区)
構造・用途等 防火造2/0 共同住宅 出火階・箇所 2階・台所
焼損程度 建物部分焼1棟 天井3m2、内壁3m2、レンジフード等焼損

この火災は、共同住宅の2階台所から出火したものです。

出火原因は、火元者(20歳代男性)が揚げ物を調理するため、片手鍋に天ぷら油を入れガステーブルで加熱し始めましたが、その場を離れてトイレに行ったまま寝込んでしまい出火したものです。

火災のあとの台所の写真その1

写真4-1

火災のあとの台所の写真その2

写真4-2

(3)ガステーブル等の火災を防ぐポイント

  • 火をつけたまま機器から絶対に離れたり、就寝、外出しないようにしましょう。
  • 機器の上や周囲には、可燃物や引火物を置いたり、近づけないようにしましょう。
  • ガステーブルのグリル排気口の上に、タオル、布巾、なべなどを置かないようにしましょう。
  • 機器の周囲では、引火の危険性のあるスプレー、ベンジンなどを使用しないようにしましょう。
  • こんろを覆うような鉄板や大きな鍋は使わないようにしましょう。
  • 使用中は、こんろの奥へ手をのばしたり、体の一部や着衣を炎に近づけないようにしましょう。
  • 揚げ物をする際は、過熱防止装置が設置されているこんろを使いましょう。