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東京消防庁  広報テーマ (10月号) テーマ1 火災から尊い生命を守ろう
テーマ2 119番の通報は落ち着いて
   

火災から尊い生命を守ろう

火災から尊い生命を守ろう

平成28年秋の火災予防運動

平成28年度東京消防庁防火標語

火の始末 油断しないで 最後まで

作者 古本 創大さん 新宿区在学

火災予防運動の目的

都民の皆様に防火防災に関する意識や防災行動力を高めていただくことにより、火災の発生を防ぎ、万一発生した場合にも被害を最小限にとどめ、火災から尊い命と貴重な財産を守ることを目的としています。

実施期間

11月9日(水)から11月15日(火)まで 各署の行事一覧はこちら

平成28年上半期の火災状況

◆火災件数

平成28年上半期に東京消防庁管内で発生した火災は2,073件で、前年同期と比べて290件減少しました。

火災種別ごとの件数では、「建物火災」は1,447件(前年同期比124件減少)、「その他の火災」が492件(同148件減少)、「車両火災」は130件(同18件減少)、「林野火災」が0件(同3件減少)、「船舶火災」は1件(同1件増加)、航空機火災が1件、治外法権火災が2件となっています。

焼損床面積は10,691uで前年同期と比べて552u増加しています。

◆火災による死傷者

火災による死者は56人で、前年同期と比べて3人増加しています。このうち自殺等による死者を除いた死者は43人で、前年同期と同数となっています。火災による死者を年齢別でみると、「後期高齢者(75歳以上)」は15人(前年同期比1人減少)で最も多く発生し、次いで「成人(20〜64歳)」は11人(同3人減少)「前期高齢者(65〜74歳)」は16人(同5人増加)となっています。65歳以上の高齢者の死者は31人(同4人増加)となっています。

また、火災による負傷者は500人で、前年同期と比べて18人増加しており、最近5年間では最も多くなっています。

◆主な出火原因

出火原因の上位5位をみてみると、第1位は「放火」で440件、第2位は「たばこ」で322件、第3位は「ガステーブル等」で204件、第4位は「業務用ガスこんろ」で60件、第5位は「電気ストーブ」で56件となっています。最近5年間の上位第3位までに変動はありませんが、各出火原因の件数は、減少傾向となっています。

※平成28年上半期の火災状況の数値は速報値

住宅火災における高齢者の被害状況について

◆住宅火災による高齢者の死者発生状況

平成27年の住宅火災による死者は69人(以後、住宅火災による死者・負傷者はすべて自損を除く)で前年に比べ2人減少しています(図1)。このうち、高齢者の死者は50人となっており、前年に比べ8人減少していますが、全体の約73%を占めています。住宅火災による死者に占める高齢者の割合は例年、高い割合となっています(図2)。

図1 最近10年間の住宅火災による死者数等
図1 最近10年間の住宅火災による死者数等
図2 最近5年間の住宅火災による死者数と高齢者の割合
図2 最近5年間の住宅火災による死者数と高齢者の割合

高齢者と高齢者以外の住宅火災による死者発生率をそれぞれ比較すると、65歳未満の死者は10万人あたり0.18人発生しているのに対し、65歳以上75歳未満の死者は10万人あたり1.24人と約7倍に増加し、さらに75歳以上の死者は10万人あたり2.25人と約13倍に増加しています(図3)。

高齢者は火災による被害を受けるリスクが高いことから、より積極的な高齢者への被害低減対策を行う必要があります。

図3 住宅火災による人口10万人あたりの住宅火災による死者発生数の内訳
図3 住宅火災による人口10万人あたりの住宅火災による死者発生数の内訳

また、住宅火災による死者の家族構成を、一人暮らし、高齢者を含む家族、高齢者夫婦のみ、高齢者一人暮らしに分類すると、高齢者のみの世帯の割合が全体の6割近くを占めていることがわかります。高齢者のみの世帯において、火災が発生した際、身体状況等により火災の発見や避難が遅れてしまい、高齢者以外と比較して生命の危険が増すことが死者発生割合の高さに表れていると考えられます(図4)。

図4 過去5年間の住宅火災における死者の世帯状況別
図4 過去5年間の住宅火災における死者の世帯状況別

住宅用火災警報器の普及促進

◆住宅用火災警報器を設置しましょう

住宅用火災警報器は、火災や煙などを感知して、音声や警報音で知らせてくれるので、火災の早期発見に大変有効です。

平成27年中の住宅火災による死傷者608人の死傷程度を、住警器等(住宅用火災警報器と自動火災報知設備を言います。以下同じ。)の設置有無別に比較すると、設置なしの方が重症以上の割合は高くなっています(図5)。

図5 平成27年中 住宅火災による死傷者の死傷程度
図5 平成27年中 住宅火災による死傷者の死傷程度

また、平成27年中における住宅用火災警報器の奏効事例は258件で、このうち火災に至らなかった事例が133件(51.6%)あり、住宅用火災警報器による早期発見の効果が見られます。火災になってしまった事例の中でも、ぼやが100件と約4割を占めており、被害が大きくなる前に消し止められています(図6)。

住宅用火災警報器の奏効事例を発生箇所別で見ると、台所が165件(64.0%)と6割以上を占め、次いで居室となっています。このように台所への設置はもちろんのこと、すべての居室、階段にも設置する必要があります。

図6 平成27年中 住宅用火災警報器の奏効事例
図6 平成27年中 住宅用火災警報器の奏効事例

住宅用火災警報器の維持管理の周知

住宅用火災警報器は、電池が切れていたり、故障していたりすると、いざという時に効果を発揮しません。日頃からお手入れをして、定期的に作動確認をしましょう。

〜お手入れ〜

警報器にホコリがつくと、火災を感知しにくくなります。汚れが目立ったら、乾いた布巾でふき取りましょう。

特に、台所に取り付けた住宅用火災警報器は、油や煙により汚れがつくことがあります。布に水や石けん水を浸し、十分絞ってから汚れをふき取ってください。

〜作動確認〜

正常に作動するか、定期的にテストしましょう。テストは、ボタンを押したり、ひもがついているタイプのものは、ひもを引いて行えます。詳しくは製品の取扱い説明書をご覧ください。

◆住宅用火災警報器本体にも寿命があります

センサー部分が故障するなど、機器本体にも寿命があります。メーカーでは、機器本体は最大10年を目安に機器本体の交換をおすすめしています。

出火原因を踏まえた高齢者の防火対策

平成27年中における住宅火災による高齢者の死傷者の出火原因と着火物との関係を見てみると、出火原因「たばこ」と着火物「ふとん類」の組み合わせ、出火原因「こんろ」と着火物「着衣」の組み合わせが多くなっています(表)。

表1 平成27年中において住宅火災による高齢者の死傷者の火災原因と着火物との関係

表1 平成27年中において住宅火災による高齢者の死傷者の火災原因と着火物との関係

以上のことから、「たばこ」、「こんろ」、「ふとん類」及び「着衣」の観点からの防火対策が必要となっています。

たばこ

死者が発生した住宅火災で一番多い出火原因は「たばこ」です(図7)。

「火源の落下」、「寝たばこ」、「火種の残ったたばこを吸い殻でいっぱいの灰皿等へ捨てることや、ごみ箱やごみ袋へ捨てる等の不始末」がほとんどを占めており、適切な方法で喫煙し、始末をしていれば、火災の発生を未然に防止できたと思われるものが大半であることから、正しい吸い殻の処理や喫煙者の防火意識の高揚が重要になります。

また、たばこ火災の着火物では、布団類がもっとも多く、高齢者に比較的多くみられ、出火時に就寝中や泥酔状態で死亡するケースが目立ちます。

喫煙習慣のある方のためには、「寝たばこを絶対にしない」ということを徹底することはもちろんですが、防炎品のシーツや掛け布団カバーの使用をお勧めします。

図7 平成27年中の住宅火災における出火原因別死者数
図7 平成27年中の住宅火災における出火原因別死者数

★ポイント★

  • たばこは、布団やベッドの上では絶対に吸わないようにしましょう。
  • 飲酒→喫煙→うたた寝に注意しましょう。
  • 吸い殻は完全に消えていることを確認してから捨てましょう。
  • 灰皿に吸い殻を溜めずに、定期的に捨てるようにしましょう。
  • シーツや掛け布団カバーは防炎品を使用しましょう。

ストーブ

平成27年中にストーブを原因として発生した住宅火災は92件で、7人の方が亡くなっています。また、亡くなった方の7人のうち4人は、電気ストーブで亡くなっています(図8)。

死者が発生した要因を見ると、多くがストーブに可燃物が接触することによるものです(図9)。

就寝時に何らかの弾みで寝具が使用中のストーブに触れたり、ストーブで洗濯物の乾燥や調理をする等、暖房以外の目的で使用したことが原因で火災になる場合もあります。ストーブの周りには、衣類や寝具類、紙等の可燃物を置かないようにしましょう。ストーブを使用中に、近くに置いてあったエアゾール缶(スプレー缶)が高温になり破裂して、漏れたLPガスに着火するといった火災も起きています。

図8 平成27年中の住宅火災における死者が発生したストーブ火災の要因
図8 平成27年中の住宅火災における
死者が発生したストーブ火災の内訳
図9 平成27年中の住宅火災における死者が発生したストーブ火災の内訳
図9 平成27年中の住宅火災における
死者が発生したストーブ火災の要因

★ポイント★

  • ストーブの周りには物を置かないようにしましょう。
  • ストーブをつけたまま外出しない、寝ないようにしましょう。
  • ストーブの上で洗濯物を干したり、近くで乾かしたりしないようにしましょう。
  • 部屋を離れる時は、必ずストーブを消しましょう。
  • ストーブに給油する時は、必ず火を消してから行いましょう。
  • 電気ストーブも石油ストーブ等と同様に注意して使用しましょう。

こんろ

住宅火災の出火原因と負傷者の発生原因で一番多いのは「こんろ」です(図10、図11)。

「こんろ」による火災の一例として、揚げ物の調理の際に、火をつけたままその場を離れてしまうことで油が過熱され発火し、火災となること等が挙げられます。

また、最近ではIHクッキングヒーターを利用する人も増えてきましたが、IH専用鍋などを使用しなかったために過熱し火災になるケースや、少量の油しか入れずに揚げ物をしようとしたため急激に加熱されて火災になるケース等、不適切な使用により火災になることがあります。

「こんろ」による負傷者では「天ぷら油火災」によるものが大半を占めており、そのほか、こんろの周囲にある可燃物に着火し出火する火災、ガスこんろを使用中にエアゾール缶に穴をあけたため噴出したガスに引火する火災、調理中着衣に着火した火災等があります。こんろの周囲は整理整頓し、可燃物は置かないようにしましょう。また、着衣着火の予防には、調理中に身につけるエプロンやアームカバーを防炎品にする等の対策が効果的です。

図10 平成27年中の住宅火災における出火原因別件数
図10 平成27年中の住宅火災における
出火原因別件数
図11 平成27年中の住宅火災における出火原因別負傷者数
図11 平成27年中の住宅火災における
出火原因別負傷者数

★ポイント★

  • こんろから離れる際は必ず火を消しましょう。
  • こんろの周りに燃えやすいものを置かないようにしましょう。
  • 換気扇や壁、魚グリルなどは定期的に掃除をしましょう。
  • 調理をする際は防炎品のエプロンやアームカバー等を使用しましょう。
  • Siセンサーこんろを使用しましょう。

電気コード等

近年では電気火災のうち漏電・電線の短絡(ショート)・スパーク・半断線・トラッキング等を原因とした発熱によって起こる火災(以下「電気コード火災等」という。)の死者が多く発生しています。火災件数は昨年減少しているにもかかわらず、平成27年中においては増加している。また、死者数については高齢者の割合が例年高くなっています。(図12)。

これらの火災の出火原因は「コード」、「差し込みプラグ」が多くなっています(図13)。火災に至った理由をみると、「金属の接触部が過熱する」、「電線が短絡(ショート)する」、「トラッキング」の順に多く発生しています(図14)。コード等は物に踏まれたり折れ曲がった状態で使用されていたためにコードの被覆が損傷したり、長年使用したことによる経年劣化により、短絡(ショート)や半断線が発生して火災に至るケースがあります。差し込みプラグは、差し刃間のトラッキング現象による火災が多く発生しています。

トラッキングとは、コンセントに差し込んだプラグの差し刃間に付着した綿ほこり等が湿気を帯びて微小なスパークを繰り返し、やがて差し刃間に電気回路が形成され出火することを言います。
図12 過去5年間の住宅火災における「電気コード火災等」の死者数・件数
図12 過去5年間の住宅火災における「電気コード火災等」の死者数・件数
図13 過去5年間の主な「電気コード火災等」による死者数
図13 過去5年間の主な「電気コード火災等」による死者数
図14 過去5年間の「電気コード火災等」における主な原因
図14 過去5年間の「電気コード火災等」における主な原因

★ポイント★

  • ほこりがたまらないように、特に隠れているところに注意し定期的に掃除しましょう。
  • 差し込みプラグを抜くときは、コードではなくプラグ本体を持って抜きましょう。
  • コードの折れ曲がり、家具等の下敷きに注意する。束ねての使用はしないようにしましょう。
  • テーブルタップは、決められた容量内で使用しましょう。
  • 外出時や就寝時などは、使わないプラグはコンセントから抜いておきましょう。

布団類・着衣

〜エプロンや寝具類などは防炎品にしましょう〜

焼損面積が少ない火災で怪我をされた方の中には、「調理中に衣服の裾に火が触れて着火した」「仏壇のろうそくに衣服の袖が触れて着火した」事例などが多くあります。

「着衣」に着火した場合は重症化することが多いですが、エプロンやアームカバーを燃えにくい「防炎品」にすることにより、着衣着火による被害は軽減されます。

寝たばこは絶対にしてはいけないのですが、万が一に備え、シーツやまくらカバー、掛け布団カバーなどを防炎品にすることによって、火災の被害を軽減することができます。

家庭の身近にある防炎品の品目は、カーテン、寝具類、エプロン、アームカバー、テント・シート・幕類、非常持出袋、防災頭巾、衣服、布張家具、自動車・オートバイ等のボディーカバー、障子紙、祭壇・祭壇用白布・祭壇マット、防護用ネットなどがあります。購入は、インターネットや池袋・本所・立川の各防災館でも一部商品を取扱いしています。基準を満たした商品には、(公財)日本防炎協会の認定マークが貼付されています。

エプロン アームカバー (公財)日本防炎協会 認定マーク
エプロン アームカバー (公財)日本防炎協会 認定マーク

家具類の転倒・落下・移動防止対策の推進

「家具転対策(かぐてんたいさく)」とは、地震の揺れでケガ等をしないために、家具や家電などを固定したり、落下防止措置をしたりする、「家具類の転倒・落下・移動防止対策」の略称です。

地震が起こって、家具類の転倒等が発生すると、ケガをしてしまうだけでなく、火災の発生等につながる可能性もあります。家具転対策は、地震が発生した際にご自分を守る「自助」だけでなく、「共助」として、隣近所や地域の助け合いへとつながる重要な対策です。身近な被害を防ぐためにも、家具転対策を実施しましょう。

ケガだけではない。家具転対策をしていないと起こる危険

◆火災

地震が起こると、家具類の転倒・落下・移動によって火災が発生することがあります。ストーブや水槽ヒーターなどの熱を発する器具に家具類が転倒等をした場合だけでなく、ストーブ等に家具類の収容物(本棚の本など)が落下することでも、火災が発生する危険があります。

平成23年3月11日に発生した東日本大震災において、都内で32件の火災が発生しましたが、その多くが家具類の転倒・落下・移動によるものでした。また、東京都が公表した首都直下地震の被害想定では、都内で最大約800件もの火災が発生すると想定されています。

「第21期火災予防審議会答申」(平成27年4月)において、家具転対策が“地震時に出火防止対策としても非常に大きな役割を果たしている”ことが示されており、火災による死者数の減少に大きく寄与することがわかっています。火災による被害を減らすためにも、家具転対策は絶対に欠かせません。

<東日本大震災での出火例>

  • 本棚が倒れ、本が電気ストーブに落下し出火
  • 電気スタンドが倒れ、布団に接触し出火
  • 落下物が、家電製品のスイッチに接触し、スイッチ

が入ることにより出火 など

◆避難障害

出入口付近に家具転対策を実施していない家具を配置してしまうと、地震により、転倒した家具が扉や窓を塞ぎ、逃げられなくなることがあります。

首都直下地震等の大規模地震が発生した場合、室内に閉じ込められてしまうと、そのまま長時間救出されない可能性があります。避難できない状況で、自宅や、近隣の住宅等で火災が発生すると、火災に巻き込まれる可能性が高く、非常に危険です。

避難障害を起こさないためには、出入口や避難経路に家具を置かないことや、家具を置く向きを工夫したりする家具等のレイアウトも非常に大切です。

家具の配置

◆どうやって家具転対策をしたらいいの?

一言で家具転対策といっても、その方法は様々です。

家具転対策と聞いてすぐ頭に浮かぶのは、金具などを使用し、家具と壁をネジ留めするようなものかもしれませんが、ネジ留めが不要な対策器具を組み合わせて固定する方法もおすすめです。例えば、タンスなどの場合、つっぱり棒とストッパー式(もしくはマット式)を組み合わせて設置することで、L型金具と同等の効果が得られます。

それ以外にも、大きなホームセンターなどに足を運ぶと、穴を開けたりすることなく設置し、固定できる器具も多く販売されています。対策を行う家具の形状や重さに合った器具を選び、器具の効果が十分に発揮できるよう、正しく設置することが重要です。

転落防止策の一例