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東京消防庁  広報テーマ (7月号) テーマ1 夏に多発する事故から尊い命を守ろう
テーマ2 日常生活における火災や事故を防止しよう
   

夏に多発する事故から尊い命を守ろう

夏に多発する事故から尊い命を守ろう

梅雨が明け、本格的な夏の暑さがやってくるこれからの季節は、熱中症が増える時期です。熱中症は屋外だけでなく室内でも発生しているため、室内温度を確認するなど熱中症にならないような注意が必要です。また、水に接する機会が多くなり、海・河川・プールなどでの水による事故が増える時期でもあります。熱中症や水の事故を防ぐために、次のような点に注意して、楽しい夏を過ごしましょう。

熱中症を防ごう

(1) 熱中症の発生状況(平成27年6月から9月まで)

  • ア 月別救急搬送人員

東京消防庁管内※で、平成27年6月から9月までの4か月間に、救急搬送された方のうち、熱中症(疑い含む)と診断された方は、4,702人となっています。昨年は、梅雨明け後から急増し、7月31日から8月7日まで8日連続で猛暑日を記録するなど、気温が高くなった日に救急搬送が多くなりました。

また、7月、8月の発生が多いですが、梅雨時期の6月や残暑の9月にも熱中症による救急搬送がみられます(図1)。

図1 熱中症の月別救急搬送人員(平成27年6月〜9月)
図1 熱中症の月別救急搬送人員(平成27年6月〜9月)
平成28年度東京消防庁夏の事故防止(熱中症予防)ポスター
※複製を禁ず
平成28年度東京消防庁
夏の事故防止
(熱中症予防)ポスター
  • イ 初診時程度別発生状況

救急搬送時の初診時程度を見ると、救急搬送された4,702人のうち42.9%にあたる2,017人が入院の必要があるとされる中等症以上と診断されています。重症以上は177人で、そのうち43人は生命の危険が切迫しているとされる重篤、4人は死亡と診断されています(図2)。

※ 東京都のうち稲城市、島しょ地区を除く地域

図2 初診時程度別の救急搬送人員(平成27年6月〜9月)
軽  症:
入院を要しないもの
中等症:
生命の危険はないが、入院を要するもの
重  症:
生命の危険が強いと認められたもの
重  篤:
生命の危険が切迫しているもの
死  亡:
初診時死亡が確認されたもの
図2 初診時程度別の救急搬送人員(平成27年6月〜9月)
  • ウ 年齢区分別の救急搬送状況

年齢区分別の救急搬送状況を見ると、65歳以上の高齢者が2,330人で全体の約半数を占め、そのうち約7割にあたる1,647人が75歳以上の後期高齢者となりました(図3)。

年齢区分別の救急搬送人員と入院が必要とされる中等症以上の割合では、65歳以上は救急搬送された半数以上が、入院が必要とされる中等症以上と診断されています(図4)。

図3 年齢区分別の熱中症による救急搬送人員(平成27年6月〜9月)
図3 年齢区分別の熱中症による救急搬送人員(平成27年6月〜9月)
図4 年齢区分別の熱中症による救急搬送人員と中等症以上の割合(平成27年6月〜9月)
図4 年齢区分別の熱中症による救急搬送人員と中等症以上の割合(平成27年6月〜9月)
  • エ 場所別発生状況

救急要請時の発生場所では、住宅等居住場所が2,026人で全体の43.1%を占め最も多く、次いで道路・交通施設が1,192人で25.4%を占めました。

また、学校・児童施設での発生は、203人で全体の4.3%でした(図5)。

図5 発生場所別の熱中症による救急搬送人員(平成27年6月〜9月)
図5 発生場所別の熱中症による救急搬送人員(平成27年6月〜9月)

(2) 熱中症での救急搬送事例

室内で熱中症になった事例

21時頃、娘が母親宅を訪問した際、居室内ぐったりしている母親を発見したもの。居室内は窓が開いており、クーラー、扇風機等も使用していなかった。
【平成27年7月 女性(76歳) 熱中症(中等症) 気温28.0℃ 湿度67%】
3時頃クーラーを切り、窓を開けて就寝、7時半ごろ起床した際、室内がかなり暑く、大量の汗をかき、気分も悪かった。8時頃水を飲んだが嘔吐したもの。
【平成27年8月 男性(73歳) 熱中症疑い(中等症) 気温29.5℃ 湿度73%】
15時30分頃、帰宅した息子が暑い部屋でぐったりしている母親を発見したもの。
【平成27年6月 女性(79歳) 熱中症(重症) 気温28.8℃ 湿度47%】

<予防のポイント>

気温が高くなくても湿度が高いと、熱中症になることがあります。

水分補給を計画的、かつ、こまめにしましょう。
窓を開け風通しを良くしたり、エアコンや扇風機等を活用し、室内温度を調整するなど、熱気を溜めないようにしましょう。

乳幼児が、車の中で熱中症になった事例

車両内に子供2人を乗せた状態で、母親が車両のカギを車内に残したまま誤って施錠したもの。
【平成27年5月 女児(2歳)、男児(1歳) 熱中症疑い(いずれも軽症) 気温23.3℃ 湿度47%】
公園を散歩して、帰宅するために母親が自動車の左後部座席のチャイルドシートに男児を乗せ、ドアを閉めたところ、原因不明なるもすべてのドアが施錠された。鍵も運転席に差したままで、開錠できなくなったもの。
【平成27年6月 男児(2歳) 熱中症(軽症) 気温25.4℃ 湿度63%】

<予防のポイント>

夏場の車内の温度は、短時間で高温になります。

少しの間でも子供を車内に残さないようにしましょう。
子供が、自分で内鍵をかけたり、車の鍵で遊んでいて誤って、ロックボタンを押してしまい閉じ込められる事故が発生しています。車を降りる際は、鍵を持って降りましょう。

屋外で作業中に熱中症になった事例

8時頃から屋外で工事現場の作業をしており、14時頃に手に力が入らない症状があり休んでいた。その後、全身性の痙攣症状が発生したもの。
【平成27年6月 男性(61歳) 熱中症(重篤) 気温26.0℃ 湿度62%】
13時頃、畑から帰ってこない夫を心配して様子を見にいくと、畑で倒れ意識を失っていたもの。
【平成27年7月 男性(92歳) 熱中症(死亡) 気温34.0℃ 湿度44%】

屋外で並んでいて熱中症になった事例

飲食店の行列に並んでいた際、一時的に意識消失し、その後も意識消失を繰り返したもの。
【平成27年9月 女性(21歳) 熱中症(軽症) 気温32.5℃ 湿度55%】
祭り会場で、列に並んでいた女性が、突然しゃがみ込み意識朦朧となったもの。
【平成27年9月 女性(73歳) 熱中症(中等症) 気温25.6℃ 湿度71%】

運動中に熱中症になった事例

マラソン大会で走っていたところ意識を失って倒れたもの。
【平成26年6月 男性(53歳) 熱中症(重症) 気温22.2℃ 湿度73%】
河川敷野球グラウンドで野球の試合中、気分が悪く体調不良を訴えた。その後、痙攣及び全身が痛くなったもの。
【平成27年8月 男性(38歳) 熱中症(重篤) 気温34.1℃ 湿度57%】

複数の熱中症患者が発生した事例

夫婦で屋外を散歩中に、暑さのため、歩行困難となったもの。
【平成27年7月 78歳男性、76歳女性 熱中症(いずれも中等症) 気温31.0℃ 湿度61%】
小学校の運動場で小学生がサッカーの練習中、4人が悪心、頭痛、脱力感を訴えたもの。
【平成27年7月 9歳〜10歳の男女4名 熱中症(いずれも軽症) 気温30.7℃湿度59%】
高校でダンスの部活動中、多数の生徒が気分悪くなったもの。
【平成27年7月 15歳〜17歳の女性9名 熱中症(疑い含む)(中等症3名、軽症6名) 気温28.6℃ 湿度76%】

<予防のポイント>

クラブ活動等では、複数の生徒が熱中症で救急搬送されています。指導者等は、無理のない活動に配意しましょう。

水分補給を計画的、かつ、こまめにしましょう。
屋外では帽子を使用しましょう。
襟元を緩めたり、ゆったりした服を着るなど服装を工夫しましょう。
指導者等が積極的、計画的に休憩をさせたり、体調の変化を見逃さないようにしましょう。
実施者は自分自身で体調管理を行い、体調不良の時は無理をせず休憩しましょう。

(3) 熱中症の予防

  • ア  暑さに身体を慣らしていく。

暑い日が続くと、体がしだいに暑さに慣れて(暑熱順化)、暑さに強くなります。暑熱順化は、「やや暑い環境」で「ややきつい」と感じる強度で毎日30分程度の運動(ウォーキングなど)を継続することで獲得できます。暑熱順化は運動開始数日後から起こり、2週間程度で完成するといわれています。そのため、日頃からウォーキングなどで汗をかく習慣を身につけて暑熱順化していれば、夏の暑さにも対抗しやすくなり、熱中症にもかかりにくくなります。汗をかかないような季節の段階から、少し早足でウォーキングし、汗をかく機会を増やしていれば、夏の暑さに負けない体をより早く準備できることになります。

<対策>

ウォーキングなど運動をすることで汗をかく習慣を身に付けるなど、暑さに強い体をつくる。
冷房に頼りすぎない。
  • イ 高温・多湿・直射日光を避ける。

熱中症の原因の一つが、高温と多湿です。屋外では、強い日差しを避け、屋内では風通しを良くするなど、高温環境に長時間さらされないようにしましょう。

<対策例>

服装を工夫する。(襟元を緩める、ゆったりした服を着るなど通気を良くする。)
窓を開け、通気を保つ。
扇風機等を使用し、室内に熱気を溜めない。
すだれ・よしず等を使用する。
グリーンカーテンを作る。窓に遮光フィルムを貼る。
エアコンによる室内温度の調整をする。
屋外では頭部を守るため帽子や日傘を使用する。
日陰を選んで歩く。遊ぶ時は日陰を利用する。
温度計や湿度計を設置して、こまめに確認し室内の温度の調整を行う。
熱中症計を活用する。
  • ウ 水分補給は計画的、かつ、こまめにする。

特に高齢者はのどの渇きを感じにくくなるため、早めに水分補給をしましょう。普段の水分補給は、健康管理上からもお茶や水がよいでしょう。水分補給目的のアルコールは尿の量を増やし体内の水分を排出してしまうため逆効果です。

なお、持病がある方や水分摂取を制限されている方は、夏場の水分補給等について必ず医師に相談しましょう。

<対策>

のどが渇いてから水分補給をするのではなく、例えば時間を決めて水分補給することや外出前に水分補給をするなど、意識的に水分補給を心がけましょう。

  • エ 運動時などは計画的な休憩をする。

学校での体育祭の練習、部活動や試合中などの集団スポーツ中に熱中症が発生していることから、実施する人はもちろんのこと、特に指導者等は熱中症について理解して、計画的な休憩や水分補給など、熱中症を予防するための配慮をしましょう。

汗などで失われた水分や塩分をできるだけ早く補給するためには、水だけでなく、スポーツドリンクなどを同時に摂取するのもよいでしょう。

また、試合の応援や観戦などでも熱中症が発生していることから、自分は体を動かしていないからと言って注意を怠らないでください。

<対策>

指導者等が積極的、計画的に休憩をさせる。
指導者等は、体調の変化を見逃さない。
実施者は自分自身で体調管理を行い、体調不良の時は無理をせず休憩する。
屋外での応援や観戦など、運動をしていなくても高温環境にいることを忘れず、水分補給を心がける。
  • オ 規則正しい生活をする。

夜更かし、深酒、食事を抜くなど不規則な生活により体調不良な状態では、熱中症になる恐れがあります。

<対策>

規則正しい生活と十分な食事をする。
  • カ 乗用車等で子供だけにしない。

車内の温度は短時間で高温になります。少しの間でも、子供を車内に残さないようにしましょう。

<対策>

子供を車内に、絶対残さない。
  • キ 子供は大人よりも高温環境にさらされています。

一般的に地面に近いほど、地面からの輻射熱は高くなります。子供は大人に比べて身長が低いため、大人よりも、地面から受ける輻射熱は高温となります。

<対策>

子供は大人の想像以上に輻射熱等を受けていると考えましょう。
子供の体調の変化に注意しましょう。

(4) 熱中症を疑う症状と応急手当

熱中症を疑う症状と応急手当

※ 参考文献:熱中症環境保健マニュアル2014(環境省)

水の事故を防ごう

夏は河川でバーベキューをしたり、プール等に出かける機会が増えて楽しい季節ですが、おぼれて救急搬送される事故も、この時期に多くなります。

乳幼児では、深さ数センチのビニールプールでもおぼれることがあります。

河川やプール等でおぼれる事故は、生命を脅かす事故となる可能性が高いことから、十分な注意が必要です。

1 河川やプール等でおぼれる事故

  • (1) 救急搬送人員の推移

東京消防庁管内1)では、平成23年から平成27年2)までの6月から9月に発生した河川やプール等でおぼれる事故3)により、82人が救急搬送されています。

水の事故による救急搬送人員(6月〜9月)
1)
東京都のうち稲城市、島しょ地区を除く地域
2)
平成27年は暫定値です。
3)
事故発症時動作が「溺水・入水」のうち、「自損」、「浴槽での溺水」を除きます。
  • (2) 月別救急搬送人員(平成23年から平成27年まで)

月別にみると、8月に搬送人員が多くなっています。

月別救急搬送人員
  • (3) 年代別の救急搬送人員

年代別にみると、9歳以下が最も多く、次いで10歳代、20歳代となっています。

年代別の救急搬送人員
  • (4) 事故発生場所別の救急搬送人員

おぼれる事故が発生している場所では、河川が54.8%、プールが35.4%と高い割合を占めています。河川は飛び込みによる事故が多く発生しており、地形により流れが速い場所もあるので注意が必要です。また、子供用のビニールプールでも4人が搬送されています(図4)。

事故発生場所別の救急搬送人員
  • (5) 年齢区分別による発生場所の割合

9歳以下では、プールに続き、ビニールプール、河川での事故の割合が高くなっています。10歳代では、プールと河川での事故がおよそ50%ずつを占めています。また、20歳代から河川での事故の割合が増加しています。

年齢区分別による発生場所の割合
  • (6) 初診時程度別割合

初診時程度別割合では、入院の必要があるとされる中等症以上の割合が72%を占めています。

初診時程度別割合
軽  症:
入院を要しないもの
中等症:
生命の危険はないが、入院を要するもの
重  症:
生命の危険が強いと認められたもの
重  篤:
生命の危険が切迫しているもの
死  亡:
初診時死亡が確認されたもの
  • (7) 乳幼児の事故

0歳から5歳の乳幼児では、3歳が最も多く救急搬送されています。活発な動きができるようになる時期ですが、この時期の子供に水の事故が多いことを認識し、水遊びをさせる時は、子供から目を離さないようにしましょう。

乳幼児の事故

2 救急搬送事故事例

1 (目を離した隙におぼれた事故)
プールの更衣室で子供のみ着替えさせた後、母親が目を離した隙にいなくなり、プール(水深1m)で溺れていた。遊泳客が、子供が飛び込みおぼれたことに気づき引きあげた。(2歳女児 重症)
2 (飛び込みよる事故)
男性が高さ6mの岩場から河川に飛び込み、その後浮かび上がったが動かないため救急要請となった。(38歳男性 重症)
3 (河川で男性2人がおぼれた事故)
流されたサンダルを泳いで取りに行った友人がおぼれたため、助けに行ったが双方ともにおぼれてしまい、現場にいた人に救助されて救急要請となったもの。(18歳男性2名 中等症、軽症)
4 (飲酒後に河川でおぼれた事故)
飲酒して火照った身体を冷やすために、河川に入り泳いでいたが、川の真ん中付近でおぼれ姿が見えなくなった。(20歳男性 重篤)
5 (川釣りをしていておぼれた事故)
河川であゆ釣りをしていて溺れたところを、下流側の目撃者が救急要請したもの。(60歳男性 重篤)
河川やプール等での水の事故を防ぐために
(1)
小さい子供と一緒に水遊びをする際は、子供から目を離さず、保護者や大人が必ず 付き添って遊びましょう。
(2)
飲酒後や体調不良時には遊泳は行わず、もし遊泳しようとしている人がいたら、周りにいる人は遊泳をやめさせましょう。
(3)
海や河川では、気象状況に注意を払い、荒天時や天候不良が予測される場合は遊泳や川岸等でのレジャーは中止しましょう。
(4)
海や河川では、ライフジャケットを着用するなど、事故の未然防止に努めましょう。
河川やプール等での水の事故を防ぐために

病院へ行く? 救急車を呼ぶ? 急な病気やけがで迷ったら

1 東京消防庁救急相談センター

7月は熱中症が多発する時季です。急な病気やけがをした場合に、「今すぐ病院に行ったほうがいいのかな?」、「救急車を呼んだほうがいいのかな?」など迷った際の相談窓口として、東京消防庁救急相談センターを開設しています。

受付番号#7119は携帯電話、PHS、プッシュ回線からご利用いただけます。その他の電話、または繋がらない場合、23区は03(3212)2323、多摩地区は042(521)2323からご利用ください。

救急相談センターの業務内容

2 東京版 救急受診ガイドについて

東京消防庁救急相談センターでの電話による救急相談に加え、東京版救急受診ガイド(冊子版・ウェブ版)を提供しております。

これは、主な19の症状について、利用者の方自らが症状をチェックしていくことで、病気やけがの緊急度などに関するアドバイスが得られるサービスです。

いつでも利用できるように、下記のQRコードを携帯電話またはスマートフォンで読み取り、アドレスを登録しましょう。

東京版救急受診ガイド(冊子版)
※緊急性があると思われる場合は、ためらわず救急車(119番)をお呼びください。

救急車の適正利用について

1 増加する救急出場と救急隊の現場到着時間

東京消防庁における救急出場件数は、依然として増加し続けており、平成27年中の救急出場件数は759,802件と過去最高の件数となり、今後さらに増え続けると予想されます(図1)。

東京消防庁では、119番通報で救急車の要請を受けると、対応可能な最も近くの救急車を出場させていますが、救急要請が増加すると、近くの救急車が全て出場中となり、遠くから救急車が駆け付けることで到着までに時間がかかることになります。

このため、救急車が出場してから要請場所に到着するまでの平均時間は長くなる傾向にあり、平成27年中は一昨年より9秒短くなりましたが、7分45秒と依然として傷病者への影響が危惧されています(図2)。

一方、救急車が搬送した方のうち、入院を必要としない軽症の割合は50%以上を占めており、また、アンケート調査の結果では、救急車を要請した理由として、「生命の危険があると思った」など緊急性がある理由が多い反面、「交通手段がなかった」など緊急ではない理由も見受けられました。このような状況が進むと、救急車の到着が更に延び、救えるはずの命が救えなくなる危険性が高まります。

年間出場件数(平成23年〜平成27年) 平均到着時間(平成23年〜平成27年)

2 救急医療の受診について(消防庁発行「救急車を上手に使いましょう(平成23年3月発行)」から抜粋)

症状に緊急性がなくても、「交通手段がない」「どこの病院に行けばよいかわからない」「便利だから」と救急車を呼ぶ人がいます。また、「平日休めない」や「日中は用事がある」、「明日は仕事」などの理由で、救急外来を夜間や休日に受診する人もいます。

救急車や救急医療は限りある資源です。いざというときの皆さん自身の安心のために、救急医療の受診について考えてみませんか。

こうしたケースで救急車が呼ばれました ためらわず救急車を呼んでほしい症状:大人

3 救急搬送トリアージについて

救急隊は、傷病者に緊急性が認められないと判断された人には、同意を得て自らの受診をお願いする「救急搬送トリアージ」を実施しています。救急隊が緊急性の高い傷病者に対して、迅速かつ的確に対応していくためご理解とご協力をお願いします。

このような場合は、対象となる可能性があります。

このような場合は、対象となる可能性があります。

心肺蘇生等の応急手当

(1) 心肺蘇生について

突然に心肺停止した方を救命するためには、救急車が到着するまでの間、バイスタンダー(その場に居合わせた人)による心肺蘇生が重要です。(表1及び図1)。

詳しい内容は、東京消防庁ホームページ(http://www.tfd.metro.tokyo.jp)をご覧ください。

また、前回の応急手当講習修了後3年が経過されている方や応急手当講習を受けたことのない方は、これを機会に受講し、尊い命を救うために心肺蘇生の方法を身につけましょう(表2)。

※ ガイドライン2015に準拠した講習が、7月1日より開始する予定です。

  心肺蘇生 人工呼吸 胸骨圧迫
対象 実施回数
の比率
吹き込み量 吹き込み時間 吹き込み回数 圧迫位置 圧迫法 圧迫の強さ テンポ
成人
(16歳以上)
胸骨圧迫
30回

人工呼吸
2回
胸の上がりが見える程度の量 約1秒 2回 胸骨の下半分
目安:胸の真ん中
両手 少なくとも5cm 少なくとも100回/分
小児
(1歳以上16歳未満)
両手又は片手 胸の厚さの1/3ただし、体型により5cm
乳児
(1歳未満)
乳頭間線より足側 2指
備考 心肺蘇生は、救急隊に引き継ぐか、何らかの応答や目的のある仕草(嫌がるなどの体動)が表われるか、また普段どおりの呼吸をしはじめるまで続けます。
表1 年齢区分における心肺蘇生
心肺蘇生
図1 心肺蘇生の実施要領
図1 心肺蘇生の実施要領
講習の種別 講習内容
普通救命講習
(3時間)
心肺蘇生(AEDを含む成人に対する方法)を中心に学ぶコース
普通救命
(自動体外式除細動器業務従事者)
講習(4時間)
普通救命講習の内容にAEDの知識の確認と実技の評価が加わったコース
上級救命講習
(8時間)
AEDを含む救命手当のほかに、けがの手当や搬送方法を学ぶコース
応急手当普及員講習
(24時間)
普通救命講習、普通救命(自動体外式除細動器業務従事者)講習の指導要領を学ぶためのコース
講習内容をマスターした方には、認定証を交付します。
上記講習のほか、応急救護講習・救命入門コース・ステップアップ講習などがあります。詳しくは下記の問合せ先にお問い合わせください。
講習に関する問合せ先
東京消防庁管内の各消防署、消防分署、消防出張所
公益財団法人東京防災救急協会 救急事業本部
〒102−0083 千代田区麹町一丁目12番 麹町合同庁舎内
電  話  03(5216)9995
講習受付  03(5276)0995(平日午前9時〜午後4時)
東京消防庁ホームページ(http://www.tfd.metro.tokyo.jp
(ホームページ内を以下のメニューに沿って進んでください。)
⇒「試験・講習」⇒「応急手当講習会」
心肺蘇生
表2 主な応急手当講習の種別

(2) バイスタンダー(その場に居合わせた人)の奏効事例

実際にバイスタンダーが救命処置を行い、尊い命を救った事例を紹介します。

【事例1】

テニスの練習をしていた40代の男性が、プレー中にジャンプし着地したと同時に前のめりに倒れました。

チームメイトが駆け寄り、呼びかけたところ意識がなかったため、施設関係者に対して救急要請とAEDの搬送を依頼しました。呼吸を確認すると、普段どおりの呼吸をしていなかったため直ちに心肺蘇生を開始しました。

施設関係者は事務室まで走り、119番通報を依頼し、AEDを持って現場に戻り、チームメイトと施設関係者が協力して男性に装着しました。当初は電気ショックのメッセージがなく、胸骨圧迫を続けていましたが、しばらくして電気ショックのメッセージがあり、電気ショックを1回実施し胸骨圧迫を続けていたところ体に動きがみられるようになりました。

救急隊が到着した時には、会話が可能なまでに回復しており、搬送先で検査入院をしたものの、元気に退院することができました。

【事例2】

寝室で寝ていた40代の父親が「ウー」とうめき声をあげ、突然意識を失くしました。

となりで寝ていた妻がすぐに119番通報をしました。通報を受けた通信指令員は、通報内容から心肺停止の可能性があるため胸骨圧迫の方法を電話で伝えました。

妻は指導を受けた内容を長男(小学校6年生)に伝え、胸骨圧迫を実施させました。

長男の横にいた高校1年生の長女は、学校で習った胸骨圧迫の強さや速さについてアドバイスをしながら救急車の到着を待ちました。

通報から数分後に救急車が到着し、救急隊が心肺蘇生を引き続き継続すると呼吸や脈が回復しました。

父親は、10日後には、一般病棟へ移り会話ができるまでに回復しました。

このように緊急の事態に遭遇した場合、適切な応急手当が実施できるように、日頃から応急手当に関する知識、技術を身につけておくことが大切です。