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ガステーブル火災に注意しよう

ガステーブル火災に注意しよう

平成26年中の火災4,804件(治外法権火災1件を除く。)のうち、「ガステーブル等1)」による火災は主な出火原因の第三位ですが、住宅火災2)1,694件の出火原因では第一位でした。ガステーブル等は例年、火災の原因の上位を占めています。

身近な調理機器であるガステーブル等は、日常的に使用することから火災に繋がるという認識が薄れがちですが、延焼火災に至る火災も多く発生しています。

ガステーブル等からの火災を防いで身近な火災から身を守りましょう。

住宅火災におけるガステーブル等の火災状況

火災件数

ガステーブルによる火災
ガステーブルによる火災

過去5年間の住宅火災の主な出火原因を年別にまとめました(表1)。平成26年中の主な出火原因をみると、最も多いのが「ガステーブル等」の387件で、毎年、ワースト1になっています。

表1 住宅火災の主な出火原因の状況

表1 住宅火災の主な出火原因の状況


1) ガステーブル等とは、ガステーブル、ガスこんろ、ガスレンジ及び簡易型ガスこんろをいいます。

2) 住宅火災とは、住宅、共同住宅、寄宿舎及び複合用途の住宅部分から出火した火災をいいます。



住宅火災におけるガステーブル等の火災は最近5年間で1,989件、死者は27人発生しています。火災件数は、減少傾向で推移していますが、火災による死者は増減を繰り返しており、最近5年間では年平均5人以上の死者が発生しています。

図1 住宅火災の主な出火原因別の状況(上位5位)
図1 住宅火災の主な出火原因別の状況(上位5位)

火災に至った経過

最近5年間の住宅火災におけるガステーブル等による火災の火災に至った経過をみると、調理中にその場を離れたり、調理後に火を消し忘れる「放置する・忘れる」が最も多く、5割以上(52.8%)を占めています(表3)。

また、死者の発生した火災の経過をみると、ガステーブル等の周囲の可燃物や着ている衣類に着火する「可燃物が接触する」、「接炎する」が多く発生しています(表4)。

ガステーブル火災の主な経過 件数
放置する・忘れる 1,050
可燃物が接触する 210
接炎する 175
引火する 155
過熱する 112
考え違いにより使用を誤る 73
誤ってスイッチが入る(入れる) 70
可燃物が落下する 26
可燃物が沸騰する・あふれ出る 22
伝導過熱する 19
放射を受けて発火する 17
可燃物を置く 16
本来の用途以外の用に用いる
その他 24
不明 14
合計 1,989

表3 主な出火に至った経過

死者が発生した火災の主な経過 件数
可燃物が接触する 11
接炎する
放置する・忘れる
本来の用途以外の用に用いる
不明
合計 27

表4 死者が発生した主な経過

ガステーブル等の火災による死者

ガステーブル等による着衣着火の実験状況
ガステーブル等による着衣着火の実験状況

最近5年間の住宅火災におけるガステーブル等の火災による死者は、最近5年間で死者27人が発生しており、このうち着衣着火による死者は11人(40.7%)で、男性8人中7人、女性は3人すべてが高齢者で、着衣着火による死者の高齢者の割合は90.9%になります(表5)。

最近5年間のガステーブル等の火災による死者27人を、男女別、年齢区分構成別でみると、男女別では男性が6割以上(63.0%)を占めており、年齢区分構成では高齢者が7割以上(74.1%)を占め、高齢者の男性が12人(44.4%)で最も多く発生しています(表6)。

年別 ガステーブル等の火災件数 ガステーブル等の火災による死者 ガステーブル等の着衣着火による死者
平成22年 410件 2人 -
平成23年 395件 5人 3人
平成24年 409件 9人 1人
平成25年 388件 6人 4人
平成26年 387件 5人 3人
合計 1,989件 27人 11人

表5 最近5年間のガステーブル等による着衣着火火災状況と死傷者数

年齢区分 構成比(%)
未成年 - - - -
成人 5人 2人 7人 25.9
高齢者 12人 8人 20人 74.1
合計 17人 10人 27人 100.0
構成比(%) 63.0 37.0 100.0 -

注 未成年:0〜19歳 成人:20歳〜64歳 高齢者:65歳以上

表6 最近5年間のガステーブル等の火災による死者の状況

天ぷら油火災の状況

「天ぷら油火災」とは、ガステーブル等を使用し、天ぷらやフライ等の揚げ物の調理に起因して「放置・忘れる」、「沸騰する・あふれ出る」などの経過(器具の誤操作等を除く。)により、調理用の動植物油から出火して火災となった住宅火災をいいます。なお、凝固剤に関係する火災も含みます。

火災件数

ア 年別火災状況

最近5年間の天ぷら油火災の火災状況をみると、天ぷら油火災は減少傾向で、平成26年中の発生件数は126件で前年と比べて13件の減少となっています(表7)。

年別 建物火災 損害状況
合計(件) 全焼(件) 半焼(件) 部分焼(件) ぼや(件) 焼損床面積
(m2
焼損表面積
(m2
損害額(千円) 死者(人) 負傷者(人)
平成22年 211 41 166 302 189 55,831,786 - 96
平成23年 142 27 110 327 249 43,824,741 - 63
平成24年 141 - 16 123 157 62 32,574,161 - 54
平成25年 139 - 26 110 554 120 70,111,287 - 60
平成26年 126 13 109 446 320 68,630,905 - 55

表7 天ぷら油火災の年別状況

イ 初期消火状況

平成26年中の天ぷら油火災の初期消火従事率(火災件数に対する初期消火従事件数の割合)は91.2%と火災全体の初期消火従事率(61.5%)と比較すると高くなっています。天ぷら油火災では、行為者が火を使っているという意識があることや、火を使っている場所の近くにいることが多く、住宅用火災警報器などの鳴動、煙や物音、臭いなどで火災に早く気付き、初期消火に従事することが多いのが特徴です。

また、平成26年中に住宅用火災警報器が鳴動した天ぷら油火災は25件発生し、このうち21件(84.0%)がぼやで消し止められており、すべて初期消火が行われています。

ウ 死傷者の状況

平成26年中の天ぷら油火災での死傷者の状況をみると、死者の発生はなく、負傷者は55人で、前年と比べて5人減少しています。負傷者55人のうち初期消火中の負傷者は22人(40.0%)となっており、水をかけて消火するなど不適切な消火方法や火のついた鍋を運び出そうとして床に落としたりするケースが多いのもこの火災の特徴です。

エ 調理油過熱防止装置

平成26年中に発生した天ぷら油火災126件のうち、発火源がガステーブルの火災は107件(84.9%)で、全体の約8割以上を占めています。ガステーブルでの天ぷら油火災を未然に防ぐ有効な手段の一つとして、「調理油過熱防止装置」があげられます。これは、バーナー中心部のセンサーが鍋底の温度を感知し、約250℃になると自動的にバーナーを消火して油の発火を防ぐものです。

発火源がガステーブルの火災107件のうち、67件(62.6%)が「過熱防止装置」有のガステーブルで出火していますが、そのうちの60件(89.6%)は「過熱防止装置」が付いていない側のこんろを使用したため発生した火災となっています。「過熱防止装置」が付いている側のこんろで火災になる例としては、冷凍食材等が鍋底中央に接していて温度検知ができなかった。調理油が少量で急激に加熱された、センサーや鍋底に油かすが付着していたなどが挙げられます。

平成20年10月から、家庭用ガスこんろ(カセットこんろを除く。)を「ガス事業法」及び「液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律」によって規制対象製品に指定し、全てのバーナーに「調理油過熱防止装置」及び「立ち消え安全装置」の設置を義務化し、安全性の強化が図られています。

オ 時間別発生状況

最近5年間の天ぷら油火災759件のうち、出火時間が不明の9件を除いた750件の時間別の火災状況をみたものが図2です。出火した状況をみると、17時〜18時台100件を超え、19時〜20時台の時間帯には150件を超えています(図2)。

図2 時間別の火災状況(平成22年から平成26年までの累計)
図2 時間別の火災状況(平成22年から平成26年までの累計)

行為者と出火理由

ア 年齢別発生状況

天ぷら油により発生した火災
天ぷら油により発生した火災

平成26年中の出火時の行為者の状況をみると、「住宅」では65歳以上が20件(47.6%)と最も多くなっている一方、「共同住宅等」では30歳代及び40歳代が各19件(22.6%)と最も多くなっており、住宅よりも共同住宅等では、比較的若い単身者や夫婦のみの世帯が多いためと考えられます(表8)。

出火用途
(単位:件)
年齢区分
合計 15歳以下 16〜19歳 20〜29歳 30〜39歳 40〜49歳 50〜59歳 60〜64歳 65歳以上
合計 126 19 24 24 11 33
共同住宅等 84 17 19 19 13
住宅 42 - 20

表8 平成26年中の用途別年齢別発生状況

イ 用途別出火理由

平成26年中の天ぷら油火災のうち、経過が「放置する・忘れる」により出火した104件について、出火理由をみてみます(表9)。

出火に至った理由は、「他の部屋で仕事をした」が17件(16.3%)、「テレビをみた」が14件(13.5%)、「食事をした」が12件(11.5%)などとなっており、油が温まるまでの間に少しだけ家事をしたり、テレビを見たりしてその場を離れている傾向があります。

出火用途
(単位:件)
合計 他の部屋で仕事をしていた テレビをみた 食事をした 電話に出た その場を離れて子供の世話をした 他の部屋で片付け物をした 用便にいった 外出した 寝込んだ その場を離れて雑談した その他
合計 104 17 14 12 19
共同住宅等 66 8 10 14
住宅 38 -

表9 用途別出火理由

天ぷら油火災の事例

事例1 天ぷらを加熱していることを忘れたため出火した火災(11月・葛飾区)
構造・用途等 防火2/0 住宅 出火階・箇所 1階・台所
焼損程度 建物ぼや 植物性油若干、換気扇若干焼損

この火災は、住宅の1階台所から出火したものです。

出火原因は、火元者(30歳代女性)がガステーブルで天ぷらを揚げるためにフライパンに植物性油を入れてハイカロリーバーナーで加熱しているのを忘れ、その場を離れたため出火したものです。

火元者は風呂場付近で入浴準備をしていると、台所に設置してある住宅用火災警報器の鳴動に気付き、台所へ向かうとフライパンから高さ30cm程度の炎が上がっているのを発見しました。慌てて台所にあった容器に水道水を入れフライパンに向けて水を掛けると、炎が1m程度立ち上がり拡大しました。その後、自宅の電話から119番通報しました。

事例2 小学生が油を加熱し過ぎたため出火した火災(12月・江東区)
構造・用途等 耐火造6/0 複合用途(事務所・共同住宅) 出火階・箇所 6階・台所
焼損程度 建物部分焼1棟 床面積2m2、レンジフード1等焼損

この火災は、複合用途の共同住宅部分6階の台所から出火したものです。

出火原因は、居住者の小学生が揚げ物を調理するために植物性油を加熱していた際、どのくらい温めればよいか分からなかったため、時間の経過とともに油が過熱され出火したものです。居住者の小学生が冷凍食品のハッシュドポテトを揚げるために両手鍋に植物性油を加熱し、少し煙が立ち上がってきたので温まったと思い、冷凍食品を入れようとした際、炎が立ち上がりました。火元建物1階事務所の勤務員は、自動火災報知設備が鳴動したので外に出て確認してみると、6階の窓から白煙が出ていたため携帯電話から119番通報をしました。火元建物1階の勤務員は、6階へ駆け上がり出火室内へ入るとガステーブルからレンジフードへ炎が立ち上がっていたため、フライパンに水を汲み掛けて消火しました。

ガステーブル等による火災を防ぐポイント

  • ガステーブル等の火気を使用している時はその場を離れず、離れる際は短い時間でも火を消しましょう。
  • ガステーブル等の周囲は整理整頓し、可燃物などの燃えやすいものは近くに置かないようにしましょう。
  • ガステーブル等の周囲に付着している油や食品は拭き取りましょう。
  • ガステーブル等の上には一時的でも、物を置かないようにしましょう。誤ってスイッチが入ったりして火災に繋がる恐れがあります。
  • 調理をする時は、着ている衣服の袖や裾に燃え移らないように注意しましょう。