このページの本文へ移動
東京消防庁  広報テーマ (6月号) テーマ1 身の回りの危険物品の安全な取扱いを再確認しよう
テーマ2 要配慮者を守ろう
テーマ3 台風・大雨に備えよう
テーマ4 夏祭りや花火大会での火災を防ごう

身の回りの危険物品の安全な取扱いを再確認しよう

身の回りの危険物の使用・保管方法を再確認しよう

― 危険物安全週間 ―
平成27年6月7日(日)から6月13日(土)まで

平成27年度東京消防庁危険物安全標語

危険物 一人一人が 責任者

作者 田中 佑弥さん 練馬区在学

都民の皆様へ

私たちの身の回りには、使用方法等を間違えると火災を引き起こす物質(危険物を含む製品)がたくさんあります。例えば、自動車や暖房機器の燃料のほか、非常時の燃料となるガソリン、灯油、軽油は、危険物にあたります。お酒もアルコール濃度の高いものは、危険物に該当します。また、ヘアスプレーや殺虫剤といったエアゾール缶製品、アロマオイルも危険物を含む製品です。日常生活上、欠かせないものばかりですが、その危険性を意識せずに使用したことによる火災が毎年発生しています。

職場や家庭内においては、危険物を含む製品の使用上の注意事項をよく読むなど、身の回りにある危険物の性状及び正しい使用方法を十分に理解し、危険物に関する事故を防止しましょう。

危険物関係事業者の皆様へ

当庁管内における平成26年中の危険物施設等の事故件数(119件)は、平成25年(109件)に比べ増加し、過去5年間で最多の件数となっています。危険物施設等の事故は、貯蔵、取扱い上の不注意や維持管理の不適等の人的要因、腐食等による設備の劣化等の物的要因により発生しています。これらの事故を低減させるためには、危険物施設等を有する事業所の方々が法令の遵守のみならず、それぞれの施設の特性に応じた危険要因を把握し、最も相応しい対策を実践する、いわゆる自主保安対策の取組みが極めて重要となります。

平成27年度東京消防庁危険物安全週間ポスター
平成27年度東京消防庁危険物安全週間ポスター

危険物に関する知識を深めよう

身近にある危険物の危険性や、正しい使用・保管方法について知識を深めましょう。

(1) 身近な危険物

一般的に、『危険物』といえばガソリンや灯油、軽油を思い浮かべ、その他のものは特殊な場所で利用されていると思われがちです。しかし、多くの危険物が身の回りで使用するものに含まれており、家庭内にあるもので例を挙げると、前述したもののほかにも、接着剤、アウトドアで使用する缶入り燃料や消毒用のアルコールなど、私たちの生活を便利にするために利用されているものが危険物になります。

また、ウィスキー、焼酎などのアルコール飲料は一見危険物とは無縁と思われますが、ウオッカなど一定値以上のアルコール度数の高いものは消防法の『危険物』に該当する場合があります。

次の写真1(①〜③)をご覧ください。ウオッカのそばにロウソクを置いたものです。ウオッカから発生したアルコールの蒸気にロウソクの炎が引火しています。

  • 写真1 高濃度アルコール飲料の蒸気にロウソクの炎が引火①
  • 写真1 高濃度アルコール飲料の蒸気にロウソクの炎が引火②
  • 写真1 高濃度アルコール飲料の蒸気にロウソクの炎が引火③

写真1 高濃度アルコール飲料の蒸気にロウソクの炎が引火

また、アルコールの炎は「明るい場所ではわかりにくい」という特徴があります。次の写真をご覧ください。

明るい場合は肉眼で炎が確認できない。
明るい場合は肉眼で炎が確認できない。
暗くした場合は青白い炎が確認できる。
暗くした場合は青白い炎が確認できる。

写真2 高濃度アルコール飲料に火を着けた様子

このように、身近な高濃度アルコール飲料でも火が着きやすく、また、着いた場合は非常に見にくいため、グラスに注ぐ際などには火気に十分な注意が必要です。

高濃度アルコール飲料以外にも、私たちの回りには、危険物を含む製品がたくさんあります。危険物安全週間を機に、身近な危険物の存在についてもう一度確認し、その正しい使用・保管に努めましょう。

事故事例

事例1【高濃度アルコール飲料による事故】

ウォッカを車内で飲みながら、煙草に火を着けようとしたところ、ウォッカから生じたアルコールの蒸気にライターの火が引火し、2名が熱傷(重症)を負ったもの。

危険物の見分け方

あなたが身の回りで使っている製品に、次のような表示はありませんか?
表示されているものは『危険物』です。

(例) 火気厳禁 第一石油類 危険等級II

このような表示がある製品は、ストーブなどの火気の近くで使用したり、その近くに放置することは絶対にやめましょう。

(2) 危険物の適正な容器について

危険物の運搬や保管に使用する容器は、その材質や構造、容積について消防法令に基準が定められています。

危険物の中でも身近な存在である灯油は、危険物第四類の第二石油類・危険等級Vに該当し、ストーブなどの燃料として家庭でも広く使われています。

灯油を運搬・保管するために灯油用ポリエチレン缶を使う際は、次の点に注意しましょう。

  • 5年くらいが目安です!
    灯油用ポリエチレン缶は紫外線の影響を受けやすく、布等で覆っても劣化が進みます。5年を目安に交換するようにしましょう。
  • ガソリンを入れないようにしましょう!
    灯油用ポリエチレン缶にガソリンを入れると、間違えてストーブの燃料として使用する可能性もあります。ガソリンを保管する際には基準に適合した金属製の専用容器を使用しましょう。
  • 保管場所に注意しましょう!
    風雨にさらされたり、日光に当たったりすると、灯油用ポリエチレン缶の性能は低下します。保管する際は、なるべく暗く涼しい場所を選び、直射日光が当たらないように気を付けてください。
  • 危険物を基準量以上に使用・保管すると届出などが必要になります!
    ガソリン・灯油などを基準量以上に使用・保管する場合は消防署への届出などが必要となりますので、最寄りの消防署にご相談ください。


2002年10月製造


(3) ガソリン携行缶について

平成25年8月に、屋外の花火大会で、容器から噴き出したガソリンやその蒸気に引火して火災に至った痛ましい事故が発生しました。これからの時期、花火大会など屋外のイベントが多数開催され発電機用燃料として、ガソリンを使用する機会が増えます。

ガソリンは非常に引火しやすいため、決められた容器に入れて保管するほか、次の事項に注意しましょう。

  • 保管は冷暗所で行う。
    ガソリンを入れた容器を気温の高い場所で置いていると、容器内の圧力が高まり、蓋を開けた際にガソリンやその蒸気が噴き出す可能性があります。
  • 使用・保管は換気の良い場所で行う。
    ガソリンの蒸気は空気より重いため、低い位置に溜まります。ガソリンの蒸気が引火する濃度にならないよう換気を良くすることが重要です。
  • 火気のある場所では使用・保管をしない。
    ガソリンは非常に揮発しやすく、使用する際には大量にガソリンの蒸気が発生し、近くに火気があると簡単に引火します。発電機などに給油する際は、機器を一度停止したうえで行ってください。
  • 試験に合格した携行缶を使用する。
    ガソリン携行缶については、落下試験など消防法令で定められた試験が課せられており、強度が確認されています。試験に合格した携行缶には、合格したことを示すマーク(次表のいずれか又は両方)が付されているので、購入する際のポイントとしてください。

表 運搬容器の試験に合格したことを示す表示

表示の意味 マークデザイン
国内の試験基準に合格したことを示す
国連勧告のUN規格に合格したことを示す

写真3 代表的なガソリン携行缶

(4) 手指消毒用アルコールの使用・保管について

インフルエンザ、ノロウィルス対策など感染防止用として、手指消毒用アルコールが除菌等に使用されるケースが増えてきています。

  • 危険物に該当する手指消毒用アルコール
    アルコール分が一定量以上含まれる手指消毒用アルコールは消防法上の危険物(第四類アルコール類)に該当し、その容器には危険物である旨の表示がされています。
    ガソリンなどと同様にその蒸気は空気より重く引火しやすいなどの危険性があります。
危険物表示の例
危険物表示の例
  • 危険物に該当する手指消毒用アルコールの使用・保管上の注意
    1 使用・保管する場所では、火気を使用してはいけません。
    2 使用・保管する場所は、常に整理、整頓を心掛けてください。
    3 容器を落としたり、衝撃を与える等の乱暴な取扱いをしてはいけません。
  • その他
    インフルエンザ、ノロウィルス等の対策や感染防止用として事務所等で消毒用アルコールを基準量以上に使用・保管する場合には、消防署への届出などが必要となりますので、最寄りの消防署にご相談ください。

平成26年中の危険物施設等における事故の状況

(1) 事故件数等

平成26年中の当庁管内の危険物施設等に係る事故は、火災29件、流出36件及びその他の事故54件の合計119件となっており、これらの事故により死者1名、傷者6名が発生しました。この値は、昨年と比較し、火災は9件減少した一方、流出で5件及びその他の事故で14件増加しています。また、事故の総件数も、過去5年で最多となっています。

119件の事故を施設別に見てみると、給油取扱所58件、地下タンク貯蔵所14件、少量危険物貯蔵取扱所13件、指定可燃物貯蔵取扱所9件、一般取扱所8件、運搬車両7件、移動タンク貯蔵所4件、製造所及び屋外タンク貯蔵所それぞれ2件、屋内タンク貯蔵所及び屋内貯蔵所それぞれ1件となっています。

図1 平成26年の施設別事故発生状況
図1 平成26年の施設別事故発生状況

(2) 事故の要因

119件の事故を要因別にみると、人的要因が28件、物的要因が67件、その他の要因が24件となっています。

人的要因による事故の発生原因を事故種別ごとにみると、火災事故14件(11.7%)、流出事故8件(6.7%)及びその他の事故6件(5.0%)となっています。主な要因として、火災事故は維持管理不十分によるものが、流出事故及びその他の事故は操作確認不十分によるものが挙げられます。

物的要因による事故の発生原因を事故種別ごとにみると、火災事故5件(4.2%)、流出事故22件(18.5%)及びその他の事故40件(33.6%)となっています。主な要因として、全ての事故種別で腐食疲労等劣化によるものが挙げられます。また、車両の衝突による破損が特に多く発生しています。

危険物施設等における自主保安対策の重要性を再確認しよう

(1) 自主保安対策の推進

自主保安対策を実効性のあるものとするためには、危険物施設の所有者等がその重要性を正しく認識し、率先して取り組むこと、そして、現場と管理部門が一体となって保安管理に当たることが重要です。

自主保安対策を進めるためには担当者のみに任せることなく、危険物の取扱いにかかわる全員で自主保安の重要性を再確認しましょう。

維持管理不適等の人的要因による事故を防止するため、次の自主保安対策を推進しましょう。

事故事例

事例2【火災】

金属を切削する工程において生じる高温の切削くずが、集塵機内に蓄積した埃などに付着し、着火したもの。切削機はおよそ10年前に導入されましたが、火災当時まで適切な清掃が行われていませんでした。

自主保安対策の推進事項

① 共通事項

  • 適正な貯蔵及び取扱いを心掛けましょう。
  • 法定点検及び日常点検を推進しましょう。

② 給油取扱所では

  • セルフ式のガソリンスタンドでは、顧客に適切な給油方法を指導するとともに、顧客の給油等を適切に監視・制御し、必要な指示をしましょう。
  • 可燃性蒸気の滞留するおそれのある場所では、火気を発する機器を絶対に使用しないことなど適切な火気管理を行うとともに、静電気が発生するおそれがある場合には、蓄積される静電気を有効に除去しましょう。
  • 車両の衝突等により固定給油設備、防火塀等の破損事故が増加しています。顧客に対して事故事例を引用しながら注意喚起しましょう。

③ 移動タンク貯蔵所では

  • 余裕をもった移送計画など、安全な移送について再確認しましょう。

④ 一般取扱所では

  • 作業工程や反応工程における危険要因を把握し、講じた安全対策を作業者全員に周知し、実践を徹底しましょう。

(2) セルフ式のガソリンスタンドにおける給油方法の周知

近年、セルフ式のガソリンスタンドの数が全国的に増えています。ガソリンスタンドでは、顧客による給油が安全に行われるよう危険物取扱者がモニターなどにより十分に監視等を行う必要がありますが、給油の手順や固定給油設備などの取扱いを誤ると、思わぬ事故が発生することになります。

顧客の様子から給油方法がわからなかったり、不安を感じているように見受けられる場合には、固定給油設備にあるインターホンを利用するよう促し、正しい給油方法(下記を参照)を説明しましょう。

セルフ式のガソリンスタンドを安全に利用するために
ガソリンや軽油は、その取扱い方法を誤ると大きな事故につながりかねません。セルフ式ガソリンスタンドを利用するドライバーの皆さんは、次の事項に十分注意して安全な給油作業に心掛けましょう。

その1

案内に従いながら駐車!エンジンOFF!

白線などで示された場所に停車し、必ずエンジンを停止しましょう。

その2

静電気除去シートにタッチ!

私たちの体には静電気が帯電しています。この静電気の火花が原因で、給油口から出てくるガソリンの可燃性蒸気に引火する事故が発生しています。給油キャップを開ける前に、静電気除去シートに触れ、静電気を確実に除去してから給油を始めましょう。

その3

正しい操作で給油を!

給油ノズルは、給油口の奥まで差し込み、レバーをしっかり握って給油を行いましょう。

その4

注ぎ足し給油をしないで!

自動車等の燃料タンクが満タンになると、オートストップ(満量停止装置)が作動し給油は自動的に停止します。オートストップ作動後の注ぎ足し給油は、ガソリン等の燃料が給油口の外に吹きこぼれることがあり大変危険ですので、注ぎ足し給油はやめましょう。

その5

給油キャップの閉め忘れに注意!

給油キャップを閉め忘れたまま走行すると、給油口からガソリン等の燃料やその可燃性の蒸気が漏れるおそれがあり危険です。給油が終わったら確実に給油キャップを閉め、置き忘れをしないように注意しましょう。

事故事例

事例3【施設内の事故】

ガソリンスタンドにおいて、運転操作ミス(ハンドル操作ミス及びアクセルとブレーキの踏み間違い)により自動車が固定給油設備や防火塀に衝突し、破損、流出させました。

事例4【危険物の流出】

ガソリンスタンドで給油を終えた軽乗用車が、給油ノズルを給油口に差し込んだまま発進させてしまったため、ホースとノズル部分が外れ、ガソリンが流出してしまいました。

事例5【施設の破損】

セルフ式のガソリンスタンドにおいて、給油のために来店した乗用車が、運転を誤り、軽油用の計量機に衝突し、ノズル部分を破損しましたが、危険物の流出はありませんでした。

(3) 地震・津波対策を取り入れた訓練、演習の実施について

東北地方太平洋沖地震では、地震動や津波により危険物施設も甚大な被害を受け、復旧に多大な時間や費用がかかっています。これらの被害の多くは、津波により引き起こされたことから、国では消防関係法令を改正し、予防規程に津波対策を盛り込むこととなりました。当庁においても、沿岸部に立地する危険物施設を中心に予防規程の変更をお願いしてきたところです。

首都直下地震においては、沿岸部に2mから3m程度の津波が到達すると予測されており、到達までかかる時間も、最短で10分と東北地方太平洋沖地震で発生した津波より大幅に短くなることが予測されています。

施設で行われる訓練などにおいては、これらの想定を踏まえた実践的な訓練を行うようにしましょう。

地震・津波対策を取り入れた訓練の実施

① 地震・津波対策

  • 津波が襲来する前に従業員が避難できるように訓練を実施しましょう。
  • 反応工程を有する製造所、一般取扱所においては、予防規程に記載された緊急停止の手段に沿って、安全に停止できるように訓練を行いましょう。
  • 緊急停止の措置が作動しない場合の対応訓練を実施しましょう。
  • 夜間、休日等の人員が少ない場合の対応訓練を実施しましょう。
  • 屋外タンク貯蔵所では、被害想定に応じた流出防止訓練や、流出危険物の拡散防止や回収などの対処訓練を実施しましょう。

② 帰宅困難者対策

  • 従業員以外の来訪者の避難誘導訓練を実施しましょう。
  • 帰宅困難者への対応訓練を実施しましょう。

具体的な対策を定める参考に、消防庁のホームページでは「危険物施設等の震災等対策ガイドライン」を示していますので、震災により被害を受けた事業所の地震・津波対策事例を参考にし、各事業所の実情に合った対策を講じていきましょう。

URL http://www.fdma.go.jp/neuter/topics/kikenbutsu/guideline.html

(4) 危険物施設における点検指導について

本年度は、危険物施設において、定期点検の実施又は予防規程の制定を義務付けられている施設のうち地下タンク貯蔵所について、その定期点検などの際、消防署の職員が立ち会ったうえで、必要な指導を行っています。

危険物施設の点検指導について

① 各施設で行われる定期点検に、消防職員が立ち会います。
② この制度の概要をまとめたリーフレットなどを配布します。