東京消防庁  広報テーマ (09月号) テーマ1 9月9日は救急の日です
テーマ2 ガステーブル等による火災を防ごう!
   

テーマ 2 ガステーブル等による火災を防ごう!

ガステーブル等による火災を防ごう!

平成25年中の火災5,190件(管外からの延焼火災1件を除く。)のうち、「ガステーブル等」による火災は主な出火原因の第三位ですが、住宅火災1,777件の出火原因では第一位でした。ガステーブル等は例年、火災の原因の上位を占めています。

身近な調理機器であるガステーブル等は、日常的に使用することから火災に繋がるという認識が薄れがちですが、延焼火災に至る火災も多く発生しています。

ガステーブル等からの火災を防いで身近な火災から身を守りましょう。

※1 住宅火災とは、住宅、共同住宅、寄宿舎、複合用途の住宅部分から出火した火災をいいます。

※2 ガステーブル等とは、ガステーブル、ガスこんろ、ガスレンジ、簡易型ガスこんろをいいます。

※3 平成25年の数値は速報値です。

ガステーブル等の火災状況

  • ◆火災件数

住宅火災の主な出火原因を年別にみたものが表1です。平成25年中の主な出火原因をみると、最も多いのが「ガステーブル等」の388件で、過去5年間ワースト1となっています。

ガステーブルによる火災
  • ガステーブルによる火災
表1 住宅火災の主な出火原因の状況
年   別 主な出火原因
合計 ガステーブル等 たばこ 放火(疑い含む。) 電気ストーブ ロウソク コード 石油ストーブ等 電気こんろ 火遊び ライター その他
平成21年 2,099 490 357 340 99 54 28 30 49 31 28 593
平成22年 1,869 410 331 274 84 43 38 17 39 26 21 586
平成23年 1,864 395 329 250 103 49 33 27 40 26 29 583
平成24年 1,916 409 334 255 106 53 44 28 33 16 17 621
平成25年 1,777 388 316 257 99 47 28 27 25 19 18 553
25年内訳 共同住宅等 1,097 244 238 196 59 19 10 7 21 11 10 282
住宅 680 144 78 61 40 28 18 20 4 8 8 271

住宅火災におけるガステーブル等の火災は最近5年間で2,092件、死者は29人発生しています。火災件数は、減少傾向で推移していますが、火災による死者は増減を繰り返しており、最近5年間では年平均6人の死者が発生しています。

  • 図1 住宅火災の主な出火原因別の状況(上位5位)
  • ◆火災に至った経過

最近5年間の住宅から出火したガステーブル等による火災の火災に至った経過をみると、調理中にその場を離れたり、調理後に火を消し忘れる「放置する・忘れる」が最も多く、6割近く(55.4%)を占めています。(表3)

また、死者の発生した火災の経過をみると、ガステーブル等の周囲の可燃物や着ている衣類に着火する「可燃物が接触する」、「接炎する」が多く発生しています。(表4)

表3 主な出火に至った経過
ガステーブル火災の主な経過 件数
放置する・忘れる 1,158
可燃物が接触する 192
接炎する 179
引火する 157
過熱する 129
考え違いにより使用を誤る 68
誤ってスイッチが入る(入れる) 64
可燃物が落下する 26
可燃物を置く 23
伝導過熱する 19
可燃物が沸騰する・あふれ出る 18
放射を受けて発火する 15
蓄積過熱する 6
本来の用途以外の用に用いる 6
その他 16
不明 16
合     計 2,092
表4 死者が発生した主な経過
死者が発生した火災の主な経過 件数
可燃物が接触する 10
接炎する 7
放置する・忘れる 6
過熱する 1
本来の用途以外の用に用いる 1
考え違いにより使用を誤る 1
不明 3
合     計 29
  • ◆ガステーブル等の火災による死者

最近5年間のガステーブル等の火災による死者29人を、男女別、年齢区分構成別でみると、男女別では男性が7割近く(65.5%)を占めており、年齢区分構成では高齢者が7割近く(65.5%)を占め、高齢者の男性が12人(41.4%)で最も多く発生しています。

表5 最近5年間のガステーブル等の火災による死者の状況
年齢区分 構成比(%)
未成年
成人 7 3 10 34.5
高齢者 12 7 19 65.5
合 計 19 10 29 100.0
構成比(%) 65.5 34.5 100.0  

注 未成年:0〜19歳 成人:20歳〜64歳 高齢者:65歳以上

死者29人のうち、着衣着火による死者は8人(27.6%)で、男性6人中5人、女性は2人すべてが高齢者で、着衣着火による死者の高齢者の割合は87.5%になります。

天ぷら油火災の状況

ここでとりあげる「天ぷら油火災」とは、ガステーブル等を使用し、天ぷらやフライ等の揚げ物の調理に起因して「放置・忘れる」、「沸騰する・あふれ出る」などの経過(器具の誤操作等を除く。)により、調理用の動植物油から出火して火災となった住宅火災をいいます。なお、凝固剤に関係する火災も含みます。

天ぷら油火災の火災状況は表6のとおりです。最近5年間の状況をみると、天ぷら油火災は減少傾向で、平成25年中の発生件数は139件で前年と比べて2件の減少となっています。

表6 天ぷら油火災の年別状況
年  別 建物火災 損害状況
合計 全焼 半焼 部分焼 ぼや 焼損床面積(u) 焼損表面積(u) 損害額(千円) 死者 負傷者
平成21年 224 6 1 38 179 938 285 184,378,120 - 106
平成22年 211 1 3 41 166 302 189 55,831,786 - 96
平成23年 142 2 3 27 110 327 249 43,824,741 - 63
平成24年 141 - 2 16 123 157 62 32,574,146 - 54
平成25年 139 3 - 26 110 554 120 70,111,287 - 60

平成25年中の天ぷら油火災の初期消火従事率(火災件数に対する初期消火従事件数の割合)は91.8%と火災全体の初期消火従事率(60.5%)と比較すると高くなっています。天ぷら油火災では、行為者が火を使っているという意識があることや、火を使っている場所の近くにいることが多く、住宅用火災警報器などの鳴動、煙や物音、臭いなどで火災に早く気付き、初期消火に従事することが多いのが特徴です。

また、平成25年中に住宅用火災警報器が鳴動した天ぷら油火災は39件発生し、このうち30件(76.9%)がぼやで鎮火しています。この30件のうち29件(96.7%)で初期消火が行われています。

平成25年中の天ぷら油火災での死傷者の状況をみると、死者の発生はなく、負傷者は60人で、前年と比べて6人増加しています。負傷者60人のうち初期消火中の負傷者は27人(45.0%)となっており、水をかけて消火するなど不適当な消火方法や火のついた鍋を運び出そうとして床に落としたりするケースが多いのもこの火災の特徴です。

平成25年中に発生した天ぷら油火災のうち、発火源がガステーブルであった火災は109件(78.4%)となっており、全体の約8割近くを占めています。ガステーブルでの天ぷら油火災を未然に防ぐ有効な手段の一つとして、「調理油過熱防止装置」があげられます。これは、バーナ中心部のセンサーが鍋底の温度を感知し、約250℃になると自動的にバーナを消火して油の発火を防ぐものです。

発火源がガステーブルの火災109件のうち、64件(58.7%)が「過熱防止装置」の付いているガステーブルで出火しており、そのうちで62件(96.9%)が「過熱防止装置」が付いていない側のこんろを使用したため発生した火災となっています。「過熱防止装置」が付いている側のこんろで火災になる例としては、冷凍食材等が鍋底中央に接していた、調理油が少量で急加熱された、センサーや鍋底に油かすが付着していたなどが挙げられます。

平成20年10月から、家庭用ガスこんろ(カセットこんろを除く。)を「ガス事業法」及び「液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律」によって規制対象製品に指定し、全てのバーナに「調理油過熱防止装置」及び「立ち消え安全装置」の設置を義務化し、安全性の強化が図られています。

最近5年間の天ぷら油火災857件のうち、出火時間が不明の12件を除いた845件の時間別の火災状況をみたものが図2です。出火した状況をみると、17時〜18時台100件を超え、19時〜20時台の時間帯には150件を超えています。

図2 時間別の火災状況(平成21年から平成25年までの累計)
図2 時間別の火災状況(平成21年から平成25年までの累計)
  • 出火理由と行為者
  • ア 年齢別発生状況

平成25年中の出火時の行為者の状況をみたものが、表7です。

内訳をみると、「住宅」では65歳以上が14件(29.8%)と最も多くなっている一方、「共同住宅等」では30歳代が24件(26.1%)と最も多くなっており、住宅よりも共同住宅等の方が、比較的若い単身者や夫婦のみの世帯が多いためと考えられます。

ガステーブルによる火災
  • 天ぷら油により発生した火災
表7 平成25年中の用途別年齢別発生状況
出火用途 年齢区分
合計 15歳以下 16〜19歳 20〜29歳 30〜39歳 40〜49歳 50〜59歳 60〜64歳 65歳以上
合計 139 2 7 21 35 24 17 4 29
共同住宅等 92 2 7 17 24 17 9 1 15
住宅 47 - - 4 11 7 8 3 14

平成25年中の天ぷら油火災のうち、経過が「放置する・忘れる」により出火した125件について、出火理由をみたものが表8です。

出火に至った理由は、「他の部屋で仕事をした」が16件(12.8%)、「用便にいった」、「寝込んだ」及び「その場を離れて子供の世話をした」が各11件(8.8%)、「テレビをみた」及び「他の部屋で片付け物をした」が各10件(8.0%)などとなっており、油が温まるまでの間に少しだけ家事をしたり、テレビを見たりしてその場を離れている傾向があります。

表8 用途別出火理由
出火用途 合計 他の部屋で仕事をした 用便にいった 寝込んだ その場を離れて子供の世話をした テレビをみた 他の部屋で片付け物をした 食事をした 電話に出た 来客があった その場を離れて雑談した その他
合計 125 16 11 11 11 10 10 9 6 6 4 31
共同住宅等 82 11 9 7 7 7 7 3 4 1 3 23
住宅 43 5 2 4 4 3 3 6 2 5 1 8

天ぷら油火災のうち、油を固めて廃棄するために使用する凝固剤(顆粒状のもので、油をゼリー状に凝固するもの)に係わる火災件数についてみたのが図3です。凝固剤は、天ぷら油を高温(約80℃)にしてから使用するため、調理後時間が経って冷えた天ぷら油は再度加熱して、油の温度を上げる必要があります。調理の意識がないことから、加熱していることを忘れやすい傾向があります。

平成25年中は22件で、前年と比べて6件増加しており、天ぷら油火災の15.8%を占めています。凝固剤を投入する前に出火した火災は18件(81.8%)、投入した後は4件(18.2%)となっています。

図3 凝固剤に係わる火災件数
図3 凝固剤に係わる火災件数
事例1 天ぷら油を加熱中、その場を離れたために出火した火災(10月・西東京市)
構造・用途等 防火造2/0 複合用途(飲食店・共同住宅) 出火階・箇所 2階・台所
焼損程度 建物ぼや レンジフード、排気ダクト等焼損

この火災は、複合用途の2階共同住宅部分の台所から出火したものです。

出火原因は、火元者(20歳代男性)がガステーブルでフライドポテトを調理するためにフライパンに天ぷら油0.5リットルを入れて加熱中に、その場を離れてトイレに行ったため天ぷら油が過熱し出火したものです。

火元者がトイレから戻ると、フライパンから炎が上がっているのを発見し、水道から水を汲んでかけてしまったため炎が拡大し、自動火災報知設備のベルが鳴動しました。

1階店舗の従業員は、火元者から火災を知らされて119番通報しました。

事例2 長屋で発生した天ぷら油火災(10月・板橋区)
構造・用途等 防火造2/0 長屋 出火階・箇所 1階・台所
焼損程度 建物ぼや 樹脂製トレイ1、蛍光灯カバー1等焼損

この火災は、長屋1階の台所から出火したものです。

出火原因は、火元者の妻がフライパンに調理油を入れドーナツを調理後、火元者とともに隣室でドーナツを食べていたところ、消し忘れたガステーブルの火により調理油が過熱され出火したものです。

隣室にいた火元者と火元者の妻は、住宅用火災警報器が鳴動したため台所を確認しに行ったところ、フライパンから炎が上がっているのを発見しました。

火元者の妻はフライパンに消火布を被せて初期消火しましたが、消火できなかったため自宅の電話で119番通報した後、火元者とともに屋外へ避難しました。

ガステーブル等による火災を防ぐポイント

ガステーブル等の火気を使用している時はその場を離れず、離れる際は短い時間でも火を消しましょう。
ガステーブル等の周囲は整理整頓し、可燃物などの燃えやすいものは近くに置かないようにしましょう。
ガステーブル等の周囲に付着している油や食品は拭き取りましょう。
ガステーブル等の上には一時的でも、物を置かないようにしましょう。誤ってスイッチが入ったりして火災に繋がる恐れがあります。
調理をする時は、着ている衣服の袖や裾に燃え移らないように注意しましょう。