東京消防庁  広報テーマ (06月号) テーマ1 身の周りの危険物品の安全な取扱いを再確認しよう
テーマ2 高齢者を災害や救急事故から守ろう
テーマ3 台風・大雨に備えよう

テーマ 2 高齢者を災害や救急事故から守ろう

高齢者を災害から守るために

平成26年1月1日現在、東京消防庁管内(稲城市及び島しょ地域を除く、東京都全域)における65歳以上の方(以下「高齢者」という。)は2,801,743人で、東京消防庁の管内人口12,695,433人の22.0%を占めています。高齢者人口は今後も急速に増加し、超高齢社会がさらに進展することが予想されています。

こうした状況の中、東京消防庁は、高齢者や障害者等のうち災害への対応力が弱く、災害時に支援を必要とする方々の安全対策に係る各種取組を推進しています。

※参考資料:住民基本台帳による東京都の世帯と人口(町丁別・年齢別)平成26年1月

総合的な防火防災診断

平成25年中の住宅火災の死者に占める高齢者の割合は約7割を占め、高齢化社会の進展とともに年々高くなっています。高齢者の居住環境の安全化を図ることが、火災による犠牲者を減らすために必要不可欠であるといえます。


高齢者等に対する総合的な防火防災診断の様子

東京消防庁では、災害時に支援や配慮が必要となる高齢者や障害者等のお宅を職員が戸別に訪問し、住宅の防火防災対策、家庭内事故防止対策や住宅用防災機器等の普及促進など、暮らしの安心・安全に係る事項を総合的に確認し、アドバイス等を行う総合的な防火防災診断を推進しています。本事業は、消防だけではなく、高齢者や障害者等と日頃から接点のある地域包括支援センター、社会福祉協議会、民生児童委員等の福祉関係機関や区市町村、町会自治会等と連携して実施しており、地域が一体となって安心・安全を確保していくことを目的としています。

安否確認や避難支援等を取り入れた防火防災訓練

大地震等の大規模災害が発生した際の行動として、自分の身は自分で守る「自助」及び地域の中でご近所同士が助け合う「共助」の考え方に基づく地域の防災力の向上を、各種訓練等を通じて積極的に推進しています。そうした中、支援や配慮が必要となる高齢者や障害者等の方々を大規模災害から守るためには、平時の訓練の中に安否確認要領や避難支援要領などの対応訓練を取り入れることが重要です。

各消防署では、管内にある障害者団体や町会自治会等に積極的に訓練実施の働きかけを行い、互いが互いの存在を認識し、有事の際には、支援が必要な方々の避難を地域住民が支援や救出救護するなど、地域の防災行動力の向上を推進しています。

啓発資料「地震から命を守る『7つの問いかけ』」

防火防災訓練、防災講話等で各消防署が配布しているリーフレット「地震から命を守る『7つの問いかけ』」は、災害時に支援や配慮が必要となる方々の防災行動力向上を目的として、災害発生時に想定されるリスクや対応策(備えと行動)について、時系列に沿って設定した7区分ごとに、その要点を整理し、本人及びその支援者に分かり易く表現された資料です。問いかけ方式で気づきと自主的な取り組みを促しています。当庁ホームページの「安心安全情報」⇒「トピックス」⇒「地震による被害を防ぐために」の中に、「地震から命を守る『7つの問いかけ』」の詳細を掲載しております。

リンク先:http://www.tfd.metro.tokyo.jp/lfe/topics/7_toi/index.html

地震から命を守る「7つの問いかけ」


東京消防庁では今後も積極的に、災害時に支援や配慮が必要となる方々に対する安全対策を推進していきます。今回紹介した、総合的な防火防災診断、安否確認や避難支援等の対応を取り入れた防火防災訓練、啓発資料「地震から命を守る『7つの問いかけ』」についての詳しい内容は、お近くの消防署にお問い合わせください。

高齢者の熱中症を防ごう

東京消防庁管内※1では平成25年6月から9月までの間に、4,463人※2が熱中症※3で救急搬送されました。そのうち高齢者(65歳以上)は2,019人で全体の45.3%と高い割合を占めています。さらに、65歳以上のうち後期高齢者(75歳以上)の割合は68.3%と非常に高い割合となっています。また、熱中症で救急搬送された高齢者(65歳以上)のうち、5割以上の方が入院が必要とされる中等症以上と診断されています。高齢者本人の熱中症予防対策とともに家族など周囲による熱中症予防対策が必要です。

熱中症に関する高齢者の特徴

◆皮膚の温度感受性の鈍化

高齢者は皮膚の温度感受性が鈍くなり、暑さを自覚しにくくなるので、衣服の調節や冷房の利用が遅れがちになります。皮膚の温度感受性が鈍くなると、自律性体温調節の発動も遅れてきます。これらの体温調節の遅れが、体に熱をため、熱中症の発生へとつながります。

◆暑さに対する耐性の低下

脳が暑いと判断すると、自律性体温調節として皮膚血流量や発汗量が増加します。高齢者になると、体温の上昇に伴う皮膚血流量と発汗量の増加は遅れるようになります。そのため、高齢者は若年者より熱を放散する能力が低く、体に熱がたまりやすくなり、深部体温がより上昇します。

◆体内水分量の変化

高齢者の体内水分量は同じ体重であっても若年者より減少しており、若年者と同等に発汗した場合、脱水状態に陥りやすく、脱水が進んでものどの渇きがおこりにくくなっています。これは、脳の脱水を察知する能力が低下するために生じているようです。そのため、発汗する機会が多くなる夏には、高齢者はのどの渇きが起こらなくても、早め早めに水分を補給する必要があります。

熱中症の予防法

◆高温・多湿・直射日光を避ける。

熱中症の原因の一つが、高温と多湿です。屋外では、強い日差しを避け、屋内では風通しを良くするなど、高温環境に長時間さらされないようにしましょう。

<対策例>
○ 服装を工夫する。(襟元を緩める、ゆったりした服を着るなど通気を良くする。)
○ 窓を開け、通気を保つ。
○ 扇風機等を使用し、室内に熱気を溜めない。
○ すだれ・よしず等を使用する。
○ グリーンカーテンを作る。窓に遮光フィルムを貼る。
○ エアコンによる室内温度の調整をする。
○ 屋外では頭部を守るため帽子や日傘を使用する。
○ 日陰を選んで歩く。
○ 温度計や湿度計を設置して、こまめに確認し室内の温度の調整を行う。
○ 熱中症計を活用する。

◆水分補給は計画的、かつ、こまめにする。

特に高齢者はのどの渇きを感じにくくなるため、早めに水分補給をしましょう。普段の水分補給は、健康管理上からもお茶や水がよいでしょう。水分補給目的のアルコールは尿の量を増やし体内の水分を排出してしまうため逆効果です。

なお、持病がある方や水分摂取を制限されている方は、夏場の水分補給等について必ず医師に相談しましょう。

<対策>
○ のどが渇いてから水分補給をするのではなく、例えば時間を決めて水分補給することや外出前に水分補給をするなど、意識的に水分補給を心がけましょう。

◆規則正しい生活をする。

夜更かし、深酒、食事を抜くなど不規則な生活により体調不良な状態では、熱中症になる恐れがあります。

<対策>
○ 規則正しい生活と十分な食事をする。

※1 東京都のうち稲城市と島しょ地区を除きます。

※2 平成25年の熱中症による救急搬送人員は暫定値です。

※3 熱中症の疑いも含めます。

熱中症を疑う症状と応急措置

※ 参考文献:熱中症環境保健マニュアル(環境省)