東京消防庁  広報テーマ (06月号) テーマ1 身の周りの危険物品の安全な取扱いを再確認しよう
テーマ2 高齢者を災害や救急事故から守ろう
テーマ3 台風・大雨に備えよう

テーマ 1 身の周りの危険物品の安全な取扱いを再確認しよう

身の周りの危険物に気をつけよう

私たちの身の周りには、危険物を含む製品がたくさんあります。例えば、ガソリン、灯油、軽油等の燃料や危険物を含有したスプレー缶、アロマオイルや高濃度のアルコール飲料などで、私たちの生活には欠かせないものとなっています。しかし、その危険性を意識せずに使用したことによる火災が毎年発生しています。

こうしたことから、職場や家庭内においては、危険物に該当する製品の取扱い上の注意事項をよく読むなど、身の周りにある危険物の性状及び正しい取扱いを十分に理解し、危険物に関する事故を未然に防止しましょう。

また、当庁管内における平成25年中の危険物施設等の事故件数(109件)は、平成24年(59件)に比べ、大幅に増加しました。これは、過去5年間で最多の件数となっています。危険物施設等の事故は、貯蔵、取扱い上の不注意や維持管理の不適等の人的要因、腐食等による設備の劣化等の物的要因により発生しています。これらの事故を低減させるためには、危険物施設等の事業所の方々が法令の遵守のみならず、それぞれの施設の特性に応じた危険要因を把握し、最もふさわしい対策を実践する、いわゆる自主保安対策の取組が極めて重要となります。

危険物に関する知識を深めよう

身近にある危険物の危険性を認識するとともに、正しい取扱方法や保管方法に関する知識を深めましょう。

◆身近な危険物

一般的に、“危険物”といえばガソリンや灯油、軽油などの燃料類を思い浮かべ、その他のものは特殊な場所で利用されていると思われがちです。しかし、燃料類のほかにも多くの危険物が身の周りで取り扱われており、例えば、家庭で利用している接着剤、アロマオイル、防水スプレー、アウトドアで使用する燃料や消毒用のアルコールに至るまで様々な危険物が、私たちの生活を便利にするために利用されています。また、ウィスキー、焼酎などのアルコール飲料は一見危険物とは無縁と思われますが、ウオッカなどのアルコール度数の高いものは消防法の“危険物”に該当する場合があります。次の写真1(①から⑤)をご覧ください。ウオッカのそばにロウソクを置いたものです。ウオッカから発生したアルコールの蒸気にロウソクの炎が引火しています。

また、アルコールの炎は「明るい場所ではわかりにくい」という特徴があります。次の「写真2」をご覧ください。

このように、身近な高濃度アルコール飲料でも、火が着きやすく、また、着いた場合は非常に見にくくなることから、取扱いには十分な注意が必要です。

高濃度アルコール飲料以外にも、私たちの周りには、危険物を含有している商品がたくさんあります。危険物安全週間を機に、身近な危険物の存在についてもう一度確認し、その正しい取扱いや保管に努めましょう。

あなたが身の周りで使っている物に、次のような表示はありませんか?
表示されているものは“危険物”です。

(例)火気厳禁 第一石油類 危険等級 Ⅱ

このような表示がある物は、ストーブなどの火気の近くで使用したり、その近くに放置することは絶対にやめましょう。

◆危険物の適正な容器について

危険物の運搬や収納に使用する容器は、その材質や構造、容積について消防法令に基準が定められています。

危険物の中でも身近な存在である灯油は、危険物第四類の第二石油類・危険等級Ⅲに該当し、ストーブなどの燃料として家庭でも広く使われています。

灯油を運搬・保管するために灯油用ポリエチレン缶を使う際は、次の点に注意しましょう。

◎ 5年くらいが目安です!

灯油用ポリエチレン缶は紫外線の影響を受けやすく、布等で覆っても劣化が進みます。5年を目安に交換するようにしましょう。
(製造年月日が表示されています。確認してみましょう。)

◎ ガソリンを入れないようにしましょう!

灯油用ポリエチレン缶にガソリンを入れると、間違えてストーブの燃料として使用する可能性もあります。ガソリンを保管する際には金属製の専用容器を使用しましょう。

◎ 保管場所に注意しましょう!

風雨にさらされたり、日光に当たったりすると、灯油用ポリエチレン缶の性能は低下します。保管する際は、なるべく暗く涼しい場所を選び、直射日光が当たらないように気を付けてください。

◎ 灯油など危険物を大量に保管すると届出などが必要になります!

灯油などを大量に保管する場合は消防署への届出などが必要となりますので、正しい手続きを行いましょう。


灯油用ポリエチレン缶

2002年10月製造年月日の表示

金属製容器

◆ガソリン携行缶について

昨年8月に、屋外の花火大会で、ガソリンに係る痛ましい事故が発生したことは記憶に新しいと思います。これからの時期、花火大会など屋外のイベントが多数開催されることから、ガソリンを使用する機会が増えます。ガソリンは非常に引火しやすいため、決められた容器に保管するほか、次の事項に注意し、安全に貯蔵、取扱いをしましょう。

◎ 貯蔵は冷暗所で行う。

容器を気温の高い場所で保存していると、可燃性蒸気が発生し、容器内の圧力が高まり、蓋を開けた際にガソリンやその蒸気が噴き出す可能性があります。可燃性蒸気の発生をできるだけ抑えるため、貯蔵は冷暗所で行いましょう。

◎ 貯蔵、取扱いは換気の良い場所で行う。

ガソリンの可燃性蒸気は空気より重いため、下のほうに溜まります。ガソリンを取り扱う場所だけでなく、貯蔵する場所も換気を良くし、可燃性蒸気を溜めないようにすることが重要です。

◎ 火気のある場所では貯蔵、取扱いをしない。

ガソリンは非常に揮発しやすく、取り扱う際には大量の可燃性蒸気が発生します。発電機などに給油する際は、機器を一度停止したうえで行ってください。

◎ 試験に合格した携行缶を使用する。

ガソリン携行缶については、落下試験など消防法令で定められた試験が課せられています。試験に合格した携行缶には、合格したことを示すマーク(次表のいずれか又は両方)が付されているので、購入する際のポイントとしてください。

表 運搬容器の試験に合格したことを示す表示
表示の意味 マークデザイン
国内の試験基準に合格したことを示す
国連勧告のUN規格に合格したことを示す

写真3 代表的なガソリン携行缶

◆手指消毒用アルコールの貯蔵、取扱いについて

インフルエンザ、ノロウィルス対策など感染防止用として、手指消毒用アルコールが除菌等に使用されるケースが増えてきています。

手指消毒用アルコールの貯蔵、取扱いを行う場合には、以下の点に注意しましょう。

◎ 手指消毒用アルコールには危険物に該当するものがあります!

アルコール分が一定量以上含まれる手指消毒用アルコールは消防法上の危険物(第四類アルコール類)に該当し、その可燃性の蒸気は空気より重く引火しやすいなどの危険性があります。

なお、危険物に該当する手指消毒用アルコールの容器には危険物である旨の表示がされています。

◎ 適正に管理しましょう!

危険物に該当する手指消毒用アルコールを貯蔵、取り扱う場合の主な注意事項は、次のとおりです。

  • ・手指消毒用アルコールを貯蔵、取り扱う場所では、火気を使用してはいけません。
  • ・手指消毒用アルコールの容器を落としたり、衝撃を与える等の乱暴な取扱いをしてはいけません。
  • ・手指消毒用アルコールを貯蔵、取り扱う場所は、常に整理、整頓を心掛けてください。

◎ その他

インフルエンザ、ノロウィルス等の対策や感染防止用として事務所等で消毒用アルコールの大量貯蔵、取扱いを行う場合には、最寄りの消防署にご相談ください。

事故事例

事例1【高濃度アルコール飲料による事故】

35歳男性がウオッカ入りのグラスを片手で持ち、煙草に火をつけようとしたところ、グラス内のウオッカがこぼれ、衣類に付着し、そこにライターの火が引火し、熱傷(中等症)を負ったもの。

平成25年中の危険物施設等における事故の状況

◆事故件数等

平成25年中の当庁管内の危険物施設等に係る事故は、火災38件、流出31件、その他の事故40件の合計109件となっており、これらの事故により死者1名、傷者16名が発生しました。この値は、昨年と比較し、火災で20件、流出で15件、その他の事故で16件増加しています。また、事故件数も、過去5年で最多となっています。

109件の事故を施設別に見てみると、給油取扱所49件、一般取扱所22件、指定可燃物貯蔵取扱所が12件、少量危険物貯蔵取扱所が10件、運搬車両及び地下タンク貯蔵所がそれぞれ5件、屋外タンク貯蔵所が3件、移動タンク貯蔵所が2件並びに屋内タンク貯蔵所が1件となっています。

◆事故の要因

109件の事故を要因別にみると、人的要因が42件、物的要因が25件、その他の要因が42件となっています。

人的要因による事故は、火災20件(18.3%)、流出14件(12.8%)、その他の事故8件(7.3%)となっています。人的要因による火災は、施設の維持管理不十分によるものが主な要因となっています。

また、物的要因による事故は、火災9件(8.3%)、流出12件(11.0%)で、その他の事故4件(3.7%)となっています。物的要因による流出では、配管等が腐食疲労等により劣化していたことが主な要因となっています。

危険物施設等における自主保安対策の重要性を再確認しよう

◆自主保安対策の推進

自主保安対策を実効性のあるものとするためには、危険物施設の所有者等がその重要性を正しく認識し、率先して取り組むこと、そして、現場と管理部門が一体となって保安管理に当たることが重要です。

自主保安対策を進めるためには担当者のみに任せることなく、危険物の取扱いにかかわる全員で自主保安の重要性を再確認しましょう。

維持管理不適等の人的要因による事故を防止するため、次の自主保安対策を推進しましょう。

自主保安対策の推進事項

① 共通事項

・ 適正な貯蔵及び取扱いを心掛けましょう。

・ 法定点検及び日常点検を推進しましょう。

② 給油取扱所では

・ セルフ式のガソリンスタンドでは、顧客に適切な給油方法を指導するとともに、顧客の給油等を適切に監視、制御し、必要な指示をしましょう。

・可燃性蒸気の滞留するおそれのある場所では、火気を発する機器を絶対に使用しないことなど適切な火気管理を行うとともに、静電気が発生するおそれがある場合には、蓄積される静電気を有効に除去しましょう。

・車両の衝突等により固定給油設備、防火塀等の破損事故が増加しています。顧客に対して事故事例を引用しながら注意喚起しましょう。

③ 移動タンク貯蔵所では

・余裕をもった移送計画など、安全な移送について再確認しましょう。

④ 一般取扱所では

・作業工程や反応工程における危険要因を把握し、講じた安全対策を作業者全員に周知徹底しましょう。

事故事例

事例2【火災】

金属を切削する工程において生じる高温の切削くずが、集塵機内に蓄積した埃などに付着し、着火したもの。切削機はおよそ10年前に導入されましたが、火災当時まで適切な清掃が行われていませんでした。

事例3【施設内の事故】

ガソリンスタンドにおいて、運転操作ミス(ハンドル操作ミス及びアクセルとブレーキの踏み間違い)により自動車が固定給油設備や防火塀に衝突し、破損、流出させました。(類似の案件が平成25年には25件発生しました。)

◆セルフ式のガソリンスタンドにおける給油方法の周知

近年、セルフ式のガソリンスタンドの数が全国的に増えています。ガソリンスタンドでは、顧客による給油が安全に行われるよう危険物取扱者がモニターなどにより十分に監視等を行っていますが、給油の手順や固定給油設備などの取扱いを誤ると、思わぬ事故が発生することになります。

給油方法がわからなかったり、不安を感じたときは、固定給油設備にあるインターホンを利用するなどして、従業員から正しい給油方法の説明を受けてから給油しましょう。注ぎ足し給油などの行為は、オートストップ(満量停止装置)が作動しない可能性があるため、ガソリンがあふれ出す可能性があり、大変危険です。

事故事例

事例4【危険物の流出】

ガソリンスタンドで給油を終えた軽乗用車が、給油ノズルを給油口に差し込んだまま発進させてしまったため、ホースとノズル部分が外れ、ガソリン若干が流出したもの。

事例5【施設の破損】

セルフ式のガソリンスタンドにおいて、給油のために来店した乗用車が、運転を誤り、軽油 用の計量機に衝突し、ノズル部分を破損したもの。危険物の流出はなかった。

セルフ式のガソリンスタンドを安全に利用するために

ガソリンや軽油は、その取扱い方法を誤ると大きな事故につながりかねません。セルフ式ガソリンスタンドを利用するドライバーの皆さんは、次の事項に十分注意して安全な給油作業に心掛けましょう。


その1

案内に従いながら駐車!エンジンOFF!

白線などで示された場所に停車し、必ずエンジンを停止しましょう。

その2

静電気除去シートにタッチ!

私たちの体には静電気が帯電しています。この静電気の火花が原因で、給油口から出てくるガソリンの可燃性蒸気に引火する事故が発生しています。給油キャップを開ける前に、静電気除去シートに触れ、静電気を確実に除去してから給油を始めましょう。

その3

正しい操作で給油を!

給油ノズルは、給油口の奥まで差し込み、レバーをしっかり握って給油を行いましょう。

その4

注ぎ足し給油をしないで!

自動車等の燃料タンクが満タンになると、オートストップ(満量停止装置)が作動し給油は自動的に停止します。オートストップ作動後の注ぎ足し給油は、ガソリン等の燃料が給油口の外に吹きこぼれることがあり大変危険ですので、注ぎ足し給油はやめましょう。

その5

給油キャップの置き忘れに注意!

給油キャップを閉め忘れたまま走行すると、給油口からガソリン等の燃料やその可燃性の蒸気が漏れるおそれがあり危険です。給油が終わったら確実に給油キャップを閉め、置き忘れをしないように注意しましょう。

◆地震・津波対策を取り入れた訓練、演習の実施について

東北地方太平洋沖地震では、地震動や津波により危険物施設も甚大な被害を受け、復旧に多大な時間や費用がかかっています。これらの被害の多くは、津波により引き起こされたことから、国では消防関係法令を改正し、予防規程に津波対策を盛り込むこととなりました。当庁においても、沿岸部に立地する危険物施設を中心に予防規程の変更をお願いしてきたところです。

首都直下地震においては、沿岸部に2mから3m程度の津波が到達すると予測されており、到達までかかる時間も、最短で10分と東北地方太平洋沖地震で発生した津波より大幅に短くなることが予測されています。

施設で行われる訓練などにおいては、これらの想定を踏まえた実践的な訓練を行うようにしましょう。

地震・津波対策を取り入れた訓練の実施

@ 地震・津波対策

ア 津波が襲来する前に従業員が避難できるように訓練を実施しましょう。

イ 反応工程を有する製造所、一般取扱所においては、予防規程に記載された緊急停止の手段に沿って、安全に停止できるように訓練を行いましょう。

ウ 緊急停止の措置が作動しない場合の対応訓練を実施しましょう。

エ 夜間、休日等の人員が少ない場合の対応訓練を実施しましょう。

オ 屋外タンク貯蔵所では、被害想定に応じた流出防止訓練や、流出危険物の拡散防止や回収などの対処訓練を実施しましょう。

A 帰宅困難者対策

ア 従業員以外の来訪者の避難誘導訓練を実施しましょう。

イ 帰宅困難者への対応訓練を実施しましょう。

◆危険物施設における点検指導について

本年度は、危険物施設において、定期点検の実施又は予防規程の制定を義務付けられている施設のうち給油取扱所について、その定期点検などの際、消防署の職員が立ち会ったうえで、必要な指導を行っています。

危険物施設の点検指導について

@ 各施設で行われる定期点検に、消防職員が立ち会います。

A この制度の概要をまとめたリーフレットなどを配布いたします。